« ホントに大丈夫? | トップページ | 先の者が後になり »

2007/12/11

街の一大事 - フィリピンの国技

フィリピンの国技は、セパタクロ(sepak takraw)のようなスィパ(sipa)というスポーツなのだそうなのだが、 若者がこれに興じている姿など、10年近くのフィリピン滞在で一度も見たことがない。もっとも、きょうびの日本でも、 長く国技と思い込まれてきていた相撲に興じる若者の姿を見かけることはまずない。フィリピンのスポーツといえば、 個人競技ではボクシングにビリヤード、団体競技ではやはりバスケットボールだろうか。ビリヤードがスポーツというのは、 F1レースがスポーツだと言われるのと同じほど、スポーツに疎い私には不思議なことだ。

北ルソンの山間部では、バレーボールをしている光景もよく見られる。先日も、崖っぷちでバレーボールに興じていた小学生たちを見た。 ボールが彼らの輪を大きく外れ、100mはある急斜面を転がり落ちていってしまうと、 何人かの子供がそれを追いかけて走り降りていってしまった。さすがだ。彼らにとっては、 崖を落ちていったボールを探しに山の斜面を転がり降りていくことこそ、真のスポーツ、否、スリル満点の娯楽なのかもしれない。彼らならば、 かの源義経の「鵯越の逆落とし」なども、難なくこなしてしまったことだろう。人間の能力というのは、実に計り知れないものだ。付随する 「恐怖の感覚」も、文化によって大きな差があるのだろう。

さて、ヌエバ・ビスカヤ州バンバン(Bambang, Nueva Vizcaya)では、街の若者たちが、 愛用のバスケットゴールを修理していた。街の中心部には、行き交うジプニーやトライシクルの不便なども考えず、 広い道路の中央にバスケットゴールが置かれている。否、それらジプニーやトライシクルの運転手こそ、 バスケットボールに興じる中心的メンバーなのだ。そのため、いざ、バスケットゴールに不都合が生じると、すわ、街の一大事、 下の写真のように、若者が集まり、本業の運転の仕事顔負けに真剣な表情で補修作業が行われるのだ。

カラオケもビリヤードも娯楽ではあるが、自分で設備を持っていない者にとっては、金のかかる娯楽に違いない。ボクシングも、 テレビで観るにはいいが、自分でするには相手あってのもの、ちょっと路上でボクシングというわけにはいかない。路上で一人、 シャドーボクシングというのも、ちょっとあり得ない光景だ。野球は、ナショナルチームが無惨、日本と韓国の両方にコールド負けをしていた。 デ・ラ・サール大学のサッカーグランドでは、しばしば夕闇の照明のもと、野球チームが練習をしている光景が見られたが、裾野の広さ、 層の厚さという点では、バスケットボールの地位は安泰である。誰かのボール一つあればタダで楽しめるバスケットボール、 誰とでもすぐに親しくなれるバスケットボールは、22世紀になってもフィリピンのデ・ファクト国技の地位を占め続けることであろう。否、 その頃になれば、誰もが、道を歩きながら携帯端末片手にオンライン対戦に興ずるだけになるだろうか。

 

バスケットゴールの補修作業 
見事な協働作業が繰り広げられる、街の一大事。
普段は無気力で無愛想な兄ちゃんたちの間に、
感動的でさえある自己犠牲的な行動が見られる。

カラオケ屋
山間部の田舎町にも見られるカラオケ。どこまでも
場末な雰囲気を漂わせている。
"sing-along"((~に)沿って歌うもの)が、いわば「カラオケ」の英訳。
"-an"は、北ルソンの言語に共通して見られる接尾辞で「場所」の意。
雰囲気は場末でも、言語的には立派な借用と融合の現象が見られる。

 

|

« ホントに大丈夫? | トップページ | 先の者が後になり »

コメント

バレーボール、あまりマニラではみかけないですが、バギオではありますか!バギオではみたことなかったです。

ボラカイとか、ビザヤの砂浜では、現地の若い人が、ビーチバレーボールをしているのは、よくあります。
ボラカイで、昔に日本女子バレーが考案した(今は世界標準・・・?)「Aセット攻撃」「Bセット攻撃」「時間差攻撃」などを、ボラカイの若いフィリピン人たちに教えたものです。・・・

最近は、女子バレーも、世界で身長有利の結果で残念ですが、、こと女子に関しては技術次第で、身長差の克服もありえますから、日本も、そしてフィリピンも、背が高い海外相手に、技術を研鑽して、挑んでもらたいです

投稿: tacchy | 2007/12/11 06:58

tacchy さん

ヌエバ・ビスカヤ州の山間部が、けっこう不思議にバレーボールが盛んで、当たり前のバスケットゴールの横に常時、バレーのネットが張ってあったりします。

バギオで草バレーをしているのを見たのは、私も初めてだったので、驚きました。あの切り立った崖を転がり落ちていったボールは、その後、どうなったのか。あの崖っぷちでのバレーは、あまりにリスクが多すぎます。

フィリピンでは、バレーといっても、レシーブ、トス、スパイクなどの麗しい連携はあり得ず、結局はネットをはさんでボールを送り合うだけなので、あまり面白いものにはなりません。目を見張るような技が見たければ、草バスケットボールにかなわないのはご承知のとおりです。海岸部では逆に、バスケのボールも跳ねようがないので、バレーが好まれるというのはわかりやすい気がします。

いずれにせよ、限られたスポーツだけでは、できる人とできない人が出てきますから、楽しめるスポーツの幅が出てくるというのは、人々の健康にとっても良いことですね。

投稿: りけるけ | 2007/12/11 09:34

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/24691/17337399

この記事へのトラックバック一覧です: 街の一大事 - フィリピンの国技:

« ホントに大丈夫? | トップページ | 先の者が後になり »