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2010年5月27日 (木)

動詞で学ぼう (2):"kuyogen" (6) ― 動作主焦点動詞と対象焦点動詞のまとめ

そういうわけで、主役の"kuyogen"はどこへやら、すっかり-ak類(絶対格:absolutive case)と-ko類(能格:ergative case)の概観のようになってしまっていますが、この辺りでまとめておきましょう。

まず、動作主焦点動詞"agkuyog"の場合、動作主焦点であるがゆえに動作主さえあれば文として成り立つという点、動作主は、名詞の場合は中心格(core case:冠詞はni/da/ti/kadagiti)、代名詞表現の場合は絶対格(-ak類:-ak/-ka/isu(na)/-ta/-kami/-tayo/-kayo/-da)で表すという点を押さえておきましょう。

【ag-動詞:動作主<名:中心/代:絶対>】

Agkuyog ni Juan.(ジョンは一緒に行く)

Agkuyog ti aso.(犬は一緒に行く)

Agkuyogak.(私は一緒に行く)

Agkuyogda.(彼ら・彼女ら・それらは一緒に行く)

 

動作主焦点動詞であっても動作の対象を文中に表現することはできますが、その場合は、名詞の場合は斜格(oblique case:冠詞はkenni/kada/iti/kadagiti)、代名詞表現の場合も斜格(kaniak類:kaniak/kaniam, kenka/kaniana, kenkuana/kaniata, kadata/kaniami, kadakami/kaniatayo, kadatayo/kaniayo, kadakayo/kaniada, kadakuada)で表します。

【ag-動詞:動作主<名:中心/代:絶対>+(対象<名・代:斜>)】

Agkuyog ni Juan iti aso.(ジョンは犬と一緒に行く)

Agkuyog ti aso kenni Juan.(犬はフアンと一緒に行く)

Agkuyogak kaniana.(私は彼・彼女・それと一緒に行く)

Agkuyogda kaniak.(彼ら・彼女ら・それらは私と一緒に行く)

 

対象焦点動詞の場合、動作主と対象の両方を表しますが、その場合、名詞ならば動作主、対象ともに中心格、代名詞表現ならば動作主は能格(-ko類:-k(o)/-m(o)/-na/-ta/-mi/-tayo/-yo/-da)、対象は絶対格で表します。動作主と対象が共に代名詞表現の場合、また、動作主が名詞で対象が代名詞表現の場合には、いずれも-ko類と-ak類の融合(混成)形を用いる点に注意が必要です。

【-en動詞:動作主<名:中心/代:能>+対象<名:中心/代:絶対>)】

Kuyogen ni Juan da Maria.(ジョンはマリアたちを連れて行く)

Kuyogen ti aso kenni Juan.(犬はフアンを連れて行く)

Kuyogek ni Juan.(私はフアンを連れて行く)

Kuyogenda dagiti aso.(彼ら・彼女ら・それらは犬たちを連れて行く)

Kuyogennaka ni Juan.(フアンは君を連れて行く)

Kuyogendakami dagiti aso.(犬たちは私たち(排除)を連れて行く)

Kuyogennaka.(彼・彼女・それは君を連れて行く)

Kuyogendakami.(君たち・あなたたち・あなた/彼ら・彼女ら・それらは私たち(排除)を連れて行く)

 

ここで、絶対格と呼ばれる-ak類が、ag-動詞では動作主、-en動詞では対象に用いられていることに気づいた方も多いかと思います。ここで、伝統的な文法のカテゴリーとして、ag-動詞が動作主だけを必要としていることで自動詞、-en動詞が動作主と対象の両方を必要としていることで他動詞とするならば、絶対格の-ak類は自動詞では動作主、他動詞では対象を表すことになります。

一方、英語や日本語では、主格と呼ばれるものが、自動詞、他動詞ともに動作主を表します(例:ジョンが走る-ジョンがパンを食べる、He runs-He eats bread)。伝統的な言語の分類では、英語や日本語のような言語を「対格言語」(accusative language)、イロカノ語のような言語を「能格言語」(ergative language)と呼ぶこともあります。

日本語をイロカノ語風に書くと、「彼<動作主>が(絶対格)走る-ジョン<動作主>を(能格)彼<対象>が(絶対格)殴る」となるわけで、細かいことはさておいても大いに違うというのはわかっていただけると思います。そういうわけで、学習に際しては忍耐と注意が必要です。

ただし、イロカノ語の場合、これまで見たように、代名詞表現はほとんどが融合形になってしまっていますし、名詞の場合は、動作主であろうが対象であろうが、同じ中心格で表しますので、能格言語としては、かなり中途半端なものになってしまっています。最初は感覚をつかむのに時間がかかるかもしれませんが、恐るるに足らず、です。

繰り返しになりますが、ここまで見てきたag-動詞と-en動詞の違い、中心格、絶対格、能格、斜格、融合形などは、基本中の基本として、今後、繰り返し出てきますので、あきらめずに根気よく取り組んでいくこと、恐れずに時間をかけて理解していくことが必要です。

 

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