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2007/04/06

快適なビクトリー・ライナー・デラックス便

バギオ在住者にとってマニラに出るのは一日仕事だ。バギオ-マニラ間を45分で結ぶエイジアン・スピリット(Asian Spirit)の飛行機が使える余裕があれば良い。あるいは、飛行機が飛んでくれる乾期なら良い。大半の人々はビクトリー・ライナー (Victory Liner)をはじめとする長距離バスを利用することになる。昼間ならば7時間、夜間でも5時間半はかかる。

ビクトリー・ライナーがバギオ-マニラ間に「デラックス便」(De Luxe)の運行を始めてしばらく経つ。かつてはシソン (Sison, Pangasinan)、タルラック(Tarlac, Tarlac)、ダオ(Dau, Pampanga) と3回あったトイレ休憩が、最近はダオが飛ばされる傾向にあり、トイレの近い利用客にとってはかなりつらい道のりになってきていたのだが、 バギオ発にして00:15、10:15、13:15と一日3便、休憩なしだがトイレ付きの便が運行されるようになったのは朗報だ。

ただし、休憩には休憩の楽しみもある。ハンバーガーやソーセージなどの軽食を取ったり、 スナックやアイスクリームを買ったりの楽しみだ。デラックス便にはささやかな水と子供だましなお菓子がついてくるが、 休憩時間がないということは、そのように小腹を満たす方法も無いということだ。途中で名物チチャロン親父が乗り込んでくることもない。 旅の友は乗り込む前に買っておく必要がある。

通常便が395ペソであるのに対して550ペソと割高ではあるが、 日本の夜行高速バスのような3列のみのシート配置にはそれだけの価値がある。所要時間も、昼間でも1時間、 夜間ではさらに30分の短縮になっているのではないだろうか。車掌さんが若くてこぎれいなおねいさんだという点もポイントが高い。

トイレは清潔で、ティッシュも備え付けだ。何より、いつでも行けるというのが、当たり前ながらありがたい。 ただでさえショックが緩いぷわぷわなバスが、道路事情の悪いフィリピンの道をぬるいタテノリで走っていくのは、 頻繁な追い越しのたびの加減速とあいまって、トイレの近い者の膀胱に非常に悪いように思われるのだ。これで、 トイレの近い私のそもそもの元凶、日本にいる母を呼べる準備が整ったというものだ。

洗浄は、水を貯めてあるタンクから手桶で、というフィリピン風ではなく、飛行機のように圧力をためて急激にゴボボボと流す方法で、 フィリピン風に慣れてしまった者としては、たかが小用でもそこまでされるのは申し訳なく、思わず手で止めたくなる。

少し前までは車内の娯楽をVCDに頼っていたビクトリー・ライナーも、巷に「9 in 1」 と呼ばれる海賊版が氾濫する昨今の風潮を反映してか、英語字幕つきDVD放映をするようになった。 これまではせいぜい映画2本くらいだったのが、 3本たて続けに放映されたりすることもある。日頃、 映画に疎い者にとっては良い機会にもなるのだが、せっかくの昼間、少しまともな読書をしようなどと思っていると、誘惑との戦いに敗れ、 仕事にならなくなる。さらに放映される映画が「ターミネーター」シリーズ3本立てだったりすると、 着いたマニラが核戦争後の無秩序な世界に思え、タクシー運転手のぼったくりにも銃撃で対応したくなるから困る。

デラックス便には、前方と中程にTVモニターが2台設置されており、乗客の映画漬けに荷担しているようにも見えるが、 コストがかかった車体は高い倫理性を備えた運転手に任されているのか、ボリュームは無視したければできるほどに抑えられている(もっとも、 高い倫理性と言っても、「ビクトリー(勝利)」の名をほしいままにするごとくの、あのあおりと強引な追い越しは変わらない)。 モニターの一台が、接触が悪いのか、ついたり消えたりするのがフィリピン的だが、車掌のおねいさんが何度も申し訳なさそうにやって来て、 体を一杯に伸ばして直してくれるのは、フィリピンにおける顧客サービスの新時代の到来に思えて微笑ましい。

ただ、ビクトリー・ライナーと言えば「走る冷蔵庫」、地球環境保護に率先して逆行する過度な冷房サービスの代名詞でもあるのだが、 私の乗ったデラックス便は冷房の利きが悪く、快適さという点では、ありがたいのか不快なのか、若干アンビバレントなものがあった。

このデラックス便、パサイのターミナルの窓口には案内が無かったので、クバオからのみ出ているのかもしれない。 マニラからご利用の際にはご注意を。また、意外に人気が高く、予約が早く埋まったり、 あるいは都合でキャンセルされていたりすることもあるのも注意が必要だ。

 

バス正面 車内風景
(左)正面にはこのような案内板。
(右)車内風景。左の2列の間にも若干のスペースがあり、ゆったり感を増している。
後部左手はトイレ入口。

右列 左列
予約の際に2人連れは左側、1人客は右側に割り振るなど、日本のJRばりの配慮を
しているかどうかは不明。

便器 窓と空調
便器も清潔、窓も大きく十分な採光が得られている。
ただ、圧力の充填に時間がかかるため、「大」をした後は若干うろたえた。
換気扇はないが、空調が来ていて常に新鮮な空気が提供されているのと、
車掌のおねいさんが定期的に消臭スプレーを振りに来る。

洗面台 ティッシュ
洗面台も清潔。鏡も大きい。石鹸のように見えるのは消臭剤。
ティッシュもきちんと予備があり、安心。

おみやげ 
乗り込むと各座席に置かれているおみやげ。
子供だましでせこいところがフィリピンらしい。
ちなみに、お菓子がぷんぷんに膨らんでいるのは、
標高1,500m、気圧の低いバギオのため。

 

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