2009/04/23

いつか華咲く日は来るか

1月以来、仕事に忙殺されている。ブログに駄文を綴る時間も無いというのは息の詰まるものだ。9月頃まではこういう日々が続きそうなので、時節柄ありがたいことこの上ないと思いつつも、ため息の一つもつきたくなる。

その仕事の一環で訪れたヌエバ・ビスカヤ州バンバン町で受難週の木曜日の朝、祭日でいつ来るのかわからない乗合バンを待っていると、思いもかけない風景が……。慌ててカメラを取り出し、悟られないように写真を撮る……。

日本(あるいは台湾もありか?)に出稼ぎに行っていたのか、誰かにもらったのか、はたまた古着屋で手に入れたのか、真っ白で清潔感たっぷりのTシャツに、背中には大きく「研 修 生」の文字。

人生、どこまで行っても「研修生」のような筆者にとっては、親しみを覚えるというか、身につまされるというか、その言葉の意味も筆者の心中も決してあずかり知らぬ彼の人生にも、幸多からんことを祈るばかりだ。

 

005
フィリピンで見かけるTシャツには、奇妙キテレツなものが
多いが、ここまでストレートなものも珍しい。

 

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2009/01/31

フィリピンをまた少し知るために

統計上は国民の85%がローマ・カトリック教会の信徒、10%がプロテスタント諸教派の信徒と言われるフィリピン。最近でこそ、韓国がそれに取って代わりつつあるとはいえ、依然としてアジアで唯一の「キリスト教国」と呼ばれるゆえんだ。フィリピンの「キリスト教」ならびに「キリスト教徒」の実情はさておき、その根本的な哲学や思想、文化的背景の一端を占めるキリスト教について知っておくことは、フィリピンをまた少し知ることにつながるかもしれない。

キリスト教の入門書は文字通り無数に存在するが、一番気軽に読めるのは、八木谷涼子著『知って役立つキリスト教大研究』(新潮社, 2001年)だろう。

八木谷 涼子 著
『知って役立つキリスト教大研究』
(新潮OH!文庫)

キリスト教徒ではない著者によって書かれたこの本は、フィリピンに来る誰もが素朴に抱くカトリックとプロテスタントさらには東方正教会の違いに始まり、フィリピンでもよく耳にする「バプテスト」「ボーナゲン(ボーン・アゲイン)」「ペンテコスタル(ペンテコステ)」など、プロテスタント内の様々な教派の違いについても、教会堂の建築様式や礼拝様式、司祭(神父)、牧師のユニフォームの違いまで、著者自らの手によるイラストを交え、わかりやすく説明してくれている。

また、フィリピンのキリスト教信仰の実情について、もう少し立ち入ったことを学びたいという方には、関一敏・大塚和夫編『宗教人類学入門』(弘文堂, 2004年)に収められている寺田勇文著「キリスト教」(73-91ページ)がお薦めだ。

関 一敏・大塚 和夫 編
『宗教人類学入門』

「世界宗教としてのキリスト教」「「外来」と「土着」」「グローバル化の中のキリスト教」という3節を設け、世界宗教としてのキリスト教の概観、フィリピン国内に見られる、純粋に輸入されたキリスト教信仰と土着宗教と混交した「キリスト教信仰」、さらにはブラジルやペルーなどの南米諸国からの人々も含めた「出稼ぎ」の人々が、日本のとりわけカトリック教会にどのような影響を及ぼしているかについて、興味深い実例を取り上げつつわかりやすく説明してくれている。一章分を読むために一冊購入するのははばかられるという方も、時間が許せば図書館などを利用して一読してみるというのもいいかもしれない。

また、キリスト教のそもそもの開祖であるイエス・キリストなる人物について知りたいという方には、拙訳で恐縮ながらマイケル・グリーン著『イエスとは誰なのか?』(地引網出版, 2008年)をお薦めしたい。

マイケル・グリーン 著
吉原 博克 訳
『イエスとは誰なのか?』

この本には、イエスの生まれた歴史的背景、その言葉、その行い、その生涯の意味、その死と「復活」の意味、キリスト信仰というものの意味、教会というものの意味、聖書、特に新約聖書に収録されている福音書と呼ばれる4巻の書物の概観と信頼性、イエス・キリストをめぐる聖書以外の歴史的資料の紹介などが、イギリス国教会の司祭で、キリスト教の伝達と受容についての研究では世界的に知られた著者の手によって淡々と、時には情熱的に、提示されている。

 

フィリピンにいると、この国を「キリスト教国」とはとても呼びたくないような場面にも出くわす。あるいは「さすがキリスト教国……」と言いたくなる場面もあるかもしれない。それらはいずれも、あくまでキリスト教に対する私たちのイメージが肯定的な場合であって、さもなくば「これだからキリスト教は……」「意外にもキリスト教は……」ということになるだろう。いずれにせよ、私たちの目にするものがフィリピンという国のありのままの姿なのであり、キリスト教という宗教のフィリピンにおけるありのままの姿であることに変わりはない。

これらの資料に触れることにより、私たちが、キリスト教というレンズを通して、さらにこのフィリピンという国を違う角度から見つめていくことができれば、私たちの訪問や滞在もまた、豊かで実り多いものになっていくのかもしれない。

 

  

 

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2009/01/09

地図オタクの北ルソン「天」景

しばらく前に流行った本に『話を聞かない男、地図の読めない女』というものがあった。私は、なるほどヨメの話は聞かないうえに地図オタクときた。新しい土地に行くと地図を買わなければ落ち着かない。去年の2月に仕事で1週間ほど台湾に行った際も、台北と台湾全島の地図をそれぞれ買ってきて、今でも時折、取り出してみてはいろいろと夢想している。

そんな私にとって、フィリピンでこれまで大いに不満だったのが、一部の都市のもの以外、ろくな地図が無いということだった。知り合いのJICA関連の方が大きな精密地図をお持ちで、SMバギオの近くの店で手に入ると伺っていたのだが、フィリピンで新しい店に足を踏み入れるというのが億劫で(また、愛想の無い店員とかだとヤだし)そのままになっていた。

しかし、ありがたや、きょうび、Google Mapsはもちろんのこと、Google Earthを利用すれば、そのものずばり、航空写真でもって、世界中のどこでも見ることができる。地形の起伏まで表示してもらえるのが素晴らしい。私の場合、仕事で訪問するのが道無き道を行く山奥が多いので、こういうツールで山や谷の形をよく学ぶというのが仕込みのうちになるのだ。おまけに標高も誤差こそあろうが表示されるのでとても参考になる。

例えば、フィリピンの国道が最も標高の高い場所を走る場所とされているハイエスト・ポイント。設置されている看板によれば7,400フィートというから約2,250m。コルディリエラ山地の数少ない観光スポットの一つだが、以前から、ここを過ぎても微妙な上り坂が続いているのが気になっていた。

調べてみると、やはりハイエストポイント(Google Earthの標高表示では2,284m)からもしばらく登りが続いており、サヤガンの中心街に向けて2番目の左カーブ辺りが実は一番高く2,345mほどある。実にハイエストポイントからさらに60mも登っていることになるが、下の図のように、渓谷の斜面が急で、しかも尾根がせり出す形になっている現状のハイエストポイントのほうが、展望台を設置するには地形的に優れていることになる。60mに目をつぶってでも、観光資源的に、フィリピン政府は正しい選択をしているということになるのだ。

コンピューターに若干のパワーは必要とされるが、皆さんもフィリピンのお気に入りの場所や建物をマークし、上空から低空から、ぐるぐる周りながら、ふだんの観光とは違った「天」景を楽しんでみてはいかがだろうか。

 

Baguio_city_sightseeing_view
バギオ近辺のランドマーク。標高1,500mというのが
実感できる眺めだ。

 

Northern_bakun_from_caang_2
私が昨年3月に訪問したベンゲット州バクン郡の村々。
右上の村から山を下り、左上の村まで登った。

Highest_point_front
ハイエスト・ポイントと、本当の「ハイエスト・ポイント」

 

Highest_point_side02
しかし、これを見れば、現行のハイエスト・ポイントのほうが、
斜面の傾斜角や渓谷の眺めに優れていることがわかるだろう。

 

  

 

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2009/01/02

謹賀新年 - 爆走するジプニーみたく

新年2009年、皆様におかれましてはいかがお過ごしのことでしょうか。

私のブログはいずれも、ジャストシステム社ご提供のxfy Blog Editorを利用して書いています。これはなかなか優れもののブログ執筆・管理ソフトで、これによって私のブログ生活は大きく助けられることになっています。

このたび、デジカメを買い換えたことで手軽にビデオ撮影ができるようになったことから、うれしがってYouTubeへのアップロードを開始、xfy Blog Editorの拡張機能の一つであるYouTube for Blog Editorを使ってみることにします。

これにより、これまでは写真が中心であった当ブログも、表現力のいっそうの充実が望まれます。皆様のこれまでのご訪問を心から感謝するとともに、さらなるご愛顧をいただけますよう、なにとぞ宜しくお願い申し上げます。

 


ご存じ、フィリピンの代表的公共交通機関、ジプニーは、北ルソンの田舎では屋根まで人々を満載して走る。追い抜かれてしまったジプニーは、砂ぼこりの煙幕の中に突入だ。

次の映像は、ヌエバ・ビスカヤ州バンバン郡バンバン町(Bambang, Nueva Vizcaya)の中心街から、標高800mの台地、カスィブ郡(Kasibu, Nueva Vizcaya)へと続く幹線道路カスィブ・ロードでのもの。向こうのほうが多くの人々を屋根に乗せているにもかかわらず、激しく追い抜き爆走していく。

舗装途中のこの道は、雨期は泥、乾期はほこりが厳しい。ジプニーが停車し、ほこりが車内に激しく舞い込んでくるたびに、地元の女子高生が、かばんから慌ててポンズなどのファンデーションを取り出し、必死に粉をはたいているのが滑稽だ。あれだと化粧を直しているのか、ほこりを塗りたくっているのかわからない。

新年2009年、日本もフィリピンも、このジプニーみたく、激しく爆走を続けていって欲しいものだ。皆様にとって素晴らしい一年となりますように。

 

Kasibu, Nueva Vizcaya, Philippines
Latitude : 16.3332000
Longitude : 121.2466000

 

  

 

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2008/12/20

消費者にはありがたい限りだが

バギオ市(Baguio City)の隣のラ・トリニダード町(La Trinidad)は、ベンゲット州の州都だ。市制が敷かれる日も近いと耳にする。イチゴの町としてイチゴ狩りの観光産業で知られるこの町は、コルディリエラ山地の農産物が集まる、北ルソンの一大サラダボールとしても知られる。

ラ・トリニダード町に集まってきた野菜はKM5(ケーエムファイブ:その名もハルセマハイウェイの5km地点)という場所にある集積場に集められる。そこではいつも、活発な荷下ろしが行われている。

この日、連れて行かれたのは、そのKM5ではなく、KM5からハルセマハイウェイを外れ、西側の山沿いに入ったプギス(Puguis)と呼ばれる地域。KM5の集積場に、時間やスペースの都合で入りきれなかった便が、待機したり、実際に荷下ろしをしたりする場所だという。収穫物を満載にしたトラックやジプニーは、いつ見ても圧倒されるし、独特の美しさがある。荷積みや荷下ろしが手作業によることを知ればなおさらだ。

バギオ市は、このラ・トリニダード町の隣町であるという恩恵を十二分に受けている。市場には常に、新鮮な野菜があふれている。海からも2-3時間の距離なので、標高1,500mの山地にありながら早朝には新鮮な魚もあふれる。季候も良く、自然の賜物にも恵まれている。たいていの物は値段も安い。娯楽に乏しく退屈なのが玉に傷だが、これで雨期や台風がなければまさに天国だ。

しかし、これが生産者の方々の大きな犠牲の上に成り立っていることを忘れるわけにはならない。例えば、下の写真のようにじゃがいものあふれるトラック。このじゃがいものの買い取り価格は、この時点で実に1キロあたり1.25ペソ(約2.5円)だという。1キロが、である。このように3トンほどをはるばる運んできても、実に4,000ペソ弱(8,000円弱)にしかならないというわけだ。

私たち消費者は、これを1キロ15-20ペソ(30-40円弱)で買って「安い~」と言っているわけだが、その裏にはこのような、生産者の方々には厳しいシステムが存在する。感謝しつつ、生産者の方々にも少しでも有利な状況になることを願う。

 

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フィリピンのじゃがいもは、小ぶりなものが多いが、
この日持ち込まれていたじゃがいもは、大きくつやつやのものが多かった。
それにしても、この運転席のドアに貼ってある写真……。
フィリピンの「トラック野郎」も、例に漏れずこういうのを好むということか。

 

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一つ一つ手作業で詰めたにしてはあまりに芸術的だ。
長旅に揺られる中で、それぞれに落ち着いて作品に仕上がったのだろう。
季節に左右されていつも手に入るわけではない大根が嬉しい。
それにしても、屋根に乗せたものが落ちないからくりは謎だ。
ハルセマハイウェイが舗装されたからこそできるわざなのだろう。

 

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バーンハムパークの入り口にあるバーンハム氏の胸像。
その後ろの小高い丘の上、夕日に映えて光るのは、SMバギオ。

 

  

 

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