カテゴリー「08 資料・サイト・サービスご紹介」の2件の記事

2009/09/15

ビクトリーライナー最新情報(2009年9月現在)

先の記事でも触れたように、久しぶりにマニラに行く機会があったので、前々からご紹介したいと思っていたビクトリーライナーの現行のスケジュールをご紹介したい。

行きは、バギオ発のデラックス便(23:15だったかな)ではマニラ着が早すぎるので、いつもは02:30くらいの通常便で行のだが、ターミナルで時間をつぶしていると友人と出会ったので、誘われるままに最近できている01:15の(セミ)デラックス(トイレ無し、休憩1回)便に乗ることにした。これは、700ペソのデラックス便より50ペソ安い650ペソだ。

土曜日の夜中だったにもかかわらず、車内はがらがら。私たちを合わせて、乗客は6人ほどしかいなかった。乗務員は運転手さん1名で、例の(いなくてもいいような)「スチュワーデス」と(配らないほうがましな)形だけの水とお菓子も無く、それでもペイできるのかもしれない。

私は、大のほうが、いったん便意を覚える段階に至ってしまうとほとんど我慢できないつらい直行体質なので、用心のためにイモジューム(英語では「イモウディアム」)を飲んでおく。これが強烈に効く。健康体なら2日は人工的な便秘が続くのだ。

今回はアイマスクも用意して行った。日本のバスのように消灯するとか、カーテンを閉めるとか、運転席スペースと客席スペースを仕切るようなカーテンがついているとか、そういう配慮は全く無く、対向車も平気でビームアップして走っているので、少しでも光があると熟睡できない人には必需品だ。私はそれほどデリケートではないが、おかげでいつも以上にゆっくりと休むことができた。

帰りは通常のデラックス便にした。丸一日の仕事を終えて車中2泊目なので、思い切ってぜいたくをすることにしている。ただ、皆さんも13番のシート、すなわち、通路右手の一人席側、トイレのすぐ前の席は避けたほうがいい。ここだけ、トイレがあるために、前のシートとのスペースが狭くなっている。フィリピンでは後ろの人に配慮してシートを倒すなどという配慮も皆無なので、うっかり足を組んでいて膝の皿が割れそうなダメージを受けた。深夜の孤独な涙だ。

「スチュワーデス」も、マビニあたりのおねいさん顔負けのぶりぶりのスタイルにミニスカートという、およそ場違いというか、逆にある種の人々には実に旅情をかき立てられるいでたちだ。ところが、例に漏れず、接客は全くなってない。私のチケットを受け取ったはいいが、隣の席の客が話しかけてきたため、その客と話しながら、ひょいと後ろ手で返してきた。

日本では完全ダメ出しに相当するこのような場面も、この国にいる限りは旅の余興と思ってスルーできる余裕が必要だ。日本では常識とされるような当たり前の「カスタマーサービス」など期待してはならない。店やレストランで心通うような場面があったなら、その日は限りなく幸運な日だったのだ。私など、帰国するたびに、関空から乗るJRの「はるか」の車掌さんの丁寧さに心を癒され、思わず500ペソ札でチップを渡しそうになる。

俗に言われるフィリピン・ホスピタリティを体験したければ、それなりの代価を支払うか、通い詰めて「お友だち」になってしまうことだ。他人には限りなく無愛想、「お友だち」には底抜けのホスピタリティ、それがデフォルトだ。他人とふと心通うような微笑みの交換などの場面に出くわしたなら、それは、相手がかなり「できた」人だったか、特別に訓練された人だったか、何か下心のあった人だったかのいずれかだ。

横道にそれてしまった。写真では現行の時刻表をご紹介しておこう。上の写真はクバオ、パサイ両ターミナルからバギオに向かうデラックス便のスケジュール、下の写真はクバオからバギオとそれ以外の各地への通常便(トイレ無し、トイレ休憩あり)のスケジュールだ。日本からいらっしゃる場合は、空港に近いパサイから乗ることが多いことだろうから、デラックス便のスケジュール以外は役に立たないかもしれないが、いずれにせよ、バギオへはパサイからも30分-1時間に1本は通常便が走っている。

なお、デラックス便はたいていの場合、昼の便なら前日、夜の便なら午前中には満席になってしまうので、日本から着いてそのままというわけにはいかない。それ以前に日本からのフライトはいずれも接続が悪い。ホテルで一泊し、マニラ観光がてら前日までにチケットを入手しておくのが理想だ。バギオまでは5時間はかかる。時間をかける価値はある。ちなみに、エイジアン・スピリットがゼストに買収されて廃止されたバギオまでの国内線が近いうちに再開される、というのがバギオ空港の周辺住民のもっぱらの噂だ。そうなれば、マニラまではまた、45分のフライトで済む。

なお、一番下の写真は、ビクトリーライナー社が最近展開しているグランプリ・ホテルの宣伝だ。"Gran Prix"と、フランス語起源を気取っている様子なのにしては"d"が落ちている(本来は"Grand Prix")のは愛嬌か。ウェブサイトからはいくつかのホテルの予約もできるようになっている。写真がベッドの写真だけで、トイレやソファ、テレビなどの写真が無いところ、いろいろな情報を提供してくれるとうたっているメーリングリストに登録するとその先のページは工事中になっているところなど、細かい詰めがなっていないところは、さすが何事も形から入り、実が伴わないまま形を取り繕い続けるフィリピンならではだ。これだと、ウェブでも予約できますが10%分をクレジットカードから先払いいただきますと言われても、なかなか信頼して利用する気にはなれない。

誰にも何事にも期待しない、うまく行けばもうけもの、これがフィリピンと息長くつき合う秘訣かもしれない。

(#良い人も多いし、良い人は本当に良い人なんだけどね。でも、NHKの「鶴瓶の家族に乾杯!」とか見てると、フィリピンの良い人級の良い人なんて、日本にもごろごろしてるよね。台湾・台南市版なんて、涙が出ちゃった)

 

024
バギオへのデラックス便のスケジュール。"LV"は「出発」の意味。
上の段が"LV"で下の段が"FROM"なのは、表示に一貫性を求めない
フィリピンならではの詰めの無さを示している。

 

029
その他の路線も含めた通常便のスケジュール。"AIRCON"はエアコン付き、
"ORDINARY"は、窓をびゅうびゅうに開け放して行く、エアコン無し。

 

023
トイレ無しデラックス便の車内。トイレありの車体が
オレンジ色が目立つのに対して、落ち着いた色合いだ。
ただ、クイーンのライブアルバム顔負けの室内灯は、
これまたフィリピンの旅情を誘う?

 

028
ビクトリーライナー社のグランプリ・ホテルの宣伝。
"Personalized"(お客様お一人お一人を大切にする)などとあっても
決して鵜呑みにしてはならない。

 

blog_ranking_banner.png ブログランキング【ブログの惑星】 人気ブログランキング【ブログの殿堂】
(クリックで応援していただけると励まされます)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009/01/31

フィリピンをまた少し知るために

統計上は国民の85%がローマ・カトリック教会の信徒、10%がプロテスタント諸教派の信徒と言われるフィリピン。最近でこそ、韓国がそれに取って代わりつつあるとはいえ、依然としてアジアで唯一の「キリスト教国」と呼ばれるゆえんだ。フィリピンの「キリスト教」ならびに「キリスト教徒」の実情はさておき、その根本的な哲学や思想、文化的背景の一端を占めるキリスト教について知っておくことは、フィリピンをまた少し知ることにつながるかもしれない。

キリスト教の入門書は文字通り無数に存在するが、一番気軽に読めるのは、八木谷涼子著『知って役立つキリスト教大研究』(新潮社, 2001年)だろう。

八木谷 涼子 著
『知って役立つキリスト教大研究』
(新潮OH!文庫)

キリスト教徒ではない著者によって書かれたこの本は、フィリピンに来る誰もが素朴に抱くカトリックとプロテスタントさらには東方正教会の違いに始まり、フィリピンでもよく耳にする「バプテスト」「ボーナゲン(ボーン・アゲイン)」「ペンテコスタル(ペンテコステ)」など、プロテスタント内の様々な教派の違いについても、教会堂の建築様式や礼拝様式、司祭(神父)、牧師のユニフォームの違いまで、著者自らの手によるイラストを交え、わかりやすく説明してくれている。

また、フィリピンのキリスト教信仰の実情について、もう少し立ち入ったことを学びたいという方には、関一敏・大塚和夫編『宗教人類学入門』(弘文堂, 2004年)に収められている寺田勇文著「キリスト教」(73-91ページ)がお薦めだ。

関 一敏・大塚 和夫 編
『宗教人類学入門』

「世界宗教としてのキリスト教」「「外来」と「土着」」「グローバル化の中のキリスト教」という3節を設け、世界宗教としてのキリスト教の概観、フィリピン国内に見られる、純粋に輸入されたキリスト教信仰と土着宗教と混交した「キリスト教信仰」、さらにはブラジルやペルーなどの南米諸国からの人々も含めた「出稼ぎ」の人々が、日本のとりわけカトリック教会にどのような影響を及ぼしているかについて、興味深い実例を取り上げつつわかりやすく説明してくれている。一章分を読むために一冊購入するのははばかられるという方も、時間が許せば図書館などを利用して一読してみるというのもいいかもしれない。

また、キリスト教のそもそもの開祖であるイエス・キリストなる人物について知りたいという方には、拙訳で恐縮ながらマイケル・グリーン著『イエスとは誰なのか?』(地引網出版, 2008年)をお薦めしたい。

マイケル・グリーン 著
吉原 博克 訳
『イエスとは誰なのか?』

この本には、イエスの生まれた歴史的背景、その言葉、その行い、その生涯の意味、その死と「復活」の意味、キリスト信仰というものの意味、教会というものの意味、聖書、特に新約聖書に収録されている福音書と呼ばれる4巻の書物の概観と信頼性、イエス・キリストをめぐる聖書以外の歴史的資料の紹介などが、イギリス国教会の司祭で、キリスト教の伝達と受容についての研究では世界的に知られた著者の手によって淡々と、時には情熱的に、提示されている。

 

フィリピンにいると、この国を「キリスト教国」とはとても呼びたくないような場面にも出くわす。あるいは「さすがキリスト教国……」と言いたくなる場面もあるかもしれない。それらはいずれも、あくまでキリスト教に対する私たちのイメージが肯定的な場合であって、さもなくば「これだからキリスト教は……」「意外にもキリスト教は……」ということになるだろう。いずれにせよ、私たちの目にするものがフィリピンという国のありのままの姿なのであり、キリスト教という宗教のフィリピンにおけるありのままの姿であることに変わりはない。

これらの資料に触れることにより、私たちが、キリスト教というレンズを通して、さらにこのフィリピンという国を違う角度から見つめていくことができれば、私たちの訪問や滞在もまた、豊かで実り多いものになっていくのかもしれない。

 

blog_ranking_banner.png 人気ブログランキング【ブログの殿堂】

(クリックで応援してくださいね)

| | コメント (2) | トラックバック (0)