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2009/11/05

長期にわたる台風17号被災者のケア

北ルソンでは、1か月ほど続いた台風と熱帯低気圧の連続的な襲来がようやく収まり、天候的には落ち着きつつある。各地の泥は徐々に乾き、土砂崩れの爪跡は、かえって荒涼とした観を呈しつつある。霧が晴れて見通しが良くなったはいいが、山々の肌がまだらに削られた景色は哀しい。

今日は、80名以上の犠牲者を出したラ・トリニダード郡プギス町にある私たちのグループの教会に、少しまた、救援物資を届けてきた。60戸とも言われる被災家庭のための救援センターの一つとして、教会を挙げてがんばっている。教会としても、教会員と家族、親族を合わせると40名近くの人々を失った。

来週は、アメリカの私たちのグループの救援チームが大規模で訪問し、無料での医療・物資提供プログラムを提供するとともに、世界各地の戦場や災害被災地を専門にする心理学者が来て、教会のリーダーや希望する教会員を対象にPTSDに対処するためのカウンセリング・セミナーを開催することになっている。

このようなコネクションのある場所はまだ良い。大変なのは逆に被害が「小規模」(犠牲者の数をもって大小をつけるのは嫌なことだ)だった地域、そういったチームの入っていけない、道路が寸断され、いまだに孤立している地域だ。この教会は、建物には被害が無く、不幸中の幸いとして、センター的な役割を果たせている。

私の務めている学校としては、光の当たっていない地域や家庭をさらに探り、ささやかでもできることをしていきたいと思っている。明日は、両親を亡くした大学生と会い、奨学金提供などの可能性を探る予定にしている。

 

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私たちの学校から見える幹線道路の土砂崩れの痕。
左側の土砂崩れ現場では、私も股下まで泥に埋まり、
下手をすると崖から押し落とされるところだった。

 

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既に何度も取り上げている、親しい友人一家が被災した現場。
霧が晴れ、あらためて私たちの学校からすぐ近いのを知り、驚いた。
ただし、彼女の家のあった場所そのものは、はるか崖の下なので、
この写真では手前の家々の尾根に隠れて見えない。

 

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逆に、その幹線道路アンブックラオ・ロードから見た
私たちの学校のキャンパス。同じ土砂崩れはここで起こっても
おかしくはなかった。あらためて怖い。

 

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昨日の夕焼け。美しさに慰められるが、やはりどうしても
恨めしい。 嵐がなければありがたみはわからないが、そんな
ありがたみならばわからなくてもいい。ちなみに、西の山々を
背にするプギスも、実は美しい夕焼けで知られた場所なのだ。

 

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プギスの私たちのグループの教会。

 

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届けた調理器具とともに。中央は私のアメリカ人上司。
両端はこの教会の若い副牧師二人。左手前の若者が
ちょうど救援物資を取りに来た被災者の一人。

 

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この教会では地域の全被災家庭の被災状況と生存者の職業、
経済状況をモニターし、フォロアップの参考にしている。
1番上、6番目、8番目の家庭は、いずれも奥さんと子どもたちが
亡くなり、ご主人一人が生き残った。7番目の家庭も同様だ。
生き残ったのは他の町に嫁いでいる娘たちで、
被災した家では仕事に出ていた父親だけが生き残った。
ただ言葉を失う。

 

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教会のすぐそばまでかなりの距離を、転がりながら流されてきた家。
窓からは助けを求める懐中電灯の光が何筋も見えていたという。
7名の遺体が見つかった。解体作業が進められている。

 

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コメント

 なかなかニュースになりにくい地方での悲惨な状況、本当に心が痛みます。一方で、都会で何不自由なく暮らしている人たちが、野菜の値段が高いと愚痴を言っているのを聞くと、本当に腹立たしいです。家族を失い、家を失い、畑を失い、産物を運ぶための道路を失ってしまった人たちの苦労を思えば、そんなことは仕方がない!

 と、怒る私もまた心が狭いのでしょうか。

 野菜高騰は仕方がない。でも、その値上がり分の料金が、こういった被災者のもとに配分されることを祈ります。

投稿: みささび | 2009/11/06 08:32

みささび さん

コメント、ありがとうございました。いやいや、これはほんと、身近に起こらなければわからないことです。私も数年前のビコールでの災害など、大変だね~くらいのものでしたから。そうやってぶつぶつ言えるくらいの社会のほうが、人間の性分から考えれば、まだまだ平和だと言えるのかもしれません。

ただ、一方で、社会としての想像力というものは育てていければ、とは思いますけどね。自らも想像力に乏しい者として……、ではありますが。

投稿: りけるけ | 2009/11/07 10:44

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