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2009年9月の12件の記事

2009年9月30日 (水)

Ibasaam ti Anakmo Sakbay a Maturog(子供の寝る前に読み聞かせを)(2)

今回は記事のタイトルを見てみる。

Ibasaam ti Anakmo Sakbay a Maturog

試訳:子供の寝る前に読み聞かせを

(直訳:(君の子供が)寝る前に、君の子供のために読んでやりなさい)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

ibasaam /iba'saam/ <V>:(君が)~のために読んでやりなさい(< ibasaan + -m)

ibasaan /iba'saan/ <V>:~に読んでやる(basa + i- -an)

-m /m/ <Encl.>:君が、君の<2人称単数能格:母音の後、接辞"-an"、"-en"の"n"に替わって現れる:子音の後では"-mo">(p.346)

i- -an /i- -an/ <Affix>:<誰かのための受益的行為を表す動詞を形成する>(p.213)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

anakmo /a'nakmo/ <N>:君の子供(anak + -mo)

anak /a'nak/ <N>:子孫、子供、息子、娘、興味を惹くこと(p.38)

-mo /mo/ <Encl.>:君が、君の<2人称単数能格:子音の後に現れる>(p.369)

sakbay /sak'bai/ <Conj / Prep>:~する/~の前に(p.518)(前者の場合は"sakbay a + 節"、後者の場合は"sakbay iti + 名詞")

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

maturog /ma'turog/ <V>:寝る(turog + ma-)(p.633)

turog /'turog/ <N>:眠り(p.633)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

 

ibasaam ti anakmo

上の「語義・語構成」からもわかるように、"ibasaam"は"*basa(中心的な意味を担う語根)+ i- an(受益動詞化接辞)+ -m(主語)"という語構成になっている。動詞が"ibasaan"なので、2人称単数主語のこの場合、"ibasaanmo"とならず、"-an"の"n"に置き換わる形で"ibasaam"となることに注意。

接辞"i- -an"は焦点に<受益者>を取るので、中心格"ti"で標示・焦点化されている名詞"anakmo"が<受益者>。「君は君の子供のために読みなさい」が直訳となる。

sakbay a maturog

"sakbay"は、この場合、リンカー"a"に導かれ、動詞"maturog"という1語だけの節を取っている。節というのは、「主語+述語」(どちらかが省略されたり、非明示的であることもある)からなる最小限の単位で、一般には「文」と呼ばれもするが、このブログでは、「文」とはあくまでピリオドで締めくくられるもの全体を定義として持っているので、一般にはあまり聞かれないかもしれない「節」という用語を用いている。

この例の場合、動作主焦点動詞"maturog"は、文字通り、<動作主>が焦点なので、何もないとすれば、それは<動作主>が3人称単数であることを意味する。したがって、この例の場合、"maturog"の主語は"anakmo"になり、「君の子供が寝る前に」となる。

 

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2009年9月29日 (火)

Ibasaam ti Anakmo Sakbay a Maturog(子供の寝る前に読み聞かせを)(1)

フィリピンで発行されているイロカノ語雑誌Bannawag(あけぼの)は、ここ数年、紙質が良くなるだけでなく、誌面も充実してきている。その1つが、Elizabeth M. Raquel氏による"Tips: Tarabay iti Pagtaengan, Sulun-at, ken Dadduma Pay"だ。半面に3つほど、暮らしに役立つ一口情報が掲載されている。

メディアによる情報過多の日本とは対照的に、フィリピンではこの手の情報は口コミで伝わる。そのため、往々にして各自の誤解や勝手な追加が加わり、情報の質としては、信憑性の怪しいものとなってしまいがちだ。例えばかつてのみのもんた氏や堺正章氏などが、最先端のプレゼンテクニックを用いて伝え、その日のスーパーでは取り上げられたものの売り切れが相次ぐという状況が日本ならではのものなのは、ここで取り立てて指摘するまでもないだろう。

今回取り上げたいのは、日本ではもはや知識が定着した感のある、いわゆる「読み聞かせ」についての記事だ。18行3-4文だけの短文だが、さてどんな内容が語られているだろうか。今日はコラムのタイトルを見てみよう。

TIPS: Tarabay iti Pagtaengan, Salun-at, ken Dadduma Pay: Inurnong ni Elizabeth M. Raquel

試訳:豆知識:住まい、健康、その他のための手引き:エリザベス・M・ラケル(編)

(直訳:秘訣:住まい、健康、その他における手引き:エリザベス・M・ラケルが集めた)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

tips /tips/ <N>:秘訣、お得情報(英語から)

tarabay /ta'rabai/ <N>:手引き、助け、チューター、後見人(p.603)

pagtaengan /pagta'engan/ <N>:住居/<V>:引き留める、慎む(p.586)(< taengan + pag- -an)

taeng /ta'eng/ <N>:住居、住んでいる場所、年齢、成熟度(pagyanan, naed)(p.586)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:<行為が行われる場所を表す場所名詞を形成する>(p.411)

salun-at /sa'lun-at/ <N>:健康(pia)(p.527)

ken /ken/ <Conj>(接続詞):(A)と(B)(p.269)

dadduma /da'duma/ <N>:いくつかのもの、他のもの(p.143)

pay /pai/ <Adv>:さらに(p.451)

inurnong /inur'nong/ <V>:集めた、収集した、群集した(< urnongen + -in-)

urnongen /ur'nongen/ <V>:集める、収集する、群集する(< urunong + -en)(p.403)

-in- /in/ <Aff>:<"-en"動詞、"-an"動詞の完了形を形成する。語根の最初の母音の前に付接する。前者の場合、"-en"は脱落、後者の場合、"-an"は存続する>(p.213)

urunong /ur'nong/ <N>:貯めたもの、集めたもの(p.403)

-en /en/ <Affix>:<対象焦点動詞を形成する>(p.183)

ni /ni/ <Art>:<中心格単数人名詞>(p.380)

 

pagtaengan

タホのレシピの文章の中にも出てきた「住まい」。「家」は"balay"などの単語もあるが、"pagtaengan"は「住まい」を表す一般的な語。

dadduma

"*duma"は「異なる」という意味の語根。"agduma"は、動詞としての「異なる」、"agduduma"は、「様々な、いくつかの、異なる」の意味の形容詞、"maiduma"も、「異なる」という意味の形容詞。畳語形の"maidumduma"は、協調的な「目立つ、独特の、区別できる」の意味の形容詞。"nadumaduma"も「異なる」の意味の形容詞。対象焦点動詞"idumduma"は「~を好む、優れる」の意味。このように、語根にいろいろな接辞がついていろいろな品詞になり、いろいろな意味を表すのが、イロカノ語の基本的語構成。

inurnong

接辞"-in-"が語根"urnong"に付接している。このような場合、語尾に"-an"があるか(あれば、方向焦点動詞、なければ"i-"ないし"-en"対象焦点動詞")どうかが一つの目安になる。

"i-"動詞の場合は、語頭の"i-"が"in-"になる(例:"ited"(与える)→"inted"(与えた))だけだが、"an"動詞、"-en"動詞の場合は、語幹が子音で始まる場合、"-in-"は最初の母音の前に割って入ることになる(例:"suratan"(~に書く)→"sinuratan"(~に書いた)、"suraten"(~を書く)→"sinurat__"(~を書いた))。

inurnong ni Elizabeth M. Raquel

"-en"対象焦点動詞は、その名の通り、意味論的には<対象>を焦点とする動詞で、その<対象>にあたる名詞を中心格(ti/dagiti(もの)、ni/da(人))で標示する。

一方、<動作主>を標示する方法は、名詞(人名を含む)ならば同じく中心格、代名詞ならば能格(ergative case:"-ko"類)。ここでは人名なので、"ni"によって中心格標示。

 

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2009年9月24日 (木)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (14)(全訳)

こういうわけで、ついに、Liday T. Segundo氏の"Nalaka ti Agaramid iti Taho"(タホを作るのは簡単だ)の全訳が完成したので、あらためてまとめておきたい。要はやわらかいふわふわな豆腐の作り方なので、これを見て実際に作ってみようという方は、厳密な部分についてはさらに、他の適切なレシピもご参照いただきたい。

なお、この全訳は、各記事で作成した試訳をさらに編集し、全体としての仕上げをするとともに、読みやすくもしている。ただ、あらためて通しで見てみると、材料にタピオカが含まれていないのが、スィゲ、スィゲで大雑把なフィリピン風で楽しい。

001_2

写真は、バギオで売っている季節もののイチゴ・タホ。この記事のレシピで触れられているシロップ(黒蜜)とタピオカに加えて、形が残る程度に甘く煮詰めた、採りたてのイチゴが乗せられている。

この写真は4月に撮影したものなので、その頃なら食べられるはずだ。季節も良い。ぜひいらして、イチゴ・タホと共に、片言でもイロカノ語でのコミュニケーションを楽しんでみてください。

 


タホを作るのは簡単だ

リダイ・T・セグンド

 

タホは、人々が肩に背負い、大きな声を上げながら売り歩いている。以前は、都市や大きめの町でしか売られていなかったが、最近では小さめの町や奥地にまで売り子が増えてきている。

タホはタンパク質が豊富だ。値段の安さは脇に置くとしても、脂肪分が低いことから、よく知られた「健康食品」の一つとみなすことができる。これは、ウタウ、すなわち大豆からできており、子供から大人まで愛されている。

この号では、タホの作り方について、読者のお二人が違うレシピを送ってきてくださった。最初のレシピは、カワヤン市南バリギン町在住のオフェリア・M・エバンジェリスタさんが送ってきてくださった。2番目のレシピを送ってきてくださったのは、キリノ州サグダイ郡在住のメイ・P・ガリナトさんだ。

お二人によれば、タホを作るのはとにかく簡単なので、外で買わずに家で作れれば、かなり節約できるし、もっと楽しく食べられるという。また、大豆を入手するにも、タホの産地にある売り場なら、大量に入手することができる。

 

第1の方法

 

材料:

大豆 500グラム
水 4リットル
寒天 2片
バニラ 小さじ1/4

 

シロップ:

黒砂糖 1キロ
水 1.5リットル

 

作り方:

1 大豆を30分間、水に浸す。

2 混ぜて皮を取る。

3 再び、8-10時間ほど水に浸す。

4 細かく挽く。ミキサーを使ってもよい。

5 挽いた大豆を20分間、煮る。

6 煮汁を取り分ける。こして、煮汁と大豆の部分を分ける。

7 煮汁を煮る。

8 粉状にした寒天を加える。とろみが出るまで混ぜる。

9 バニラ、タピオカ、シロップと混ぜてできあがり。

 

シロップの作り方;

砂糖と水を混ぜ、5分煮る。もっととろみがあったほうが好みの場合には、さらに砂糖を加える。また、カラマンシーの果汁を大さじ2杯、あるいは細かく刻んだ生姜を加えるのもよい。

 

第2の方法

 

1 大豆を一晩、水に浸す。

2 お湯を加えながら細かく挽く。

3 挽いた大豆を目の粗い、薄い綿の布に広げ、汁をしぼる。

4 搾った汁を10分間、煮る。

5 混ぜながら、寒天を加える。

6 もう一度、10分間、煮る。

7 目の粗い、薄い綿の布でこす。

8 冷ましてから、シロップとタピオカを混ぜて、できあがり。

 

Liday T. Segundo, "Nalaka ti Agaramid iti Taho" in Bannawag: Kangrunaan a Magasin Dagiti Ilokano, Oktubre 20, 2008: 36.

 

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Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (9)

続けて、Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"、第3段落第2文を見てみよう。私のレベルでは難解で、積み残していたものだ。試訳にも、稚拙な悪戦苦闘の跡が見られる。ご笑覧いただきたい。

Mainayon pay nga adu latta ti magatang a bukel ti soybeans kadagiti pagtagilakuan a paggapuan ti isagana a taho.

試訳:さらには、大豆を入手する際に、まさに準備しようとするものの産地、すなわちタホの産地そのものにある売り場なら大量に入手することができる、ということも挙げられる。

(直訳:さらに、準備するものであるタホの産地である売り場では、買える大豆の粒が実に多いということを加えることができる)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

mainayon /mai'nayon/ <V>:加えることができる、取りつけることができる、一緒に置くことができる(< nayon + mai-)(p.380)

nayon /'nayon/ <N>:追加、部分(p.380)

mai- /mai/ <Affix>:<対象焦点のi-動詞を可能動詞化する>(p.347)

inayon /i'nayon/ <V>:加える、取りつける、一緒に置く(nayon + i-)(p.380)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

pay /pai/ <Adv>:さらに(p.451)

nga /nga/ <Link>:<"a"の異形態:母音の前で用いられる>(p.384)

adu /a'du/ <A>:多い(p.11)

latta /lat'ta/ <Adv>:ただ、~だけ(p.321)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

magatang /ma'gatang/ <V>:買える(< gatang + ma-)(p.198)

gatang /'gatang/ <N>:ココナツの殻を測る器具、購入(balusbus; sakada; gatang)(p.198)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

bukel /bu'kel/ <N>:種(種子)、ナッツ、円、円形(p.126)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:大豆(英語:本来のイロカノ語は"soya"(p.583))

kadagiti /kadagi'ti/ <Art>:<斜格複数一般名詞>(p.234)

pagtagilakuan /pagtagila'kuan/ <N>:売り場(< tagilako + pag- -an)

tagilako /tagi'lako/ <N>:商品(< lako + tagi-)(p.312)

lako /'lako/ <N>:売り物(p.311-2)

tagi- /tagi/ <Affix>:<語根に表されている事柄との密接に関係を示す実体詞(substantive)を形成するために用いられる>(p.587)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:<行為が行われる場所を表す場所名詞を形成する>(p.411)

a /a/ <L>:(上掲)

paggapuan /pagga'puan/ <N>:産地(gapu + pag- -an)

gapu /ga'pu/ <N>:理由、原因、動機(p.195)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

isagana /isa'gana/ <V>:準備する(< sagana + i-)(p.514)

sagana /sa'gana/ <N>:準備(p.514)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

a /a/ <L>:(上掲)

taho /ta'ho/ <N>:タホ("tahu")(p.589)

 

mainayon . . . nga . . .

"mainayon"("i-"対象焦点・可能形)の目的語が中心格"ti"の名詞ではなく、リンカー"nga"で一つの節で表されているので、「~を加えることができる」ではなく「~ということを加えることができる」の意味。

adu . . . ti magatang a bukel ti soybeans

その目的語として機能している名詞節の内部。形容詞"adu"が述語で、中心格で表されている"magatang a bukel ti soybeans"が主語。「形容詞+ti+名詞」で「名詞は形容詞だ」の形容詞文。

ところが"magatang"は動詞(可能動詞)なので、構造的にはさらに複雑なものとなっている。リンカー"a"を介しているので「修飾成分(この場合は動詞"magatang")+リンカー+被修飾成分(この場合は名詞"bukel")」という定式を当てはめると「買える種子」の意か。"bukel ti soybeans"は「名詞A+ti+名詞B」なので「名詞Bの名詞A」という修飾構造で「大豆の種子」の意味。

大豆を「種子」と呼ぶのは、日常言語としてはそぐわないので「粒」と言い換えると(現に、Rubino(2000)も、イロカノ語-英語の欄には「粒」の訳語はないが、英語-イロカノ語の欄には「粒」(grain)に対してこの"bukel"を当てている)、全体として「買える大豆の粒が多い」という解釈が成立する。

kadagiti pagtagilakuan a paggapuan

斜格マーカー"kadagiti"は、おなじみの"iti"の複数形なので、ここでは<(複数の)場所>とすればいいだろう。"pagtagilakuan"は「売り場」。

厄介なのはリンカー"a"だが、ここは、前の要素が"pagtagilakuan"(売り場)で、後の要素が"paggapuan"(産地)と、両方が場所的名詞で共通の機能を持っているので同格と考えられる。すなわち「産地である売り場」の意味に解釈する。

paggapuan ti isagana a taho

それでは何の産地なのかということになるが、「名詞A(paggapuan)+"ti"+名詞B(isagana:)」という構造を当てはめる。"isagana"は、本来的には"i-"対象焦点動詞だが、"ti"がつくことで名詞化されている。すなわち「準備するものの産地」。

ここで再びリンカーが登場する。「準備するタホ」と連体修飾構造として解釈するか、「準備するもの、すなわちタホ」と同格構造として解釈するか。

 

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2009年9月23日 (水)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (13)

Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"のレシピ、最後の部分になる。

Maikadua a Wagas

1. Yuper ti soybeans iti agpatnag.

2. Gilingan iti napino kabayatan ti panangnaynayon iti napudot a danum.

3. Ikabil ti nagiling a soybeans iti cheesecloth sa pespesen ti tubbogna.

4. Ipaburek ti napespes a tubbog ti soybeans iti uneg ti 10 a minuto.


5. Kiwaren sa ipisok ti gulaman.

6. Ipaburek manen iti uneg ti 10 a minuto.

7. Sagaten iti cheesecloth.

8. Palamiisan sakbay nga idasar a nailaokan iti arnibal ken sago.


試訳

第2の方法

1. 大豆を一晩、水に浸します。

2. お湯を少しずつ加えながら細かく挽きます。

3. 挽いた大豆を目の粗い、薄い綿の布に広げ、汁をしぼります。

4. 搾った汁を10分間、煮ます。

5. 混ぜながら、寒天を加えます。

6. もう一度、10分間、煮ます。

7. 目の粗い、薄い綿の布でこします。

8. 冷ましてから、シロップとタピオカを混ぜて、できあがり(直訳:食卓に出します)。

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

maikadua /mai'kadua/ <A>:第2の(< dua + maika-)

dua /'dua/ <Num>:2(p.171)

maika- /maika/ <Affix>:第~の(序数詞を形成する)(p.347)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

wagas /'wagas/ <N>:方法、空気、スタイル、様式、外見、態度、物腰、ファッション(p.638)

yuper /'yuper/ <V>:水につける、浸す(< uper + i-)(p.401)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:大豆(英語:本来のイロカノ語は"soya"(p.583))

iti /'iti/ <Art>:<冠詞"ti"の斜格形> / <Prep>:~に関して / <Conj>:~のゆえに(p.229)

agpatnag /agpat'nag/ <V>:一晩中する("agpatpatnag":一晩)(p.449)

gilingen /gi'lingen/ <V>:挽く、ミンチにする(asa; muli)(< giling + -en)(p.202)

-en /en/ <Encl>:<母音の後では"-n">既に、期待していたよりも早く、(進行形の動詞と共起して)今、<状態の変化を示したり、指示物を対照させたりすることもある>(p.182)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

napino /na'pino/ <A>:精製された、細かい(p.460)

kabayatan ti /kaba'yatanti/ <Prep>:~の間(bayat ti)(p.108)

panangnaynayon /panangnai'nayon/ <N>:(nayon + nay- + panang-)

nayonan /na'yonan/ <V>:増やす、大きくする(< nayon + -an)(p.380)

nayon /'nayon/ <N>:追加、部分(p.380)

panang- /panang/ <Affix>:<"mang-"動詞を名詞化し、ある行為がどのように、あるいはいつ行われるかを示す>(p.429)

mang- /mang/ <Affix>:<"-an"動詞、"-en"動詞を非他動詞化する>(p.357)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

napudot /na'pudot/ <A>:熱い、暑い、熱情的な(pudot + na-)(p.466)

pudot /'pudot/ <N>:熱、暖かさ(bara)(p.466)

na- /na/ <Aff>:<形容詞を形成する接頭辞。名詞的語根から形容詞を形成する>(p.375)

a /a/ <L>:(上掲)

danum /da'num/ <N>:水(p.152)

ikabil /ikabil/ <V>:置く、配置する、横たえる、セットする(kabil + i-)(p.233)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

nagiling /nagi'ling/ <A>:挽いた(< giling + na-)

a /a/ <L>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

cheesecloth /'chi:zkloth/ <N>:目が粗く薄い綿の布(英語)(Rubino(2000)には記述なし)

sa /sa/ <Conj>:それで(p.510)

pespesen /pes'pesen/ <V>:押す、搾る、悩ます(p.455)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

tubbogna /tub'bogna/ <N>:その汁、液(tubbog + -na)

tubbog /tub'bog/ <N>:汁、液(p.622)

-na /na/ <Encl.>:彼の、彼女の、それの<-ko類代名詞・後椅辞の3人称単数。単独ではなく必ず修飾する名詞ないし動詞に付属して1語として発音される>(p.375)

ipaburek /ipabu'rek/ <V>:煮る(agpaburek)(paburek + i-)(p.409)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

napespes /napes'pes/ <A>:搾った(pespes + na-)

na- /na/ <Aff>:<形容詞を形成する接頭辞。名詞的語根から形容詞を形成する>(p.375)

a /a/ <L>:(上掲)

tubbog /tub'bog/ <N>:汁、液(p.622)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

iti uneg ti /'itiu'negti/ <Prep>:~の間

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

uneg /u'neg/ <Prep>:内側(iti uneg)(laem; sakup)(p.398)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

sangapulo /sanga'pulo/ <Num>:10(p.533)

a /a/ <L>:(上掲)

minuto /mi'nuto/ <Count>:分(p.368)

kiwaren /ki'waren/ <V>:混ぜる(kiwar + -en)(p.279)

kiwar /'kiwar/ <N>:混ぜるための道具、おたま、ミキサー(p.279)

-en /en/ <Encl>:(上掲)

sa /sa/ <Conj>:(上掲)

ipisok /ipi'sok/ <V>:穴に投げる、容器に入れる(< pisok + i-)(p.463)

pisok /pi'sok/ <N>:容器に入ったもの(p.463)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

gulaman /gu'laman/ <N>:寒天(agar-agar)(guraman)(p.205)

agar-agar /agar-agar/ <N>:(Rubino(2000)には記述無し)

guraman /gu'raman/ <N>:河口で見られるぬるぬるした海藻(p.207)

ipaburek /ipabu'rek/ <V>:煮る(agpaburek)(paburek + i-)(p.409)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

manen /'manen/ <Adv>:再び、もう一度(p.355)

iti uneg ti /'itiu'negti/ <Prep>:(上掲)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

uneg /u'neg/ <Prep>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

sangapulo /sanga'pulo/ <Num>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

minuto /mi'nuto/ <N>:(上掲)

sagaten /sa'gaten/ <V>:こす、ふるう、一番良いものを取る(< sagat + -en)(p.514)

sagat /'sagat/ <N>:こし器、フィルター(p.514)

-en /en/ <Encl>:(上掲)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

cheesecloth /'chi:zkloth/ <N>:(上掲)

palamiisan /palami'isan/ <V>:冷ます(< lamiis + pa- -san)(p.313)

lamiis /la'miis/ <N>:冷たさ、寒さ(p.313)

pa- -an /pa- -an/ <Affix>:<"-an"動詞の使役形を形成する>(p.408)

sakbay /'sakbai/ <Conj, Prep>:(~する)前に(p.518)

nga /nga/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.384)

idasar /ida'sar/ <V>:使う準備をする、食卓を整える(< dasar + i-)(p.157)

dasar /da'sar/ <N>:食卓に出された食べ物(p.157)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

nailaokan /naila'okan/ <A>:(既に)混ぜることができる状態になっている(< laok + nai- -an)(p.317)

ilaok /la'okan/ <N>:~と混ぜる(laok + i-)(p.317)

laok /la'ok/ <N>:混ざったもの、混ぜること(p.317)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

nai- -an /nai- -an/ <Affix>:<接辞"mai- -an"の完了形>

mai- -an /mai- -an/ <Affix>:<"i-"動詞を可能動詞化する>(p.347)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

arnibal /ar'nibal/ <N>:砂糖を煮て作ったシロップ(p.60)

ken /ken/ <Conj>:(上掲)

sago /sa'go/ <N>:タピオカ(p.516)

 

maikadua a wagas

「形容詞+リンカー+名詞」構造。形容詞は名詞を修飾する。

yuper ti soybeans iti agpatnag

"yuper"("i-"対象焦点)。焦点は"soybeans"。

"agpatnag"は、"ag-"動作主焦点動詞に見えるが、「一晩中」の意味の名詞。"iti"でマークされて斜格となり、<時>の副詞的成分になっている。

gilingan iti napino kabayatan ti panangnaynayon iti napudot a danum

"gilingan"("-an"方向焦点)。焦点は省略されているので、前文の"soybeans"。"gilingan iti napino"は、「細かく挽く」の意味。

"kabayatan ti"は、Rubino(2000)では「~の間、一方」とされている。ここでは、"naynayon"と畳語になっているので、「お湯を少しずつ増やしながら細かく挽く」の意味。また、"panang-"は非他動詞化動詞"manang-"を承けているので(理由は私のレベルでは理解できず)、それでも目的語を伴って他動詞的な意味を保ちたい場合には斜格"iti"を用いる。

ikabil ti nagiling a soybeans iti cheesecloth sa pespesen ti tubbogna

"ikabil"("i-"対象焦点)。焦点は"nagiling a soybeans"(中心格)。"cheesecloth"(斜格)は<場所>。

"pespesen"("-en"対象焦点)。焦点は"tubbogna"。

ipaburek ti napespes a tubbog ti soybeans iti uneg ti 10 a minuto

"ipaburek"("i-"対象焦点)。焦点は"napespes a tubbog ti soybeans"。"napespes a tubbog"は「形容詞+リンカー+名詞」構造。"iti uneg ti ~"は「~の間」の前置詞句。

kiwaren sa ipisok ti gulaman

"kiwaren"("-en"対象焦点)。"ipisok"("i-"対象焦点)。焦点は"gulaman"。

sagaten iti cheesecloth

"sagaten"("-en"対象焦点)。焦点は省略。"cheesecloth"(斜格)は<道具>。

palamiisan sakbay nga idasar a nailaokan iti arnibal ken sago

"palamiisan"("pa- -an"対象焦点)。焦点は省略。"sakbay + リンカー"で「~した後」。"idasar"("i-"対象焦点)。リンカー"a"は、副詞節<付帯状況>を導く。

 

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Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (12)

Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"のレシピ部分を続ける。

Panangisagana ti Arnibal:

Paglaoken ti asukar ken danum sa ipaburek iti uneg ti lima a minuto. Agaramat ti ad-adu nga asukar no kayat a napalpalet ti arnibal. Mabalin pay a nayonan ti arnibal ti a 2 kutsara a tubbog ti kalamansi, wenno nagiling a laya.



試訳:

シロップの作り方(直訳:準備方法)

砂糖と水を混ぜ、5分間、煮ます。もっととろみがあったほうが好みの場合には、さらに多くの砂糖を加えます。また、カラマンシーの果汁を大さじ2杯、あるいは細かく刻んだ生姜を加えるのもいいでしょう。

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

panangisagana /panangisa'gana/ <N>:準備方法(< isangana + panangi-)

isagana /isa'gana/ <V>:準備する(< sagana + i-)(p.514)

panagni- /pa'nangi/ <Affix>:<"mangi-"動詞を名詞化する>(p.429)

mangi /mangi/ <Affix>:"i-"動詞を非他動詞化する接辞(p.358)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

arnibal /ar'nibal/ <N>:砂糖を煮て作ったシロップ(p.60)

paglaoken /pagla'oken/ <V>:混ぜる、融合させる、一緒にする

laok /la'ok/ <N>:混ざったもの、混ぜること(p.317)

pag- -en /pag- -en/ <Affix>:<"ag-"動詞を対象焦点動詞化し、使役動詞にする>(p.411)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

asukar /a'sukar/ <N>:砂糖(p.65)

ken /ken/ <Conj>:(上掲)

danum /da'num/ <N>:水(p.152)

sa /sa/ <Adv>:それで(p.510)

ipaburek /ipabu'rek/ <V>:煮る(agpaburek)(paburek + i-)(p.409)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

uneg /u'neg/ <Prep>:内側(iti uneg)(laem; sakup)(p.398)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

lima /'lima/ <Num>:5(p.329)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

minuto /mi'nuto/ <Count>:分(p.368)

agaramat /aga'ramat/ <V>:使う、採用する(p.52)("aramaten"か)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

ad-adu /ad-a'du/ <V>:より多い(< adu)

adu /a'du/ <A>:多い(p.11)

nga /nga/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.384)

asukar /a'sukar/ <N>:(上掲)

no /no/ <Conj>:もし、~するとき(p.381)

kayat /ka'yat/ <V>:~したい、~が好きだ、~を願う(< ayat)(p.267)

ayat /a'yat/ <N>:愛、愛情

a /a/ <L>:(上掲)

napalpalet /napalpa'let/ <A>:もっととろみのある(< palet + pal- + na-)(p.420)

palet /pa'let/ <N>:液体や生地が濃いこと(p.420)

na- /na/ <Aff>:<形容詞を形成する接頭辞。名詞的語根から形容詞を形成する>(p.375)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

arnibal /ar'nibal/ <N>:(上掲)

mabalin /maba'lin/ <V>:できる(p.85)

pay /pai/ <Adv>:さらに(p.451)

a /a/ <L>:(上掲)

nayonan /na'yonan/ <V>:増やす、大きくする(< nayon + -an)(p.380)

nayon /'nayon/ <N>:追加、部分(p.380)

-an /an/ <Affix>:<方向焦点の動詞を作る>(pp.37-8)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

arnibal /ar'nibal/ <N>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

2 (dua) /dua/ <Num>:2(p.171)

a /a/ <L>:(上掲)

kutsara /ku'chara/ <N>:スプーン(idos)(p.303)

a /a/ <L>:(上掲)

tubbog /tub'bog/ <N>:汁、液(p.622)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

kalamansi /kala'mansi/ <N>:カラマンシー(p.622)

wenno /wen'no/ <Conj>:あるいは(p.643)

nagiling /nagi'ling/ <A>:挽いた(< giling + na-)

a /a/ <L>:(上掲)

laya /la'ya/ <N>:しょうが(p.322)

 

panangisagana ti Arnibal

"panangisagana"は様態を表す動名詞で「準備方法」の意味。動名詞なので、"ti"は「名詞 + ti + 名詞」構造で、所有・所属の前置詞(「~の」の意味)。

paglaoken ti asukar ken danum

"paglaoken"(対象焦点動詞)。"ti asukar ken danum"は、中心格にマークされて焦点であり、目的語。

sa ipaburek iti uneg ti lima a minuto

"sa"は、タガログ語に慣れている方には要注意。これは、斜格マーカーではなく、接続詞。"ipaburek"("i-"対象焦点動詞)。ただし、焦点の当たっている名詞(ここでは"ti asukar ken danum")は省略されている。

agaramat ti ad-adu nga asukar

"agaramat"は、接辞"ag-"による動作主焦点動詞だが、これまでに見てきたことでおわかりのように、この文脈は、特に動作主焦点にする必然性は無い。あるいは、甘いのは初学者の私のほうで、ここはあえて動作主焦点にすることによって「意図的に」といった、動作主焦点ならではの意味が添えられている可能性はあるだろうか。ネイティブチェックが必要な問題だ。

なお、動作主焦点動詞が他動詞的意味を表す際には、目的語に相当する名詞句は斜格(iti)でマークされる。この場合の"iti"は、話し言葉では"ti"になることが多いにせよ、書き言葉でこれは、少々編集が甘いのだろうか。

no kayat a napalpalet ti arnibal

動詞"kayat"は、この例のようにリンカー"a/nga"に導かれる名詞節を目的語に取ることが多い。この名詞節の内部は、定義的に一つの「文」となっているわけだ。この例の場合、形容詞"napalpalet"が述語で、中心格"ti arnibal"が主語。"ti arnibal"が"napalpalet"であるのを"kayat"する、というわけだ。

Mabalin pay a nayonan ti arnibal ti 2 a kutsara a tubbog

原文では"ti a 2 kutsara a tubbog"となっているが、これは明らかに誤植。

動詞"mabalin"も、上の例のように、リンカー"a/nga"に導かれる名詞節を目的語に取ることが多い。問題は接辞"-an"による方向焦点動詞"nayonan"。"ti"でマークされている名詞句が2つ存在するが、これをどう解釈するか。

原則は、"ti"が2つ存在する場合には、前者が中心格、後者が所属・所有をマークして、この例の場合、「2杯の(カラマンシーの)汁のシロップを増やす」という解釈になるが、これは、この場合は意味をなさない。ただし、次の"ti"を加えた"(A) ti 2 a kutsara a tubbog (B) ti kalamansi"の部分は、「(B)カラマンシーの(A)スプーン2杯の汁」として、確実にこの解釈が成り立つ。

次の可能性は、"nayonan"の方向焦点動詞としての性質に忠実であろうとするもの。すなわち、方向焦点動詞なのだから中心格は第一義的には<場所>であるべきで、したがって、"ti arnibal"が一次的格成分で「シロップに加える」が中心的な構造をなすとする。何を加えるかの"ti 2 a kutsara a tubbog"は、副次的な格成分なので本来は斜格"iti"で表されるものだが、ここでは、口語表現に対するRubino(2000)の指摘(p.614)にもあるように、それが"ti"に省略されているに過ぎないということになる。すなわち、本来的には"nayonan ti arnibal iti 2 a kutsara a tubbog"であると考えられるのではないかという可能性だ。

次の可能性は、方向焦点動詞"nayonan"が、例えば英語の二重目的語を取る(したがってSVOOの)動詞のように、焦点を2つ取るというもの。すなわち、一つは<対象(増やすもの)>、もう一つは<目標(方向)(増やす先)>と規定するわけだ。この例で言えば、"ti 2 a kutsara a tubbog"(2杯の汁)が<対象>(増やすもの)、"ti arnibal"が<目標>(増やす先)となり、「2杯の(カラマンシーの)汁をシロップに増やす」となる。

いずれの可能性にせよ、さらに多くの用例の調査とネイティブスピーカーとの議論が必要であることは言うまでもない。しかし、上の試訳での省略方法にも見られるように、この文脈でまずは必要なのは<目的(方向)>ではなく<対象>であるはずで、ならばなぜ対象焦点動詞"inayon"ではなく方向焦点動詞"nayonan"が用いられているのかという根本的な疑問が残る。

 

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2009年9月22日 (火)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (11)

Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"のレシピ部分を続ける。

Pamay-an:

1. Yuper ti soybeans iti 30 a minuto.

2. Ramasen ti soybeans tapno maikkat ti ukisna.

3. Yuper manen iti uneg ti walo aging iti sangapulo nga oras.

4. Gilingen ti soybeans iti napino. Mabalin nga agusar iti blender.


5. Ipaburek ti nagiling a soybeans iti 20 a minuto.

6. Ikkaten ti danum ti nagiling a soybeans. Sagaten wenno isina ti tubbog ken kupag.

7. Ipaburek ti tubbog ti soybeans.

8. Inayon ti napulbos a gulaman. Ikiwar agingga iti pumalet.

9. Idasar a nalaokan ti vanilla, sago ken arnibal.


試訳:

作り方

1. 大豆を30分間、水に浸します。

2. (大豆を)混ぜて皮を取ります。

3. 再び、8-10時間ほど、水に浸します。

4. (大豆を)細かく挽きます。ミキサーを使ってもかまいません。

5. 挽いた大豆を20分間、煮ます。

6. (挽いた大豆の)煮汁を取り除きます。こして、煮汁と大豆の部分を分けます。

7. (大豆の)煮汁を煮ます。

8. 粉状にした寒天を加えます。とろみが出るまで混ぜます。

9. バニラ、タピオカ、シロップと混ぜて、できあがりです(直訳:食卓に出します)。

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

pamay-an /pamai-'an/ <N>:したいこと、方法、手段、手順(< ay)(p.425)

yuper /'yuper/ <V>:水につける、浸す(< uper + i-)(p.401)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:大豆(英語:本来のイロカノ語は"soya"(p.583))

iti /'iti/ <Art>:<冠詞"ti"の斜格形> / <Prep>:~に関して / <Conj>:~のゆえに(p.229)

30 (tallopulo) /tallo'pulo/ <Num>:30(< tallo + -pulo)(p.lviii、471、595)

3 (tallo) /tal'lo/ <Num>:3(p.595)

10 (-pulo) /'pulo/ <Num>:10(p.471)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

minuto /mi'nuto/ <Count>:分(p.368)

ramasen /'ramas/ <N>:混ぜる(< ramas + -en)

ramas /'ramas/ <N>:材料をよく混ぜること、素手での闘い(p.486)

-en /en/ <Encl>:<母音の後では"-n">既に、期待していたよりも早く、(進行形の動詞と共起して)今、<状態の変化を示したり、指示物を対照させたりすることもある>(p.182)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

tapno /'tapno/ <Conj>:~なので、~するために(p.603)

maikkat /maik'kat/ <V>:取り除く、取り除ける(< ikkat + ma-)(p.216)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

ukisna /u'kisna/ <N>:(< ukis + -na)

ukis /u'kis/ <N>:卵の殻、樹皮、果物の皮、粘膜、(硬い)皮、外皮、覆い(p.393)

-na /na/ <Encl.>:彼の、彼女の、それの<-ko類代名詞・後椅辞の3人称単数。単独ではなく必ず修飾する名詞ないし動詞に付属して1語として発音される>(p.375)

yuper /'yuper/ <V>:(上掲)

manen /'manen/ <Adv>:再び、もう一度(p.355)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

uneg /u'neg/ <Prep>:内側(iti uneg)(laem; sakup)(p.398)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

walo /wa'lo/ <Num>:8(p.639)

aging /'aging/ <Prep><Conj>:~まで<"agingga"、"aginggana"の異形態か。Rubino(2000)には「隠れ場、僻地」の名詞の意味でのみ記述あり(p.14)>

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

sangapulo /sanga'pulo/ <Num>:10(p.533)

nga /nga/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.384)

oras /'oras/ <N>:時間(p.402)

gilingen /gi'lingen/ <V>:挽く、ミンチにする(asa; muli)(< giling + -en)(p.202)

-en /en/ <Encl>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

napino /na'pino/ <A>:精製された、細かい(p.460)

mabalin /maba'lin/ <V>:できる(p.85)

nga /nga/ <L>:(上掲)

agusar /agu'sar/ <V>:使う(< usar + ag-)

usar /u'sar/ <N>:(スペイン語"usar":使用)(p.404)

ag- /ag/ <Affix>:<動作主焦点自動詞を作る接辞>(p.11)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

blender /len'der/ <N>:(台所用)ミキサー(英語)

ipaburek /ipabu'rek/ <V>:煮る(agpaburek)(paburek + i-)(p.409)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

nagiling /nagi'ling/ <A>:挽いた(< giling + na-)

na- /na/ <Aff>:<形容詞を形成する接頭辞。名詞的語根から形容詞を形成する>(p.375)

a /a/ <L>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

20 (duapulo) /dua'pulo/ <Num>:20(< dua + -pulo)(p.lviii、171、471)

2 (dua) /dua/ <Num>:2(p.171)

10 (-pulo) /'pulo/ <Num>:10(p.471)

a /a/ <L>:(上掲)

minuto /mi'nuto/ <Count>:(上掲)

ikkaten /ik'katen/ <V>:取り除く、クビにする(< ikkat + -en)(p.216)

-en /en/ <Encl>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

danum /da'num/ <N>:水(p.152)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

nagiling /nagi'ling/ <A>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

sagaten /sa'gaten/ <V>:こす、ふるう、一番良いものを取る(< sagat + -en)(p.514)

sagat /'sagat/ <N>:こし器、フィルター(p.514)

-en /en/ <Encl>:(上掲)

wenno /wen'no/ <Conj>:あるいは(p.643)

isina /i'sina/ <V>:捨てる、やめる(sina + i-)(p.561)(ここでは、文脈から見て"sumina"(分ける)の意か)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

tubbog /tub'bog/ <N>:汁、液(p.622)

ken /ken/ <Conj>:(A)と(B)(p.269)

kupag /'kupag/ <N>:ココナツを削って乾燥したもの(p.295)(ここでは、いわゆる「おから」の部分を指すものと思われる)

ipaburek /ipabu'rek/ <V>:(上掲)

tubbog /tub'bog/ <N>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:(上掲)

inayon /i'nayon/ <V>:加える、付設する、共に置く(< nayon + i-)(p.380)

nayon /'nayon/ <N>:追加、部分(p.380)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

napulbos /na'pulbos/ <A>:粉末状の(pulbos + na-)(p.469)

pulbos /'pulbos/ <N>:おしろい(p.469)

na- /na/ <Aff>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

gulaman /gu'laman/ <N>:寒天(agar-agar)(guraman)(p.205)

agar-agar /agar-agar/ <N>:(Rubino(2000)には記述無し)

guraman /gu'raman/ <N>:河口で見られるぬるぬるした海藻(p.207)

ikiwar /i'kiwar/ <V>:混ぜる(kiwar + i-)

kiwar /'kiwar/ <N>:混ぜるための道具、おたま、ミキサー(p.279)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

agingga iti /aging'ga'iti/ <Prep><Conj>:~まで(p.14)

agingga /aging'ga/ <Prep>:~まで(aginggana)(p.14)

iti /'iti/ <Art>/<Prep>/<Conj>:(上掲)

pumalet /puma'let/ <V>:(ダシ無しで)濃くなる、べたつく(< palet + -um-)(p.420)

palet /pa'let/ <N>:液体や生地が濃いこと(p.420)

-um- /um/ <Affix>:<自動詞の瞬間動詞を作る>(p.396)

idasar /ida'sar/ <V>:使う準備をする、食卓を整える(< dasar + i-)(p.157)

dasar /da'sar/ <N>:食卓に出された食べ物(p.157)

i- /i/ <Affix>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

nalaokan /nala'okan/ <A>:混ぜてある(< laokan + na-)(p.317)

laokan /la'okan/ <N>:~を混ぜる(laok + -an)(p.317)

laok /la'ok/ <N>:混ざったもの、混ぜること(p.317)

-an /an/ <Affix>:<方向焦点の動詞を作る>(pp.37-8)

na- /na/ <Aff>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

vanilla /va'nila/ <N>:バニラ(英語より)(Rubino(2000)には記述無し)

sago /sa'go/ <N>:タピオカ(p.516)

ken /ken/ <Conj>:(上掲)

arnibal /ar'nibal/ <N>:砂糖を煮て作ったシロップ(p.60)

 

Yuper ti soybeans iti 30 a minuto.

"yuper"は"y"に惑わされるが、接辞"i-"によって形成される対象焦点動詞("i- + uper")。このように、レシピなどの一般的な命令文の場合は、"yupermo"(-mo:君)、"yuperyo"(-yo:あなた、あなたたち)のように主語はつかない。

中心格マーカー"ti"は、動詞が対象焦点動詞なので、他動詞の目的語を表す。斜格マーカー"iti"は、この場合は<時間>、とりわけ時間の長さを表す。

Ramasen ti soybeans tapno maikkat ti ukisna.

"ramasen"は、接辞"-en"によって形成される対象焦点動詞("ramas + -en")。一般的に、"i-"動詞は一般的な働きかけ、"-en"動詞は対象変化的。この場合は「混ぜる」なので、"-en"動詞によくそぐう。

中心格マーカー"ti"は、動詞が対象焦点動詞なので、他動詞の目的語を表す。接続詞"tapno"は、後ろから律儀に「~するために」としてもよし、前から「~して」としてもよし。名詞"ukisna"(その皮)の"-na"(その)の指すものは"soybeans"。複数のものを単数で指している(複数で揃えるなら"ukisda")のは、数にはさほど厳密ではないイロカノ語ではよくあること。

Yuper manen iti uneg ti walo aging iti sangapulo nga oras.

ここでの前置詞句"iti uneg ti ~"(~の内側で)に見られるように、イロカノ語では、日本語や英語のように名詞とマーカー(日本語なら助詞、英語なら前置詞)の組み合わせで複雑な前置詞句を作ることが多い。

Gilingen ti soybeans iti napino.

動作主焦点動詞"agusar"が用いられているのは、主動詞"mabalin"と(明示的には現れていなくても)焦点を揃えるため(mabalin(ka/kayo) nga agusar(ka/kayo) iti blender:"-ka"は「君」、"-kayo"は「あなた、あなたたち」)。

Mabalin nga agusar iti blender.

"gilingen"(-en対象焦点動詞)。"iti napino"は、"iti + 形容詞"で副詞的な働き。

Ipaburek ti nagiling a soybeans iti 20 a minuto.

"ipaburek"(i-対象焦点動詞)。"na-"は、英語的に言えば、形容詞(おもに語根が名詞の場合)と過去分詞(おもに語根が動詞の場合)的な機能を果たす。

Ikkaten ti danum ti nagiling a soybeans.

"ikkaten"は、"i-"対象焦点動詞に見えないこともないが、"ikkat"を語根にした"-en"対象焦点動詞。中心格マーカー"ti"は、最初のものは"ikkaten"の焦点(目的語)、2番目のものは名詞修飾(挽いた大豆の水)。

Sagaten wenno isina ti tubbog ken kupag.

"sagaten"(-en対象焦点)、"isina"(i-対象焦点)。

Ipaburek ti tubbog ti soybeans.

"ipaburek"(i-対象焦点)。

Inayon ti napulbos a gulaman.

"inayon"(i-対象焦点)。"ti"は中心格で焦点。"napulbos a gulaman"は、「形容詞+リンカー+名詞」で、形容詞の名詞修飾構造。

Ikiwar agingga iti pumalet.

"ikiwar"(i-対象焦点)

Idasar a nalaokan ti vanilla, sago ken arnibal.

"idasar"(i-対象焦点)。リンカー"a"は付帯状況。

 

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2009年9月21日 (月)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (10)

さて、Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"を読み続けているが、第3段落第2文は私のレベルではかなり難しいので、ちょっと保留にしておいていよいよレシピに入ることにする。

Umuna a Wagas

Dagiti ramen:

1/2 a kilo a soybeans
4 a litro a danum
2 a pedaso a gulaman
1/4 a kutsarita a vanilla

Arnibal:

1 a kilo nga asukar a nalabaga
1 1/2 a litro a danum



試訳:

1つめの方法

材料:

大豆 500グラム
水 4リットル
寒天 2片
バニラ 小さじ1/4

シロップ:

黒砂糖 1キロ
水 1.5リットル

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

umuna /umuna/ <A>:第1の(< una)(p.397)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

wagas /'wagas/ <N>:方法、空気、スタイル、様式、外見、態度、物腰、ファッション(p.638)

dagiti /dagi'ti/ <Art>:<"ti"の複数形>(p.144)

ramen /ra'men/ <N>:調味料、材料、風味、文学作品の異なる部分(p.487)

1/2 (maysa a pagkadua) /mai'saapagka'pat/ <Num>:1/4

maysa /mai'sa/ <Num>:1(p.365)

a /a/ <L>:(上掲)

pagkadua /pagka'dua/ <Num>:2分の(< dua + pagka-)

dua /'dua/ <Num>:2(p.171)

pagka- /pagka/ <Affix>:<分数を作るために用いられる>(p.413)

a /a/ <L>:(上掲)

kilo /'kilo/ <N>:キロ(p.274)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:大豆(英語:本来のイロカノ語は"soya"(p.583))

4 (uppat) /up'pat/ <Num>:4(p.401)

a /a/ <L>:(上掲)

litro /'litro/ <N>:リットル(p.334)

a /a/ <L>:(上掲)

danum /da'num/ <N>:水(p.152)

2 (dua) /dua/ <Num>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

pedaso /pe'daso/ <N>:(布の)切れ端、断片、部分、小魚(p.452)

a /a/ <L>:(上掲)

gulaman /gu'laman/ <N>:寒天(agar-agar)(guraman)(p.205)

agar-agar /agar-agar/ <N>:(Rubino(2000)には記述無し)

guraman /gu'raman/ <N>:河口で見られるぬるぬるした海藻(p.207)

1/4 (maysa a pagkapat) /mai'saapag'kapat/ <Num>:1/4

maysa /mai'sa/ <Num>(数詞):1(p.365)

a /a/ <L>:(上掲)

pagkapat /pag'kapat/ <Num>:4分の(< -pat + pagka-)

-pat /pat/ <Num>:<「4」の異形態>(p.447)

a /a/ <L>:(上掲)

kutsarita /kucha'rita/ <N>:ティースプーン、小さじ(スペイン語の"cucharita")(p.303)

a /a/ <L>:(上掲)

vanilla /va'nila/ <N>:バニラ(英語より)(Rubino(2000)には記述無し)

arnibal /ar'nibal/ <N>:砂糖を煮て作ったシロップ(p.60)

1 (maysa) /mai'sa/ <Num>:1(p.365)

a /a/ <L>:(上掲)

kilo /'kilo/ <N>:キロ(p.274)

nga /nga/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.384)

asukar /a'sukar/ <N>:砂糖(p.65)

a /a/ <L>:(上掲)

nalabaga /nala'baga/ <A>:赤い(< labaga + na-)(p.306)

labaga /la'baga/ <N>:赤さ(p.306)

na- /na/ <Aff>:<形容詞を形成する接頭辞。名詞的語根から形容詞を形成する>(p.375)

1 (maysa) /mai'sa/ <Num>:(上掲)

1/2 (maysa a pagkadua) /mai'saapagka'pat/ <Num>:(上掲)

maysa /mai'sa/ <Num>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

pagkadua /pagka'dua/ <Num>:(上掲)

dua /'dua/ <Num>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

litro /'litro/ <N>:(上掲)

a /a/ <L>:(上掲)

danum /da'num/ <N>:(上掲)

 

1 a kilo nga asukar a nalabaga

"1 a kilo nga asukar"は、直訳で「1キロの砂糖」。"asukar a nalabaga"(赤い砂糖)とは黒砂糖のことだろう。このように、"1 a kilo"と"nalabaga"という2つの修飾要素がある際に、前後から挟み込むように修飾している様子が興味深い。

なお、今回のセクションを見るだけでも、イロカノ語でいかにリンカーの"a/nga"が重要な役割を果たしているか、頻繁に用いられているかがわかるだろう。

 

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2009年9月18日 (金)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (8)

続けて、Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"、第3段落第1文を見てみよう。

Kuna da Ofelia ken May nga ad-adu ti mainut ken mabalin pay ti agpapas a mangan iti taho no maisagana iti mismo a pagtaengantayo ta nalaka met laeng nga aramiden daytoy.

試訳:オフェリアさんとメイさんによれば、タホを作るのはとにかく簡単なので、外で買わずに家で作ることができれば、かなり節約できるし、いっそう楽しく食べられるということだ。

(直訳:オフェリアとメイは、これを作るのはとにかく簡単なので、もしも私たちの家自体で準備するならば、節約することが多く、さらにタホを食べることを楽しむことができると言う)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

Kuna /ku'na/ <V>:言う(baga; sao)、信じる、想像する、意味する(p.292)

da /ni/ <Art>:<中心格複数人名詞>(p.143)

Ofelia:(人名)

ken /ken/ <Conj>:(A)と(B)(p.269)

May:(人名)

nga /nga/ <Link>:<"a"の異形態:母音の前で用いられる>(p.384)

ad-adu /ad-a'du/ <V>:より多い(< adu)

adu /a'du/ <A>:多い(p.11)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

mainut /ma'inut/ <V>:節約できる(< inut + ma-)

inut /'inut/ <A>:倹約的な、繁盛した、経済的な(salimetmet)(p.223)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

ken /ken/ <Conj>:(上掲)

mabalin /maba'lin/ <V>:できる(p.85)

pay /pai/ <Adv>:さらに(p.451)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

agpapas /ag'papas/ <V>:楽しむ(p.436)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

mangan /ma'ngan/ <V>:食べる(< kaan)(p.358)

iti /'iti/ <Art>:<冠詞"ti"の斜格形> / <Prep>:~に関して / <Conj>:~のゆえに(p.229)

taho /ta'ho/ <N>:タホ("tahu")(p.589)

no /no/ <Conj>:もし、~するとき(p.381)

maisagana /maisa'gana/ <V>:(< isagana + mai-)

isagana /isa'gana/ <V>:準備する(< sagana + i-)(p.514)

mai- /mai/ <Affix>:<対象焦点のi-動詞を可能動詞化する>(p.347)

sagana /sa'gana/ <N>:準備(p.514)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

iti /'iti/ <Art><Prep><Conj>:(上掲)

mismo /'mismo/ <A>:確かな、同じ/<Adv>:まさにそれ自身(p.369)

a /a/ <L>:(上掲)

pagtaengantayo /pagta'engantayo/ <N>:私たちの家(< pagtaengan + -tayo)

pagtaengan /pagtaengan/ <N>:住居/<V>:引き留める、慎む(p.586)(< taengan + pag- -an)

taeng /ta'eng/ <N>:住居、住んでいる場所、年齢、成熟度(pagyanan, naed)(p.586)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:<行為が行われる場所を表す場所名詞を形成する>(p.411)

-tayo /ta'yo/ <Encl>:私たち<聞き手を含み、3人以上>(p.610)

ta /ta/ <Conj>:それで、なぜなら(gapo ta)<原因節と結果節を結び合わせる>(p.584)

nalaka /nalaka/ <A>:簡単な、安い(p.311)

met laeng /metla'eng/ <Idiom>:けれども、にもかかわらず、とにかく、しかしながら、~もまた(p.309)

met /met/ <Adv>:~もまた、一方(p.367)

laeng /la'eng/ <Adv>:~のみ、ただ~だけ、かつて(p.309)

nga /nga/ <Link>:(上掲)

aramiden /ara'miden/ <V>:する、作る、達成する(< aramid + -en)(p.52)

aramid /a'ramid/ <N>:仕事、働き、職業、行動、行い(p.52)

-en /en/ <Encl>:<母音の後では"-n">既に、期待していたよりも早く、(進行形の動詞と共起して)今、<状態の変化を示したり、指示物を対照させたりすることもある>(p.182)

daytoy /dai'toi/ <Pron>::これ(p.160)

 

Kuna da Ofelia ken May nga ad-adu ti mainut

"kuna"は動詞。イロカノ語の無標の語順は「動詞+主語+目的語」。中心格マーカー"da"(複数・人名詞)は、"Ofelia"と"May"という2人の人をマークしているので複数形になっている。

動詞"kuna"(言う)は、言う内容を目的語として取ることが多いが、それはリンカー"a/nga"によって導かれる。この例の場合、その内容節が"ad-adu"という母音で始まる語で始まるために"nga"が使われている。

形容詞"ad-adu"は、"ad-"が繰り返される畳語形なので、ここでは強調。動詞"mainut"は中心格マーカー"ti"でマークされているので主語であり、「節約できることが非常に多い」の意味。

mabalin pay ti agpapas a mangan iti taho

副詞"pay"は、"ad-adu ti mainut"を承けて、「さらに」の意味を表す。"mabalin ti agpapas"は、"mabalin"が述語で"ti agpapas"が主語で、上の"ti mainut"と同じく、動詞"agpapas"が中心格マーカー"ti"で主語となっている。結果、「楽しむことができる」の意味をなす。

動詞"agpapas"(楽しむ)は、この場合、"a mangan iti taho"という目的語を取り、「タホを食べることを楽しむ」という意味をなしている。動詞"mangan"は動作主焦点動詞なので、目的語を取って他動詞的に用いる際には、斜格マーカー"iti"で目的語をマークする。したがって「タホを食べることを楽しむことができる」。

no maisagana iti mismo a pagtaengantayo

接続詞"no"は時や条件の節を導く。動詞"maisagana"は、対象焦点動詞"isagana"の可能動詞なので中心格に目的語を取るが、この例は「それ(=タホ)」が目的語なので、明示的な形式(isu)は省略されている。

"iti"は、この例では場所を表す前置詞。"mismo"は、このように"mismo + a/nga + 名詞"という形で「名詞自体」という強調の意味を表す。この場合は「(そもそも)私たちの家で」くらいの意味。

ta nalaka met laeng nga aramiden daytoy

接続詞"ta"は理由節を導く。"nalaka nga aramiden"は、「形容詞+a/nga+動詞」の構文で、英語で言えば"it is easy to make"に当たる。したがって、この節全体は「これを作るのはとにかく簡単なので」の意味になる。

 

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2009年9月17日 (木)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (7)

次の2文は、直前の(6)の記事のフォローのような、絵に描いたような用例なので、続けて見てみる。Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"、第2段落第2-3文だ。

Impaw-it ni Ofelia M. Evangelista ti Baringin Sur, Cauayan City, ti umuna a resipe. Ni met May P. Galinato ti Saguday, Quirino ti nangipaw-it iti maikadua a resipe.

試訳:最初のレシピは、カワヤン市南バリギン町在住のオフェリア・M・エバンジェリスタさんが送ってきてくださった。一方、2番目のレシピを送ってきてくださったのは、キリノ州サグダイ郡在住のメイ・P・ガリナトさんだ。

(直訳:カワヤン市南バリギン町のオフェリア・M・エバンジェリスタさんが第1のレシピを送った。一方、第2のレシピを送ったのはキリノ州サグダイ郡のメイ・P・ガリナトさんだ)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

impaw-it /impau'it/ <V>:送った(< paw-it + im-)

paw-it /pau'it/ <N>:(旅人に預けるなど)他人の手を介して送られたもの(p.450)

im- /im/ <Affix>:"i-"の完了形、"in-"の異形態(p.220)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

ni /ni/ <Art>:<中心格単数人名詞>(p.380)

Ofelia M. Evangelista:(人名)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

Baringin Sur, Cauayan City:(地名)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

umuna /umuna/ <A>:第1の(< una)(p.397)

una /una/ <Num>:1(スペイン語で「1」の女性形)(p.398)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

resipe /'resipe/ <N>:レシピ

ni /ni/ <Art>:(上掲)

met /met/ <Adv>:~もまた、一方(p.367)

May P. Galinato:(人名)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

Saguday, Quirino:(地名)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

nangipaw-it /nangipau'it/ <V>:送った(< paw-it + nangi-)

nangi /nangi/ <Affix>:"mangi"の完了形(p.378)

mangi /mangi/ <Affix>:"i-"動詞を非他動詞化する接辞(p.358)

ipaw-it /ipau'it/ <V>:送る、転送する(p.450)

iti /'iti/ <Art>:<冠詞"ti"の斜格形> / <Prep>:~に関して / <Conj>:~のゆえに(p.229)

maikadua /mai'kadua/ <A>:第2の(< dua + maika-)

dua /'dua/ <Num>:2(p.171)

maika- /maika/ <Affix>:第~の(序数詞を形成する)(p.347)

a /a/ <L>:(上掲)

resipe /'resipe/ <N>:(上掲)

 

Impaw-it ni Ofelia M. Evangelista ti Baringin Sur, Cauayan City, ti umuna a resipe.

こちらは、通常の他動詞"impaw-it"を使った文。主語(ni Ofelia M. Evangelista)は(地名(Baringin Sur, Cauayan City)によって修飾されているが)人名なので中心格"ni"でマークされている。目的語(umuna a resipe)は焦点化されているのでこちらも中心格"ti"でマークされている。

地名の前の"ti"は、中心格という格を表しているのではなく、「名詞A + ti + 名詞B」という構造で「BのA」という修飾関係を表す。すなわち、ここでは「地名の人名」ということで「~在住の~さん」の意味。

このように、イロカノ語において"ti"(ならびに複数形"dagiti"、さらに人名については"ni"と複数形の"da")は、一方では文の中心的構成要素の格標示に、一方では連体修飾に用いられるので、なかなか初学者には複雑でわかりにくいものとなっている。一つの目安は、この"ti"は動詞に関わるものなのか、(直前の)名詞に関わるものなのかを見定めることにある。

"umuna a resipe"の場合、「形容詞 + a + 名詞」の構造で、修飾関係を表している。整理すると、名詞が名詞を修飾する場合は"ti"を介して後ろから、形容詞が名詞を修飾する場合は"a"を介して前から修飾するというわけだ。

また、上の試訳では、この焦点化された"ti umuna a resipe"を主題に据えて「最初のレシピは」としている。日本語の主題とイロカノ語の焦点化の関係については、まだまだ語る力がないので、さらなる勉強が必要だと思っている。

Ni met May P. Galinato ti Saguday, Quirino ti nangipaw-it iti maikadua a resipe.

この文は、前の投稿の"dua . . . ti nangipaw-it"と同じ構造。骨は"Ni May ti nangipaw-it"で「~を送ってきたのはメイさんだ」の意味。

"met"は、"ni"と"May"に割り込んでまで2番目の位置に入っているので文副詞、すなわち「一方」の意味。"met"には「~もまた」の意味もあるが、「メイさんも」という意味なら"ni May P. Galinato met"となるだろうし、「~もまたメイさんだ」という解釈になってしまうと、2人からレシピの提供があったという文脈にもなじまない。

 

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Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (6)

最近、「タホの作り方」で検索していらっしゃる方が多いので、気の長い話だが、こちらの記事の学習も進めてみよう。Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"、第2段落第1文だ。

Iti daytoy a bilang, dua nga agbasbasa iti BANNAWAG ti nangipaw-it iti agduma a resipe no kasano ti agaramid iti taho.

試訳:この号では、タホの作り方について、本誌の読者2人が異なるレシピを送ってきてくれた。

(直訳:この「ナンバー」では、どのようにタホを作るかという異なるレシピを送ってきたのは、『バンナワグ』を読んでいる2人だ)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

iti /'iti/ <Art>:<冠詞"ti"の斜格形> / <Prep>:~に関して / <Conj>:~のゆえに(p.229)

daytoy /dai'toi/ <Pron>(代名詞):これ

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

bilang /'bilang/ <N>:数、合計、日付(p.116)

dua /'dua/ <Num>:2(p.171)

nga /nga/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.384)

agbasbasa /agbas'basa/ <V>:(< agbasa)

agbasa /ag'basa/ <V>:読む、学ぶ、学校に行く(p.102)

ag- /ag/ <Affix>:<動作主焦点自動詞を作る接辞>(p.11)

iti /'iti/ <Art>:(上掲)

BANNAWAG /ban'nawag/ <N>:『バンナワグ』(この雑誌の名前)、曙(p.92)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

nangipaw-it /nangipau'it/ <V>:(< paw-it + nangi-)

paw-it /pau'it/ <N>:(旅人に預けるなど)他人の手を介して送られたもの(p.450)

nangi /nangi/ <Affix>:"mangi"の完了形(p.378)

mangi /mangi/ <Affix>:"i-"動詞を非他動詞化する接辞(p.358)

ipaw-it /ipau'it/ <V>:送る、転送する(p.450)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

iti /'iti/ <Art>:(上掲)

agduma /ag'duma/ <V>:異にする(p.174)

a /a/ <L>:(上掲)

resipe /'resipe/ <N>:レシピ

no /no/ <Conj>:という、ということ(p.381)

kasano /kasa'no/ <Interrog>:どのように?(p.261)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

agaramid /aga'ramid/ <V>:作る、建てる(< aramid + ag-)(p.52)

aramid /a'ramid/ <N>:仕事、働き、職業、行動、行い(p.52)

ag- /ag/ <Affix>:<動作主焦点自動詞を作る接辞>(p.11)

iti /'iti/ <Art>:(上掲)

taho /ta'ho/ <N>:タホ("tahu")(p.589)

 

Iti daytoy a bilang

直訳すれば「この数においては」。しかし、ここは英語の"number"が雑誌などの「号」を表すことに準じて「この号では」という意味を表すものと思われる。Rubino(2000)では英訳として"number"が当てられているだけで、それがこのような、英語と並行した用法を持つものかどうかは不明。

dua nga agbasbasa iti BANNAWAG

"dua"は、デフォルトでは数字の「2」だが、ここはリンカーの"nga"が来て、動詞の"agbasbasa"が来ているので、"dua"は「2人」と、人として解釈する。リンカー"nga"は、ここでは英語の関係代名詞的な機能を果たしている。動詞"agbasbasa"は上掲のように接辞"ag-"によって形成されている動作主焦点動詞。したがって、主語は「読む」という行為の動作主なので人という解釈が妥当。

動作主焦点動詞が他動詞的意味を表す場合には、主語相当の名詞(動作主)は中心格、目的語相当の名詞(対象)は斜格で表すので、後者に相当する"BANNAWAG"は斜格マーカー"iti"によってマークされている。したがって、直訳は「『バンナワグ』を読んでいる2人」。

ti nangipaw-it iti agduma a resipe

"agduma a resipe"は「形容詞+リンカー+名詞」の構造で、修飾・被修飾関係を構成している。すなわち「異なるレシピ」「別のレシピ」という意味。

動詞"nangipaw-it"は、接辞"nangi-"(< "mangi-")によって他動詞"ipaw-it"が非他動詞化されたもの。非他動詞化というのは、簡単に言えば、他動詞が非他動詞(平たく言えば「自動詞」)に変換されることだが、イロカノ語で大切なことは、他動詞の場合には対象に焦点が当てられるのに対し、非他動詞の場合は対象に対する焦点が動作主に移るということだ。「自動詞」になるといっても、英語の自動詞とは異なり、目的語は斜格でマークされるとはいえ維持される。「自動詞」と括弧つきにしているのはそのためだ。

この例の場合、対応する他動詞構造は"impaw-it(da) ti agduma a resipe"(彼らは異なるレシピを送ってきた)。主語が絶対格の"-da"(彼ら)、目的語が中心格マーカーの"ti"によってマークされていることに注目いただきたい。焦点は中心格の「異なるレシピ」にあるわけだ。

ところが、この名詞句は、全体が中心格マーカー"ti"によってマークされている。これは、この名詞句全体が、この文の主語であることを示している。すなわち「異なるレシピを送ってきたのは、本誌読者のお二人だ」という文になっているわけだ。ということは、焦点が当たるべきは「彼ら」であり「2人」である「人」でなければならない。そこで非他動詞化接辞の"mangi-"(完了形の"nangi-")の登場となるわけだ。下の太字部分ように、動詞の形態が替わることによって、焦点が「レシピ」から「2人の人」に移っているわけだ。

<他動詞> impaw-it (da dua) ti agduma a resipe

<非他動詞化動詞> nangipaw-it (da dua) iti agduma a resipe

すなわち、この文全体が「2人の人が本誌を読んでくれている」「彼らが異なるレシピを送ってきてくれた」のように2つの独立した文の場合には、"Agbasbasa dua iti BANNAWAG. Impaw-itda ti agduma a resipe."でいいわけだが、この文では「~を送ってきたの(人)は、~している2人だ」と、ちょうど2文を「人」を軸にして揃えるような形になっているので、前者では関係節化(agbasbasa dua iti BANNAWAG → dua nga agbasbasa iti BANNAWAG)、後者では非他動詞化(impaw-itda ti agduma a resipe → nangipaw-it iti agduma a resipe)、後者全体が中心格マーカー"ti"によってマークされて文全体の主語となっているわけだ。

と、ここまでが理屈。込み入った話を好まない方は、"ti mangi-"("ti nangi-")は「~する(した)人」と覚え込んでしまうのも一つの手だ。例えば、Rubino(2000)には次のような例文がある。"Sino ti nangyospital kenka?" "sino"は「誰」、"nagyospital"は"nangi- + ospital"(i + o = yo)で「病院に連れて行った」、"kenka"は斜格で「あなたを」の意味。すなわち「あなたを病院に連れて行ったのは誰ですか」という意味になる。

ところで、このように、"ospital"が語根で「病院」、それに(対象焦点)他動詞化接辞"i-"をつけるだけで"yospital(< i + ospital)"(~を病院に連れて行く)という動詞になってしまうというのも、イロカノ語の一つの面白さだ。

iti agduma a resipe no kasano ti agaramid iti taho

動詞"agaramid"は「作る」という他動詞だが、接辞"ag-"による動作主焦点なので、この場合の目的語「タホ」は斜格"iti"でマークされている。すなわち、"agaramid iti taho"で「タホを作る」の意味。

中心格マーカー"ti"は、名詞化の機能も持つので、この場合はおそらく「~する方法」のように解釈することもできるだろう。これが主語で疑問詞"kasano"が述語、「タホを作る方法はどのようなものか」という節を構成している。

接続詞"no"は、"no kasano"という慣用句で「どのように」の意味を表すこともできるが、この場合、それが当てはまるのか、"no"が"kasano"節と"resipe"を同格的に結び合わせる機能を果たしている(タホを作る方法はどういうものなのかというレシピ)のかは、(このような問いをしてもきちんと答えてくれるインフォーマントが得られるまでは)さらなる用例を当たる必要がある。

現時点では、おそらくそうだろうと検討をつけているが、同格としてはリンカー"a/nga"が同様の機能を果たすことが多い。"ni Juan a maestro"(教師の(である)ジョン)といった具合だ。この説明としては、名詞を同格として結び合わせる場合はリンカー"a/nga"、上の例のように節が来る場合は接続詞"no"が用いられるとすることも可能だが、まだまだ研究以前の勉強が必要だ。

 

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2009年9月11日 (金)

「お会いできて嬉しいです」(音声ファイル付リメイク)

さて、ここで少し、応用を兼ねて、簡単なイロカノ語講座を始めてみましょう。ここでのイロカノ語講座は、特に体系的なものにするつもりもなく、断片的ながらも日常生活に役に立ちそうな表現を、仕込みで拾ったものをもとに、Rubino(2000)その他を参考にしつつ、ご提供していきたいと願っています。

なお、管理人本人による音声ファイルをつけていますが、あくまで初学者による録音ですので、参考のみに留め、可能ならばネイティブスピーカーに当たるようにしてください。ただ、イロカノ語のような、入手可能な教材の少ない(日本語では皆無に近い)言語の場合、このような録音資料でも無いよりはましと考え、はばかりながらのご提供です。皆さんの何らかのご参考になれば幸いです。

今日は、こちらの表現です。

Maragsakanak a makaam-ammo kadakayo.

【音声ファイル】

これは、「あなた(あなたがた)にお会いできて嬉しいです」にあたる表現で、初対面の挨拶や自己紹介にはもってこいのものです。

まず、"maragsakanak"という単語ですが、これはおおよそ「マーラグサナク」のように発音します。もう少し細かいことを言えば、「マーラgk」という感じで、「グ」「ク」を言おうとしながら、声を止めるような感じです。「グ」「ク」を言おうとしながら「マーラ」と言うような感じでしょうか。「カ」を太字で表しているのは、これを強く言う、つまり、アクセントを置く、ということです。

【音声ファイル】

これは「喜び」という意味の"ragsak"(ラグク)という単語から生まれてきているものです。前後を"ma-"と"-an"ではさみ込んで"maragsakan"(マーラグカン)とすると、「嬉しい」「自然に嬉しくなる」という意味を表す単語になるわけです。

【音声ファイル】

"-an"のさらに後ろに"-ak"というのがくっついているのは、「私は」にあたるパーツです。「喜び」という"ragsak"(ラグク)が"maragsakan"(マーラグカン)になって「嬉しい」という意味になり、それが"maragsakanak"(マーラグサナク)となって、「私は嬉しい」という意味になるわけです。

【音声ファイル】

次の"a"(ア)という単語ですが、これはつなぎ言葉のようなもので、イロカノ語ではよく使われます。続く"makaam-ammo"(マカ・アム・アン)という単語は「知り合うことができる」という意味です。骨になるのは"ammo"(アン)で、「知っている」という意味です。"am-ammo"(アム・アン)と最初の部分を繰り返すと「知り合いである」という意味になり、頭に"maka-"(マカ)をくっつけると「~できる」という意味になるわけです。

【音声ファイル】

なお、もうおわかりだと思いますが、「モ」を強く言うようにしましょう。また、イロカノ語の「オ」はかなり「ウ」に近く、2つの音は区別が無いことさえあります。「アン」も、微妙に「アン」あるいは「アンムゥ」に近い発音ができればベターです。

また、"makaam-ammo"を「マカーマンモ」のように、"aa"を「アー」と一つに伸ばしてしまったり、"am-am"を「アマム」のようにくっつけてしまわないことも大切です。タガログ語もそうですが、イロカノ語でも、「ア・イ・ウ・エ・オ」にあたる「母音」と呼ばれる音が並ぶ時には、一つ一つを切るように発音します。"am-ammo"のハイフン(-)も同じです。「マカ・アム・アンモ」と区切って書いているのはそのためです。最初の"maragsakanak a"も「マーラグサカナアー」となり、「マーラグサカナカー」のように"k"と"a"をくっつけては発音しません。

【音声ファイル】

最後の"kadakayo"(カダカ)は、特に相手が1人の時には敬意を表すことになり丁寧な「あなた」になります。また、相手が2人以上の時には、丁寧に言えば「あなたがた」、普通に言えば「君たち」のような意味になります。フランス語やポルトガル語をご存じならば、元々は2人以上(文法用語では「複数」)を指す"vous"や"você"が1人の相手を指して「あなた」の意味で使われるのと同じだと理解していただけるかもしれません。

【音声ファイル】

ここで"a"に戻るなら、"a"は、「私は嬉しい」という"maragsakanak"(文法用語では「動詞」)と、その理由(お会いできて)を表す部分の"makaam-ammo kadakayo"を結び合わせる働きをしていると説明できるでしょう。

それでは、練習をしてみましょう。日本語のカタカナにならないように注意すべきところを英語のアルファベットで書くなら、

マーラ(g)サナ(k)・アー・マカ・ア(m)・アン・カダカ

【音声ファイル】

のようになります。(g)(k)(m)のようにかっこに入れているように、実際にはそこで声を殺すというか、あえて音をほとんど出さないように言えば、それらしくなります。また、太字のところを強く言うように気をつけましょう。

最後に、「全て、みんな、全員」を表す言葉に"amin"(ーミン)という言葉があります。これを最後につけて「皆さんにお会いできて」という意味を表してもいいでしょう。

Maragsakanak a makaam-ammo kadakayo amin.

【音声ファイル】

これは、上にも言ったように、初対面や自己紹介のあいさつです。発音ばかり気になってこわばった顔で言ってもしょうがないものです。ある程度、練習したら、後はニコニコと笑顔で言えるようにも練習してみましょう。

 

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