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2010年5月27日 (木)

動詞で学ぼう (2):"kuyogen" (4) ― 代名詞表現の融合(混成)形 (2)

前回は、イロカノ語学習の一つの大きな山、動作主と対象が共に代名詞表現の際の融合形の一覧を見てみました。一覧で見るとどうにも煩雑で、永遠に理解できないかのように思えてしまいますが、これを理解するにはコツがあります。今回はそれを学んでいきましょう。

 

この融合形の大原則は、これらは実は、-ko類と-ak類の融合したものだということです。あらためて、-ko類と-ak類を並べてみましょう。

【左が-ko類、右が-ak類】

1s -ko, -k / -ak   私

2s -mo, -m / -ka   君

3s -na / isu(na)   彼・彼女・それ

1d -ta / -ta   私たち(話し手と聞き手の2人のみ)

1pl-ex -mi / -kami   私たち(聞き手(ら)を含まない)

1pl-in -tayo / -tayo   私たち(聞き手(ら)も含む)

2pl -yo / -kayo   君たち、あなたたち、あなた

3pl -da / -da   彼ら・彼女ら・それら

 

まずは、動作主が3人称の際のパターンを並べてみるとよくわかります。-ko類は"-na"、-ak類は上の通りです。

【3人称単数→X(3s-X)】

彼・彼女・それ→私:-nak(-na + -ak*)

彼・彼女・それ→君:-naka(-na + -ka)

彼・彼女・それ→彼・彼女・それ:-na(-na + isu(na)**)

彼・彼女・それ→私たち(双数):-nata(-na + -ta)

彼・彼女・それ→私たち(排除):-nakami(-na + -kami)

彼・彼女・それ→私たち(包括):-natayo(-na + -tayo)

彼・彼女・それ→君たち・あなたたち・あなた:-nakayo(-na + -kayo)

彼・彼女・それ→彼ら・彼女ら・それら:-na ida(-na + -da***)

 

彼ら・彼女ら・それら→私:-dak(-da + -ak*)

彼ら・彼女ら・それら→君:-daka(-da + -ka)

彼ら・彼女ら・それら→彼・彼女・それ:-da(-da + isu(na)**)

彼ら・彼女ら・それら→私たち(双数):-data(-da + -ta)

彼ら・彼女ら・それら→私たち(排除):-dakami(-da + -kami)

彼ら・彼女ら・それら→私たち(包括):-datayo(-da + -tayo)

彼ら・彼女ら・それら→君たち・あなたたち・あなた:-dakayo(-da + -kayo)

彼ら・彼女ら・それら→彼ら・彼女ら・それら:-da ida(-da + -da***)

 

*綴りどおりなら"-naak/-daak"となるところだが、さらに縮まって"-nak/-dak"となっている。

**単純な足し算なら"-na isu(na)/-da isu(na)"となるところだが、対象が3人称(isu(na))の場合には省略すると考えればいい。結果、"-na/-da"。

***対象が3人称複数の場合、-ak類本来の"-da"ではなく、独立した代名詞の"ida"が用いられる。

 

**の、対象が3人称の場合(isu(na))には省略されるというのは、そのパターンを集めてみるとよくわかります。また、確かに動作主が-ko類で表されるというのも見ていただけると思います。さらに、複数の際に"ida"が用いられるというのも、併せてご確認ください。

【X→3人称単数(X-3s)】

私→彼・彼女・それ:-k(o)(-k(o) + isu(na))

君→彼・彼女・それ:-m(o)(-m(o) + isu(na))

彼・彼女・それ→彼・彼女・それ:-na(-na + isu(na))

私たち(双数)→彼・彼女・それ:-ta(-ta + isu(na))

私たち(排除)→彼・彼女・それ:-mi(-mi + isu(na))

私たち(包括)→彼・彼女・それ:-tayo(-tayo + isu(na))

君たち・あなたたち・あなた→彼・彼女・それ:-yo(-yo + isu(na))

彼ら・彼女ら・それら→彼・彼女・それ:-da(-da + isu(na))

【X→3人称複数(X-3pl)】

私→彼ら・彼女ら・それら:-k(o) ida

君→彼ら・彼女ら・それら:-m(o) ida

彼・彼女・それ→彼ら・彼女ら・それら:-na ida

私たち(双数)→彼ら・彼女ら・それら:-ta ida

私たち(排除)→彼ら・彼女ら・それら:-mi ida

私たち(包括)→彼ら・彼女ら・それら:-tayo ida

君たち・あなたたち・あなた→彼ら・彼女ら・それら:-yo ida

彼ら・彼女ら・それら→彼ら・彼女ら・それら:-da ida

 

どうでしょうか。単数の場合は見事に"isu(na)"が省略されていること、複数の場合は"ida"が用いられていること、どちらも-ko類で動作主が表されていることがわかります。

 

さらに、動作主が3人称以外の場合に気づかされることは、単数の場合には"-na"、複数の場合には"-da"で代理的に表されていること、そこに、対象の-ak類がついていることです。

【対象が1人称単数(X-1s)】

君→私:-nak(-na("-mo"の代理)+ ak)

君たち・あなたたち・あなた→私:-dak(-da("-yo"の代理)+ ak)

 

【対象が2人称単数(X-2s)】

私たち(排除)→君:-daka(-da("-mi"の代理)+ ka)

 

【対象が1人称複数(排除)(X-1pl-ex)】

君→私たち(排除):-nakami(-na("-mo"の代理)+ kami)

君たち・あなたたち・あなた→私たち(排除):-dakami(-da("-yo"の代理)+ kami)

 

【対象が2人称複数(X-2pl)】

私たち(排除)→君たち・あなたたち・あなた:-dakayo(-da("-yo"の代理)+ kayo)

 

単数・複数を問わず、3人称が関与している場合には、単純な足し算で考えればうまくいきました。ですから、これら融合形をマスターする大きな鍵は、この単数="-na"で代表、複数="-da"で代表するということになるでしょうか。あとは、次のように、同じ形で異なる意味を表すことがありますので、そこが厄介です。

Kuyogennak.

(君は 私と)
(彼・彼女・それは 〃 と)

Kuyogendak.

(君たち・あなたたち・あなたは 私と)
(彼ら・彼女ら・それらは 〃 と)

Kuyogennakami.

(君は 私たち(排除)と)
(彼・彼女・それは 〃 と)

Kuyogendakami.

(君たち・あなたたち・あなたは 私たち(排除)と)
(彼ら・彼女ら・それらは 〃 と)

Kuyogendakayo.

(私たち(排除)は 君たち・あなたたち・あなたと)
(彼ら・彼女ら・それらは 〃 と)

 

最後に、動作主が1人称単数の場合は、使用する頻度が高いからか、パターン的に異なるものとなっており、結果的に例外のような形になっています。

私→あなた:-ka
(パターン的には「私」が単数なので、"-na(-k(o)の代理)+ -ka"で"-naka"となるべき)

私→君たち・あなたたち・あなた(1s-2pl):-kayo
(パターン的には「私」が単数なので、"-na(-k(o)の代理)+ -kayo"で"-nakayo"となるべき)

これは、「私」というのは話し手自身なので、ことさら代名詞的表現で表す必要が無いため"-na"(ひいては-ko類そのもの)が落ちた、ということなのかもしれません。

いかがでしょうか。少しは整理ができたでしょうか。ポイントは、次の通りです。

(1)3人称が絡む場合:「-ko類 + -ak類」(省略に注意)

(2)3人称以外が絡む場合:「-na(単数)/-da(複数) + -ak類」

(3)"-nak/-dak/-nakami/-dakami/-dakayo"は、同形で複数の意味

(4)1人称単数が動作主の場合:-ko類が脱落して-ak類のみ

 

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