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2009/09/24

貴重なタンパク源

「貴重なタンパク源」 - 異国での生活、とりわけ、いわゆる「奥地」の生活を語るに際し、この言葉ほどおどろおどろしいものはない。テレビの海外滞在体験ものなどで耳にするのも、現れるのはたいてい、木の根から掘り出す、やたら長い何かの幼虫(しかも洗わずにそのまま食う)や、黒々と山積みになった節足動物の素揚げのような図だ。

フィリピンにもそういうのは多かれ少なかれある。私もこれまで、鹿の肉はもとより、保存用の豚肉の燻製(かなり臭う)、体長15センチ(幅10センチ)のカエルの姿煮(塩でゆでるだけ)、もぞもぞうごめく蜂の幼虫(ウェハースのような蜂の巣とざっくりとした蜂蜜つき)、山蟻の塩炒めなどをごちそうになってきた。

犬は基本だ。フィリピンでは牛などよりはるかにうまく、奥地に出かける楽しみですらある。もっとも、塩でゆでただけの脳みそはつらい。

マニラにもあるカパンパガン料理のファミレスに行けば、コオロギの甘煮や2つに叩き割ったネズミの素揚げなども楽しめる。低地では、細身のカエルの足を普通に炒めて食べる。鶏肉のようだと言われるが、実際には、繊維が多くかすかすな鶏肉よりもゼラチン質(謎)が多く、ぷりんぷりんでうまい。

6月から現地の学校で学んでいる友人の日本人など、オケラだかタガメだかの素揚げを自分で料理して食べるという。これなどどう見てもゴキブリだ。20歳の彼など既に日本への社会復帰は困難だろうが、何をどう食っても「貴重なタンパク源」だというわけだ。

しかしながら、フィリピンで人々の暮らしに最も密着したタンパク源は - 何のことはない -「豆腐」だ。ただし、市場で売っているのは、台湾のものの如く臭うものが多く、好みが分かれる。もとより、市場まで足を伸ばす必要もない。売り子を捕まえて「タホ」を買えばいいのだ。てんびん棒の前後にアルミの容器をぶら下げ、「↑た↓ほ~~~~↑↑↑」と間延びした、しかも音程が徐々に上がっていく独特の裏声の節回しで、町中、至るところにいる。

「タホ」とはもちろん「豆腐」から来ており、豆腐そのものだ。ただ、日本のものよりはるかにふわふわにできている。これを、醤油ならぬ黒蜜とタピオカをかけ、プラスチックカップでつるつるっといただくのだ。

やたら坂道の多いバギオ。町歩きに疲れたら、ちょっと立ち止まってタホをすする。たった10ペソで良質のタンパク質が得られ、黒蜜の糖質で疲れも癒される。長期滞在者なら、タッパーに大量に買い、家でご飯にぶっかけ、醤油をたらしてかき込むのも至福の時となる。

姉妹ブログ「イロカノ語ネット」には、地元のイロカノ語雑誌"Bannawag"(あけぼの)掲載のタホのレシピの全文和訳をご紹介しておいた。タホ作りに挑戦する(要は豆腐作りに過ぎないのだが)というのも、フィリピンの楽しみ方の一つかもしれない。

 

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バギオで売っている季節もののイチゴ・タホ。定番の黒蜜とタピオカに加え、
形が残る程度に甘く煮詰めた、採りたてのイチゴが乗せられている。

 

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2009/09/22

知恵と工夫 ― 環境と文化の制約の中で

雨期のコルディリエラ山地はうっとおしい。マニラなど、最近こそ少し台風崩れの雨が続いていたようだが、低地なら一般に、午後にスコールという「読める」気候が続く。

ところが、北ルソンでもこの並びだけ2000m級の山々の連なるコルディリエラ山地には、常に東西の低地から温められた空気が集まる。早朝こそ晴れることもあるものの、雨期の数ヶ月は日がな霧の中、もとい雲の中での生活が続く。毎日、とにかく世界が白いのだ。

おかげで水には困らない。私の所属する学校は敷地内に自前の井戸があり、水道代は無料だ(あこぎな学校なのでたぶん家賃に含まれている)が、地元の人々も、雨水を少し集めれば、家族が十分に暮らせるだけの水は得られる。「水さえありゃ、俺たちはどうにでも生きていけるからよ」というのが、この辺りのイゴロット族の誇りだ。

1枚目の写真は、我が家の近所、地元の教会に付属している牧師家庭の住居のもの。雨水を集めるにあたり、面白い工夫がしてあった。大きなドラム缶に雨水を集めているのはよく見る光景だが、その上に古くなったワイシャツだかをかぶせ、ゴムでぴっちり止めてある。細かいゴミや木の葉、水に集まる虫などを、ドラム缶にたまる前にブロックしてしまおうという知恵だ。

 

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閑話休題。先日、フィリピンのトイレ事情を取り上げた。なるほど、「塗る」のでなく洗うというのはフィリピン文化に分があるとして、我ら日本文化に分があるのは、便座の使い方についての社会教育を徹底した点だ。

おかげで、私が子供の頃、洋式便器が一般的になってきた頃こそ、小用の際に便座を濡らす不届き者が多くあったものの、最近の日本の男たちには、小用の際には便座を上げるという習慣がすっかり浸透しているように思われる。さらに最近の若い草食男子の多くは、家庭などの共用のものの場合、次にご婦人方がなさるのに備えてきちんと便座を下ろし、ふたまでして個室を後にするという。文化は優劣ではないとはいえ、男も女もただ上からぶっかけるだけのフィリピン文化に、一歩先んじるものだろう。

しかしながら、およそぶっかけるだけの野郎どもはともかく、ご婦人方も中腰でぶっかけざるを得ないのは、便座が件の液体で濡れているからというだけではない。行き届かない社会教育のゆえに無意味なものになってしまった時点で便座は質入れ用に取り外され、縁の細い便器にそのまま腰を下ろすことそのものが、痛い行為となってしまったのである。

2枚目の写真は、行きつけの教会のもの。最近、(誰もそんなに座らないのに)便器が割れてしまって800ペソの中古品をつけ替えたのだが、なんと便座の縁が太いのだ。便座を無用のものと葬り去った文化が、痛くて座り心地が悪いと、今度は便座そのものを太くするというのが、無駄なのか理に適っているのかいまだにどうにもわからない。

 

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以上、最近の写真から「知恵と工夫」と題して2題、お送りしてきた。環境と文化というのは、私たちに益する一方で、無意識に縛るものともなる。それをまた、意識するとせざるとにかかわらず克服していこうとする知恵と工夫がある。文化人類学的に言えば、北ルソンはまだまだ、はっとさせられるような「他者」に満ちているのだ。

ところで、件の便器、少なくとも、心ある人がちょっと流してくれる際には、便器の上にも一通り、水をまいて清めてくれているものだ。必要以上に恐れることなく、安心して座ればいい。ただ、その水が往々にして、洗濯のすすぎ水を大切に使っていたりすると言ってしまうと、うへ~、と思う方と、洗剤が混ざってるから平気、と思う方とに分かれるだろう。あなたはどちらだろう。後者なら、ベテランさんを気取ってもいいかもしれない。

 

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2009/09/21

麻美ちゃんと美紀ちゃん

今日のネタは何ということはない。小ネタ中の小ネタだ。

以前、「フィリピンの後藤真実さん」という題でゴト(フィリピン風おかゆ)とマミ(フィリピン風ラーメン)についてご紹介したが、今回はマミに加えてミキのご紹介だ。なお、表題で真美が麻美に変わっているのは、単なる気分的なもので他意はない。

ミキ(miki)とは、どうだろう、「フィリピン風焼ききしめん」とでも言えばいいだろうか。比較的平たい麺を肉や野菜と一緒に炒めたようなものだ。フィリピンは、華僑を通じて中華系料理の影響を受けているためか、割に麺類の種類が多い。日本のうどんのようなものもあり、ロミ(lomi)と呼ばれる。

ちなみにこの美紀ちゃん、残念なことに、私にとっては味はいま一つ。フィリピンの麺は、多くが、日本流に言えば「油が回って」いて独特な臭みがある。それをたいていラードで炒めるものだから、アジア通を自認する方でもない限り、旅行者の口には合わないかもしれない。

私の最近のマイブームは、ジョリビーで始まった「ラ・パス・バッチョイ」だ。ノリは限りなくチープなカップ麺風だが、細麺でスープによくなじむのがいい。マニラで食べたのだが、バギオにまだ来ていないようなのが残念な一品だ。

 


おなじみの麻美ちゃん。チャウキンにもあり、いろいろな
トッピングができるが、チャウキンの麺は太めでいま一つ。

 


こちらが美紀ちゃん。とにかく油臭いので私はパス。
通の方にはそれがたまらないものかもしれない。

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2009/09/15

ビクトリーライナー最新情報(2009年9月現在)

先の記事でも触れたように、久しぶりにマニラに行く機会があったので、前々からご紹介したいと思っていたビクトリーライナーの現行のスケジュールをご紹介したい。

行きは、バギオ発のデラックス便(23:15だったかな)ではマニラ着が早すぎるので、いつもは02:30くらいの通常便で行のだが、ターミナルで時間をつぶしていると友人と出会ったので、誘われるままに最近できている01:15の(セミ)デラックス(トイレ無し、休憩1回)便に乗ることにした。これは、700ペソのデラックス便より50ペソ安い650ペソだ。

土曜日の夜中だったにもかかわらず、車内はがらがら。私たちを合わせて、乗客は6人ほどしかいなかった。乗務員は運転手さん1名で、例の(いなくてもいいような)「スチュワーデス」と(配らないほうがましな)形だけの水とお菓子も無く、それでもペイできるのかもしれない。

私は、大のほうが、いったん便意を覚える段階に至ってしまうとほとんど我慢できないつらい直行体質なので、用心のためにイモジューム(英語では「イモウディアム」)を飲んでおく。これが強烈に効く。健康体なら2日は人工的な便秘が続くのだ。

今回はアイマスクも用意して行った。日本のバスのように消灯するとか、カーテンを閉めるとか、運転席スペースと客席スペースを仕切るようなカーテンがついているとか、そういう配慮は全く無く、対向車も平気でビームアップして走っているので、少しでも光があると熟睡できない人には必需品だ。私はそれほどデリケートではないが、おかげでいつも以上にゆっくりと休むことができた。

帰りは通常のデラックス便にした。丸一日の仕事を終えて車中2泊目なので、思い切ってぜいたくをすることにしている。ただ、皆さんも13番のシート、すなわち、通路右手の一人席側、トイレのすぐ前の席は避けたほうがいい。ここだけ、トイレがあるために、前のシートとのスペースが狭くなっている。フィリピンでは後ろの人に配慮してシートを倒すなどという配慮も皆無なので、うっかり足を組んでいて膝の皿が割れそうなダメージを受けた。深夜の孤独な涙だ。

「スチュワーデス」も、マビニあたりのおねいさん顔負けのぶりぶりのスタイルにミニスカートという、およそ場違いというか、逆にある種の人々には実に旅情をかき立てられるいでたちだ。ところが、例に漏れず、接客は全くなってない。私のチケットを受け取ったはいいが、隣の席の客が話しかけてきたため、その客と話しながら、ひょいと後ろ手で返してきた。

日本では完全ダメ出しに相当するこのような場面も、この国にいる限りは旅の余興と思ってスルーできる余裕が必要だ。日本では常識とされるような当たり前の「カスタマーサービス」など期待してはならない。店やレストランで心通うような場面があったなら、その日は限りなく幸運な日だったのだ。私など、帰国するたびに、関空から乗るJRの「はるか」の車掌さんの丁寧さに心を癒され、思わず500ペソ札でチップを渡しそうになる。

俗に言われるフィリピン・ホスピタリティを体験したければ、それなりの代価を支払うか、通い詰めて「お友だち」になってしまうことだ。他人には限りなく無愛想、「お友だち」には底抜けのホスピタリティ、それがデフォルトだ。他人とふと心通うような微笑みの交換などの場面に出くわしたなら、それは、相手がかなり「できた」人だったか、特別に訓練された人だったか、何か下心のあった人だったかのいずれかだ。

横道にそれてしまった。写真では現行の時刻表をご紹介しておこう。上の写真はクバオ、パサイ両ターミナルからバギオに向かうデラックス便のスケジュール、下の写真はクバオからバギオとそれ以外の各地への通常便(トイレ無し、トイレ休憩あり)のスケジュールだ。日本からいらっしゃる場合は、空港に近いパサイから乗ることが多いことだろうから、デラックス便のスケジュール以外は役に立たないかもしれないが、いずれにせよ、バギオへはパサイからも30分-1時間に1本は通常便が走っている。

なお、デラックス便はたいていの場合、昼の便なら前日、夜の便なら午前中には満席になってしまうので、日本から着いてそのままというわけにはいかない。それ以前に日本からのフライトはいずれも接続が悪い。ホテルで一泊し、マニラ観光がてら前日までにチケットを入手しておくのが理想だ。バギオまでは5時間はかかる。時間をかける価値はある。ちなみに、エイジアン・スピリットがゼストに買収されて廃止されたバギオまでの国内線が近いうちに再開される、というのがバギオ空港の周辺住民のもっぱらの噂だ。そうなれば、マニラまではまた、45分のフライトで済む。

なお、一番下の写真は、ビクトリーライナー社が最近展開しているグランプリ・ホテルの宣伝だ。"Gran Prix"と、フランス語起源を気取っている様子なのにしては"d"が落ちている(本来は"Grand Prix")のは愛嬌か。ウェブサイトからはいくつかのホテルの予約もできるようになっている。写真がベッドの写真だけで、トイレやソファ、テレビなどの写真が無いところ、いろいろな情報を提供してくれるとうたっているメーリングリストに登録するとその先のページは工事中になっているところなど、細かい詰めがなっていないところは、さすが何事も形から入り、実が伴わないまま形を取り繕い続けるフィリピンならではだ。これだと、ウェブでも予約できますが10%分をクレジットカードから先払いいただきますと言われても、なかなか信頼して利用する気にはなれない。

誰にも何事にも期待しない、うまく行けばもうけもの、これがフィリピンと息長くつき合う秘訣かもしれない。

(#良い人も多いし、良い人は本当に良い人なんだけどね。でも、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯!」とか見てると、フィリピンの良い人級の良い人なんて、日本にもごろごろしてるよね。台湾・台南市版なんて、涙が出ちゃった)

 

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バギオへのデラックス便のスケジュール。"LV"は「出発」の意味。
上の段が"LV"で下の段が"FROM"なのは、表示に一貫性を求めない
フィリピンならではの詰めの無さを示している。

 

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その他の路線も含めた通常便のスケジュール。"AIRCON"はエアコン付き、
"ORDINARY"は、窓をびゅうびゅうに開け放して行く、エアコン無し。

 

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トイレ無しデラックス便の車内。トイレありの車体が
オレンジ色が目立つのに対して、落ち着いた色合いだ。
ただ、クイーンのライブアルバム顔負けの室内灯は、
これまたフィリピンの旅情を誘う?

 

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ビクトリーライナー社のグランプリ・ホテルの宣伝。
"Personalized"(お客様お一人お一人を大切にする)などとあっても
決して鵜呑みにしてはならない。

 

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2009/09/14

男のこだわり

久しぶりにマニラに行った。早朝に着き、所用の時間までは余裕があった。いつものようにビクトリーライナーのクバオ・ターミナルで時間を潰していると、一人の男がバスの清掃を始めた。道具は、バケツ1個、ぞうきん1枚、モップ1本とシンプルなもの。いでたちもおなじみのバスケのユニフォームにビーチサンダルだ。

まずは、バケツの水を、醤油や魚醤の容器を再利用したようなプラスチックの容器を使ってバスにかけていく。ホースなど無い。ところが、これが見事なコントロールだ。水はバスの屋根の下の絶妙な高さにピンポイントで当たり、側面を流れながら濡らしていく。それを、モップを器用に使い、上から磨き降りてくるのだ。

手の届く低い部分はぞうきんで丹念に磨く。大きなバスが瞬く間にぴかぴかになっていく。最初は車掌さんの仕事の一つなのかと気の毒に思っていたが、バギオに帰る夜のターミナルでも、同じお兄さんが別のバスを磨いていた。かくして、一台いくらということで、勤めを終えて次々と帰ってくるバスを磨いていくのだろうか。

フィリピンではプロ意識の無さが嘆かれることが多い。それは事実だ。しかし、このような、体を張ったプロの仕事を見せてもらったのは、寝ぼけまなこで時間を潰す旅の大きな収穫となった。

 

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最後の最後まで磨き上げる。どこまでも、手で。

 

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逆行なのにここまで鏡のようなつやが出せるのは、
真新しいバスとはいえ職人技だ。

 

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2009/09/09

コボイコボイも「近代化」とともに - フィリピン最新トイレ事情

このブログでも何度か触れている北ルソンの「コボイコボイ」という人々。英語の"cowboy"から来ている概念で、女性は「コゴルコゴル」(<"cowgirl")と呼ばれる。農業も交通も厳しいコルディリエラ山地で、質素な生活様式で柔軟かつ忍耐強く生きている人々を指す。

ある奥地の山村を訪問した時のこと。片言の現地語を話し、出される食べ物を喜び、あてがわれた板張りの寝床で熟睡する私にこの名誉ある称号が与えられた。しかし、翌朝、その村人たちが怪訝な表情を見せる。「あ~、コボイコボイにはまだまだだね」

彼らの視線の先にあるのは、寝ぼけまなこで朝のCR(トイレ:フィリピンでは"confort room"と呼ぶ)に向かう私の手からだらしなくぶらさがるSMバギオのビニール袋。中にあるティッシュペーパーを目ざとく見つけたのだ。コボイコボイは拭き取らない。洗うのだ。日本流に拭き取る行為は、山地・低地を問わず、フィリピン人の感覚には「塗り広げる」に等しい。

もちろん、洗う水が無い場合は、コボイコボイも拭き取る。しかしティッシュなどという金のかかるものは持ち歩かない。手頃な石、木の葉を使うのだ。女性の場合、小用ならおもむろに下着を上げるだけだ。下着が布なのになぜ拭き取る必要があるのかというわけだ。もっとも、最近は、コボイコボイ・コゴルコゴルたちも、旅の供にはティッシュを持ち歩く人が多い。数年前はティッシュの入手そのものが難しかった山の店でも、1ロールいくらで手に入るようになった。

不潔の代名詞とも言えた駅のトイレにまで「ウォシュレット」が見られるようになりつつある日本は、逆にフィリピンの感覚に近づきつつあるかもしれない。私も、フィリピンに来て以来、長いホースを引いてまで洗うようになった。新しい家に引っ越してそれができなくなってからは、どうも気持ち悪くて落ち着かない。多くのフィリピン人のように、全部脱いで大胆にバシャバシャと洗えばいいのだが、そこまではどうも面倒だ。

何を清潔と感じるかも文化の違いだ。「拭き取る文化」が発展する「洗う」フィリピンと「洗う文化」が発展する「拭き取る」日本。今後もそれぞれ、ニーズに応じ、絶妙なバランスを保ちつつ「近代化」は進んでいくことだろう。ティッシュは使えば無くなる。奥地の山村ではティッシュはまだまだ手に入らない。私にとっては石や木の葉を使いこなせるようになることも「近代化」の一歩だ。伝統的なコボイコボイと認めてもらえる日は来るのだろうか。

 

p.s. バギオの町中の公衆トイレに写真のようなものを見つけた。バシャバシャ以上「ウォシュレット」未満としてはありがたい設備だ。ホームセンターなどで手に入るらしい。

 

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設備はこれだけ。ちなみにフィリピンのトイレに便座はほぼ無い。
あっても、小の時に上げるという社会教育は無いので、常に濡れている。

 

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ノズルの表面はこんな感じ。手前の黒いボタンがスイッチ。

 

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水流はこれぐらいの強さ。調整はできないようで好みは分かれる。
YouTubeにはビデオクリップをアップロードしておいた。

 

 

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2009/09/07

バギオの大きな虹

教師会の午後、外では雨期ならではの大雨のような音が聞こえていた。夕方6時近くになってようやく解放され、疲れと憂鬱な気分で外に出たところ、なんと、ベンゲット州東部のウグ山系に向かって大きな虹が出ていた。

これほど見事な虹を見るのは、10年近いフィリピン生活でも初めてのこと。慌てて家に走り、安物のデジカメだが写真とビデオに収めた。クリップには少し、周囲の人々の間の抜けた感動の声が入っていたので、思い切ってBGMをつけてみた。キリスト教系の大学院なので、キリスト教のコンテンポラリーな讃美歌ととともにお楽しみください。

ちなみに最初に出てくる屋根が我が家の屋根、最後に出てくる建物が最近建てられた学術研究センター(Academic Research Center: ARC)。1-2階が図書館、3階が学生センター、4階が教室、5階が教師のオフィスになっている。ここに見えているキャンパスはごく一部で、ここから下っている坂道に沿って教師の住宅や7階建ての研修センター、学生寮など多くの施設が広がっている。

 

 

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ビデオではこちら側の先が建物に隠れていて見えなかったので
あらためて。

 

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