2008/07/07

「キリスト教国」ならでは

しばらく更新が滞っていました。現在、8月初めまで一時帰国中、東日本を転々としながら仕事をしています。そういう事情で、 少し時間的な余裕のできたこれからはしばらく、以前に撮った写真を基に、記事を書いてみたいと思います。

 


 

クリスマスになると、フィリピンの書店には下の写真のようなディスプレイが登場する店がある。書店といっても、出版事情が悪く、 読書人口も少ないフィリピンでは、せいぜいMall of AsiaやGloriettaなどといった大きなモールにあるものを除き、 文房具店に毛の生えた程度のものでしかない。

写真はGlorietta内の書店でのもの。別の店なのか書店の一部なのかは忘れてしまったが、キリスト教雑貨を扱う一角があり、 数々の聖像と並んでこのようなイエス像が現れる。統計上、キリスト教徒が90%を超えるキリスト教国ならではのユーモラスな風景ではあるが、 それも名ばかりのこと、人の命が限りなく軽いと言わざるを得ないこの国の様子を見るにつけ、 ただ面白いでは済まない現実があることも確かである。

それにしても、21世紀の天国にもコンピューターがあり、イエス・キリストは、 信者からの祈りをEメールを処理するかのように聴いているのであろうか。

文房具のイエス像

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2008/04/15

バギオまでの道のり (3) ビクトリー・ライナーでバギオ入り

ビクトリーライナーのターミナルに着いて、表で降ろされたら、中に入っていきます。この時、簡単な荷物チェックがあります。 中に入ったら、あるいはタクシーが中まで入ってくれて中で降ろされたら、 ターミナル奥の車庫に向かって左手にバギオ行きのチケットカウンターがありますので、「イサン・ワンノクラック・ポ・サ・バギオ」とか、 「ワンタルティー(1:30)」とか「トゥーアクラック(2:00)」など、おねいさん(最近は時々おにいさんもあり) に適当な時間を言ってチケットを買います。

昼間は、毎時と30分に出ています。時間がぎりぎりの場合は、チケット無しで飛び乗ってしまって中でお金を払ってもかまいません。 バギオ行きはターミナル奥に向かって右手から出発です。そのすぐ前にトイレもあります。2ペソです。なお、パサイからも(ケソン市のクバオ・ ターミナルからも)一日何便か、「デラックス」という、バギオまでノンストップでトイレつきのゆったり座席のバスが出ています。 こちらは600ペソで、チケットカウンターの前から出ます。デラックス便の場合は、トイレはついていますが休憩がありませんので、 時間帯によっては食事やおやつを買って持ち込んでおかなければ、飢えに悩まされることになります。デラックス便については、 当ブログの過去エントリー(こちら) もご参照ください。

パサイからバギオまでは、昼間は通常便で7時間ほど、デラックス便で5時間半ほどかかります。通常便の場合、まず、 2時間ほどのパンパンガ州ダウ(Dau, Pampanga)というところで休憩があります。 この場所は時々スキップされることがありますので、トイレの近い人は注意が必要です。ずっと高速道路を走っていて、右手の側道に入り、 高架を渡って高速を横切ることがあれば休憩です。バスはしばらくまっすぐ進んで左手のバスターミナルのようなところに入り、 右手の一番奥に止まります。トイレは降りて左手の一番奥、ここだけ5ペソという高額を取ります。ただ、その分、確かに、 トイレのきれいさは見違えるばかりになりました。

ちなみに、売店のミネラルウォーターは25ペソほど、アイスティーは 35-40ペソほど、 豚肉のバーベキューは1本25ペソほどです。いろいろとつまみながらの旅は通常便の魅力です。ただ、 休憩は10分ほどですのでゆっくりしている余裕はありません。荷物は、貴重品以外は置いておいて大丈夫です。 ノートパソコンの入ったかばんは、念のため、持って出たほうがいいでしょう。時々、新しく乗ってくる人がいますので、 座席にタオルなど置いておくのが旅のテクニックです。また、ビクトリーのバスがいくつか並ぶことがありますので、バスの番号と 「Baguio」行きの表示を必ず確認して乗り降りしてください。

次の休憩場所、ターラック州ターラック(Tarlac, Tarlac)は約1時間後です。ここを飛ばすことはまずありません。 ガソリンスタンドのある広いターミナルのようなところで休憩です。バスの止め方によって正面ないし左手になりますが建物があり、 その中にトイレがあります。建物に入ると正面にいくつかファーストフード的な店があり、男性のトイレは左手、女性のトイレは右手にあります。 2ペソです。建物右奥にコンビニがあります。ここの休憩は15分ほどですが、昼時の場合はここで食事休憩になり、少し長い休憩 (20分ほど)になります。バスにお兄さんがハンバーガーを売りに来ますので、初めてで不安な場合はこれを利用しましょう。ハンバーガー、 チーズバーガー、ベーコンチーズバーガーの3種類で、炭酸飲料の飲み物と一緒でも100ペソ以下です。 ちなみに、 この休憩場所に止まらなければ、別の道端のドライブインのようなところに止まります。トイレは建物の左手一番奥、2ペソです。 ここでもいろいろと食べられるようになっていますし、コンビニもあります。

最後の休憩場所パンガシナン州シソン(Sison, Pangasinan)は、2番目の休憩から約1時間半のところです。 もう周りはすっかり田舎の風景です。トイレは、正面の一番奥、左手です。2ペソです。 ここでもいろいろ売っていますので食べてみてもいいでしょう。カウンターに座って「チキン・マミ」と言えば、地味な鶏肉入りラーメン (35ペソ)、「アロス・カルド」と言えば、これまた地味なおかゆ(40ペソ)が出てきます。 手前で売っているソーセージとバーベキューは28ペソ、左手にコンビニもあって飲み物やアイスクリームも買えます。15分間の休憩です。

この休憩が終わると、バスは急にカーブの急な田舎道に入っていき、やがてぐんぐんと山道を登り始めます。 1時間半ほど登ったところでバギオです。パサイ13:30くらいの出発なら、 ちょうど右に左に南シナ海の美しい夕焼けが見える時間帯かもしれませんし、それ以後でも、進行方向左手にバギオの町はずれの地域が、 夜の闇になんとも幻想的に浮かんで見えることでしょう。

バスは、通常便はターミナルの外に止まります。降りて、トランクに預けた荷物をもらい、進行方向に少し歩いていくと、 真正面にビクトリーライナーのバギオ・ターミナルの建物があり、左手にタクシーが並んでいます。バスの降り口には、 宿屋を紹介するおやじたちが群がってきますので、特に宿を決めていなければ、ここで交渉してみてもいいでしょう。

昼間の到着で、荷物が少なければ、そこに止まっている「Plaza-PNR」と書いたジプニーに乗っても大丈夫です。 7.5ペソでバギオ市の中心街まで行きます。降りて進行方向にまっすぐ進み、突き当たりを左にちょっと坂道を下るとバーンハムパーク、 右にちょっと坂道を上るとセッション通りに出ます。

それでは、お気をつけていらしてください。皆さんとバギオの街角ですれ違う日々を楽しみにしています。また、 コメントなどでご質問を寄せていただけましたら、FAQというわけではないですが、 さらに細かいご説明をアップロードすることもできると思います。皆さんがこの北ルソンという愛すべき地域を堪能していただけるならば、 これほどの喜びはありません。

 

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バギオまでの道のり (2) 国内線でバギオまで

1: 国内線でバギオへ

国内線の空港までは、国際線のターミナルからはタクシーで100ペソくらいでしょうか。チェックインして、 時間が来るまでは建物内の待合室で待ちますが、時間が来ると、外の暑い中を歩き、Asian Spiritの飛行機に、 昔の羽田のようにタラップで乗り込むことになります。チェックインできる荷物が10kgまでくらいだったと思うのですが、 それ以上の場合は乗せてくれないのか、それとも追加料金になるのかは、日本にいるうちに旅行会社などで確認しておいてください。

座席は指定されていなかったと思います。年季ものの機体で驚かされるかもしれません。出発直前までクーラーが入らないので、 座席に置いてくれているAsian Spiritのうちわでパタパタとあおいで待つことになります。フライトそのものは45分で、一度、 ジュースのサービスがあります。トイレは一番後ろです。

無事にバギオに着くと、空港の建物というか「小屋」を出たところにタクシーがいます。バギオ市内までは100ペソほどでしょうか。 荷物が少なければ、その辺の「Baguio」とか「Plaza」と書いてあるジプニーに乗れば、バーンハムパークの近くまで、 10ペソほどで行ってくれます。お金を隣の人に渡して、それが運転手まで渡っていった段階で「マイサ、バギオ」と言えば、 おつりが返ってきます。

国内線の難は、マニラが快晴でもバギオが曇りなら、バギオ上空で旋回してマニラまで帰ってきてしまうという点です。もしも、 マニラに帰ってきてしまった場合は大変です。それを目当てにしたタクシーの運転手なり客引きが寄ってきますが、 タクシーですとバギオまで6,000ペソから取られます。なんとか外に出ると、 国内線のターミナルにはクーポンタクシーのカウンターは無かったはずなので、ぞろぞろと並んでいるタクシーに、「マッカーノ、サ・ ビクトリー・パサイ?」と聞いてせいぜい250ペソくらいのものを選び、ビクトリーライナーのパサイターミナルまで運んでもらいましょう。

 

2: サンフェルナンド(ラ・ウニオン州)経由でバギオへ

ただし、マニラまで引き返すほどの天候ではない場合、 あるいは最初からバギオの天候が悪くて飛べないということがわかっている場合には、バギオから西へ30kmほど、 西海岸沿いのサンフェルナンド市に飛んでくれることがあります。ルソン島には主要なサンフェルナンドが2つあります。 一つはパンパンガ州にあるサンフェルナンド市、もう一つがこちら、ラ・ウニオン州にあるサンフェルナンド市です。ラ・ ウニオン州のサンフェルナンド市まで来れば、バギオはバスで2時間の距離です。

サンフェルナンド空港も、閑散とした田舎の空港です。 トライシクルという屋根つきサイドカーつきオートバイがここでの主要な乗り物です。これで、「マッカーノ、サ・バストゥルミナル・サ・ バギオ?」などと値段を聞いて、運んでもらいましょう。20-30ペソほど、 スーツケースを見てふっかけられても40-50ペソほどのものではないでしょうか。

サンフェルナンドからは、バギオ行きのバスが分刻みと言っていいほど頻繁に出ています。Partas社のもののような、 ちょっとゆったりとした長距離観光バス的なものから、Eso-Nice社のもののような、いわゆる「ミニバス」 と呼ばれる少し窮屈なものまでいろいろあります。料金は大きなバスなら150ペソほど、ミニバスなら80ペソほどでしょうか。 バギオまで約2時間の道のりです。途中、休憩が1回ほどあります。

(続く)

 

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バギオまでの道のり (1) ニノイ・アキノ国際空港まで

しばらく更新ができずにいました。ちょくちょく足を運んでいてくださった方々には失礼をいたしました。

さて、これからは少し、北ルソンに足を運んでみたいが具体的にどう行けばいいかわからないという方々を対象に、 最近の交通事情を踏まえた手引きを書いてみたいと思います。 あくまでも個人の体験や見聞きするところに基づくものですので不備もあるかとは思いますが、ご参考になさっていただければ幸いです。

第1回の今回は「ニノイ・アキノ国際空港まで」です。日本の各空港での飛行機への搭乗の仕方については、 ここでは触れる必要はないと思いますが、特別なビザなしに観光でフィリピンにいらっしゃる場合には、 日本への復路ないし第三国に抜けるための航空券を既に購入していることが必須です。 観光ビザはマニラに到着した際にパスポートにスタンプの形で発行してもらえます。21日間有効ですが、 延長はフィリピン国内で比較的簡単にしてもらえるようです。

復路ないし第三国に抜けるための航空券が無い場合には、搭乗手続きカウンターで、日本航空の正規航空券を買うように指示されます。 一番安いのはマニラ-香港のもので、これは1年以内であれば払い戻しができるのですが、 観光でいらっしゃる方の場合には復路ないし次の観光先へのチケットを確保していらっしゃる場合がほとんどでしょうから、 ここではこれ以上は触れないことにします。

フィリピンへの航路は、マニラに乗り入れているものとして、日本航空、タイ航空、ノースウェスト航空、 それにフィリピン航空の各社があります。この他に、セブに乗り入れているものや、 北ルソンに比較的近いクラークに乗り入れているものもありますが、ここではマニラに乗り入れているものに話を絞って進めていきます。

マニラのニノイ・アキノ国際空港にはターミナルが2つあります。一つは第1ターミナルと呼ばれる古いほうのターミナルで、 フィリピン航空以外の各社便はこちらに到着になります。もう一つは第2ターミナルと呼ばれる新しいほうのターミナルで、 フィリピン航空の専用ターミナルとなっています。

まずは入国審査です。日本のフィリピン大使館・領事館などであらかじめ48日間の長期滞在のビザを発行してもらっている場合には、 該当のパスポートのページを開いて審査官に見せてください。さもないと、新たに観光ビザを発行されてしまい、 せっかく日本で取ってきたビザが無駄になってしまいます。

入国審査を済ませると、搭乗の際にチェックインをした荷物を取って出てきますが、出口のところが税関になっています。 その手前に銀行のカウンターがありますので、手持ちのペソが無い場合には、1万円くらいは両替をしておいたほうがいいかもしれません。 1泊目のホテル代を現金で支払う場合は、その分も考慮する必要があります。為替レートに注意しながら、当面、 必要となる分だけ替えておきましょう。タクシー関係でチップを渡すようなこともあるかもしれません。 両替してもらったお金に100ペソ札が含まれるようでしたら、20ペソ札5枚にしてもらっておくと都合がいいかもしれません。

空港の建物を出ると、預けた荷物を正しく取っているかのチェックがありますので、日本でチェックインの際にe-チケットなり、 クーポンなりにペタッと貼ってくれるステッカーを用意しておいてください。チェックインした荷物に貼ってあるステッカーと照合した上で、 チケットなりクーポンに貼られたステッカーを取ってくれます。これで終了です。ただし、 これは日本からの乗客の場合は省略されることも多いようです。

第1ターミナルの場合は、建物を出て、道路をまっすぐ渡り、一見、地下道に見えるところを下りていきます。そして、 つきあたりをそのまま右に下りても左に下りても結構ですが、下りたところか、下りてもう一つ、 道路を渡ったところに空港のクーポンタクシーのカウンターがあったと思います。第2ターミナルの場合は、 建物を出て左のほうに歩いていくとあります。右手には、おもに出稼ぎ帰りの家族や親類を迎える殺気だった群衆がいますので、その反対側です。

クーポンタクシーの値段は常に変化しているようですが、マニラ市の南部で450ペソ程度から、 マカティーならば550-600ペソくらいでしょうか。ごく希にメーターで走っているタクシーに比べれば法外な値段ですが、 安全と手間を買うつもりで、また、節約は他でするつもりで、まずは良しとしましょう。観光客に決して優しくない自称観光立国フィリピン、 そして特に首都マニラの一つの顔です。バギオではこういうことはまずないので、一刻も早くバギオにいらしてください。

交渉が成立してお金を払うと、クーポンを持ったお兄さんかおじさんが、荷物を持ってタクシーのところまで案内してくれます。まあ、 良い感じだなと思えば、10-20ペソくらいチップをあげてもいいかもしれません。目的地に着くと、 書類にサインをするように運転手から頼まれます。この時も、進んで荷物を降ろしてくれたり、良い感じだと、また、 適当にあげてもいいでしょう。基本的には、チップも料金に含まれている建前ですので、特にあげなければならないことはありません。

(続く)

 

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2007/12/13

先の者が後になり

「しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる」

ヌエバ・ビスカヤ州カスィブ郡(Kasibu, Nueva Vizcaya)への訪問を終え、バギオ市(Baguio City) への帰途についた私は、ほこりっぽい田舎道、うなりを上げてやって来たジプニーに飛び乗った。この地方の交通の要衝、ヌエバ・ ビスカヤ州バンバン(Bambang)へと下るためだ。唯一の幹線道路とはいえ、不定期にしか来ないジプニーは、 一つを逃すと一時間も二時間も待たされることがある。

乗り込んだジプニーは珍しくがらがらだ。バンバン行きのジプニーはたいてい、奥地での農作物を満載しており、 人は屋根にしか乗る場所が無い。いかにも役所に行きますといった、田園風景には恐ろしく場違いな服装の奥様方、 カスィブの埃道を行く前からやたら粉っぽい顔をした奥様方でさえ、いかにも重たげなお尻をためらいなく屋根に上ってくる。 ちなみにカスィブ郡の特産物はショウガ、カボチャ、それに柑橘類である。

少し行くとジプニーが止まる。不審に思っていると、道端に高く積まれた米のサックを積み始める。そう、米もまた、 高地ながら盆地の平地であるこのカスィブ郡の特産物なのだ。がらがらのジプニーはやはり、 がらがらのままバンバンに下るような愚かな無駄はしないのである。

一つのサックは、おそらく50kgの米が詰められているのであろう。農家のオヤジらしき人物の指示で、ジプニーの車掌である若者と、 なぜか乗客の若者が、協力しながらジプニーに積み込んでいく。こういう時に、なんだ、オレは客だぞ、 などと野暮なことを言わず自然に手伝える若者の姿は、いくら彼もまたおそらくは農家の子供でそれが生活の一部になっているにしても美しい。 二人の若者は、サックの両端を持ち、二、三回、左右に振って弾みをつけ、頭の上の高さまで振り上げる。 そして運ぶ側の若者がサックをしっかり握ったまま体を反転させると、重い米のサックがずんと頭の上に乗るという要領である。

しかし、どれほど淡々と仕事をこなしているように見えようが、50kgからの米を頭に乗せて積み込み作業を続けるというのは、 決して楽な作業ではない。そういう姿を見ていると、こちらも、後から乗れそうなジプニーがやって来たとて、 あっさりと見切ってそちらに乗り移るわけにもいかない。"katugawan"(同じイスに座り合わせた者同士) という言葉さえある文化である。ここはこちらも、早く先に進みたいという心の苛立ちを隠しながら、のんびりと待つことにする。

カスィブ郡はのどかな田園地帯である。小川のほとりにはココナツの木が並ぶ。お取り込み中のジプニーの横を、 パニキと呼ばれる荷台を引いたカラバオ(水牛)が何の遠慮もなく追い抜いていく。ちらりとこちらに一瞥をくれていくのは、 カラバオなりの礼儀というものがあるのだろう。

冒頭の言葉は、新約聖書のマタイによる福音書19章30節にあるイエス・キリストの言葉である。人生は、 なんとか先の者を追い抜いていこうという戦いに満ちている。しかし、自ら願ってであれ、時にはこのように不本意であれ、 先の者でありながら後の者になるというのも良いものかもしれない。イエス・キリストの語る「後の者が先になる」ということも、 自らの努力によってそうなるというのではない。後の者に道を譲っていく謙遜さを学ぶことによって、 時が来れば神が一番良い形で引き上げてくださる、人が持ち上げてくれる、と言うのである。

「しかし、あなたがたはそれではいけない。あなたがたの中でいちばん偉い人は、いちばん若い者のようになり、上に立つ人は、 仕える者のようになりなさい」(イエス・キリスト(ルカによる福音書22章26節))

田舎に生まれ育ったのも一つの定め、都会の同年代の若者に比べれば後を行っているかのように見えるこのカスィブの若者たちにもまた、 ひとかけらでも多く、神と人からもたらされる幸せを味わってもらいたい。クリスマスを前に、米の積み込みをぼんやりと眺めながらの、 思いの戯れである。

 

米の積み込み
体をくりんと反転させて頭の上に乗せたところ。
まっすぐ伸びた背筋と、足の踏ん張り具合が、
米の重さと、子供の頃からの鍛えられ方を語っている。

もう一本、待てばよかった
後ろからやって来るのは、あとは町までまっしぐら
というのが明らかなジプニー。もう一本、待てば
よかったというのが正直なところ。

詩篇1篇
「その人は水路のそばに植わった木のようだ。
時が来ると実がなり、その葉は枯れない」
(詩篇1編)

追い抜かれちまった
うう、あんなのろのろしたヤツにまで先を越されて
しまうとは。

 

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