カテゴリー「02b 学習メモ:"Bannawag"」の23件の記事

2009年12月31日 (木)

Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 06

第2段落第2文は次の通り。

Ti ngamin ethylene gas nga iruar dagiti prutas ken nateng, makatulong iti nadardaras a pannakalaylay dagiti sabsabong.

 

【試訳】

それというのも、果物と野菜から発生するエチレンガスは、花がより早く枯れるのを促すものとなるのだ。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

ti . . . ethylene gas:「エチレンガス」(英語からの借用)

ngamin:「実に、なんと」

非難や強調を表す小辞。節の第2番目の位置に用いられる。

nga:

リンカー。母音で始まる"iruar"の前なので"a"ではなく"nga"。この例では"ti ethylene gas"を先行詞とする関係節を導く。

iruar:

語根"ruar"(外)から接頭辞"i-"によって派生する対象焦点動詞(発する)。

dagiti prutas ken nateng:

イロカノ語では、関係節は、節内の動詞の焦点に相当する名詞を先行詞としてしか作れない。したがって、動詞の焦点は関係節の先行詞でもある<対象>の"ti ethylene gas"。したがって、節内に現れているこの中心格の"dagiti prutas ken nateng"は<動作主>。

イロカノ語の格表示で紛らわしいのが、このように名詞が動作主である場合。動作主焦点動詞の場合は中心格でマークされるのは必然的に<動作主>のみとなるが、それ以外の場合は、焦点に相当する<対象><方向><受益者><道具>その他が中心格で現れるとともに、<動作主>が名詞の場合はそれも中心格で現れる。どちらかが人名や人名詞、親族名詞の場合は、意味的に意志性やコントロール性を持つそれが<動作主>であることが多いが、それ以外の名詞の場合は、意味的に判断するしかない。

この場合、項構造は、概略、"iruar<対象焦点動詞:「発する」>+dagiti prutas ken nateng<中心格:<動作主>:「果物や野菜」>+ti ethylene gas<中心格:<対象>:「エチレンガス」>"となっている。

makatulong:「助ける、促す」

語根"tulong"から接頭辞"maka-"によって派生する可能動詞。この例の場合、主語は、文頭に取り立てられている"ti ethylene gas . . ."。

iti nadardaras a pannakalaylay dagiti sabsabong:「花(複数)のより迅速な枯れること」

"nadardaras"は、語根"daras"から接頭辞"na-"で派生された形容詞だが、語根の最初の子音・母音・子音(CVC)が反復され、比較級となっている。

"pannakalaylay":接頭辞"pannaka-"+語根"laylay"。接頭辞"pannaka-"は、"maka-"動詞を動名詞化する接辞。接頭辞"maka-"は、"ma-"動詞を可能動詞化する接辞。上の訳は、Rubino(2000:322)には"malaylay"という動詞は含まれていないが、「しおれる、枯れる」という意味の"aglaylay"があるのでそこからの類推。ちなみに可能動詞は、能力的な可能性だけでなく、潜在的、偶発的可能性も表す。

"nadardaras a pannakalaylay"は<形+リンカー+名>の修飾構造。中心格マーカーで導かれる"dagiti sabsabong"は、この場合は属格で"pannakalaylay"を修飾する。

"dagiti sabsabong"は、ここでも冗長な複数形を取っている。もはや無標の複数と考えていいのか、あるいは、あくまで冗長であるがゆえにそこに何らかの著者の意図を読み込むべきなのかは、引き続き、検討に値するとともに、複数形に対する読者の文法にも左右されるものであることだろう。

 

【直訳】

実は、果物と野菜が出すエチレンガスは、(どれほど多くの(複数?)ものであっても?)花(複数)の、より速い枯れを促すものとなるのだ。

【試訳】

それというのも、果物と野菜から発生するエチレンガスは、花がより早く枯れるのを促すものとなるのだ。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 05

第3段落第1文は次の通り。

Liklikan nga itipon dagiti kappuros a sabsabong kadagiti prutas ken nateng.

 

【試訳】

摘みたての花を果物や野菜と一緒にするのは避ける。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

liklikan:「避ける」

語根"liklik"から接尾辞"-an"によって派生する方向焦点動詞。ここではリンカー"nga"(次の語が"itipon"と母音で始まるもののため"a"ではなく"nga")に導かれる名詞節"nga . . . nateng"までを目的語として取っている。

nga:

(上述)

itipon dagiti kappuros a sabsabong kadagiti prutas ken nateng「摘みたての花(複数)を果物と野菜に一緒にする」

"itipon"は語根"tipon"から接頭辞"i-"によって派生した対象焦点動詞。Rubino(2000:620)では「加える、参加する、一致させる」という訳語が与えられている。中心格名詞句"dagiti kappuros a sabsabong"は既出。対象焦点動詞"itipon"の焦点(すなわち<対象>)となっている。

興味深いのは、"dagiti . . . sabsabong"と、マーカー、名詞共に複数表示になっていること。既述のように、これは一般には冗長な用法だが、それを良しとする何らかの動機に支えられているものと思われる。この例では動詞が"itipon"なので、花が複数であるがゆえにそうなるといった状況を含意しているのではないだろうか。

"kadagiti"は、複数中心格"dagiti"に対する複数斜格。"prutas ken nateng"は「果物と野菜」。

 

【直訳】

摘みたての花(複数が強調されている=「かさばって場所を取るがゆえに注意が行き届かないかもしれないが」的な含意か?)を果物や野菜と一緒にするのは避ける。

【試訳】

摘みたての花を果物や野菜と一緒にするのは避ける。

 

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2009年12月30日 (水)

Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 04

第2段落第2文は次の通り。

Iti kada litro a danum, laokan iti dua a kutsara a suka ken tallo a kutsara nga asukar.

 

【試訳】

水1リットルに対し、スプーン2杯の酢と3杯の砂糖を混ぜる。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

iti kada litro a danum:「各リットルの水につき」

"kada"は「各」の意味。"litro"(リットル)は、リンカー"a"で名詞"danum"(水)と結び合わされて修飾関係にあり、助数詞のような機能を果たしている。

ただし、次の動詞"laokan"が方向焦点動詞であることを考えると、斜格"iti"は不自然に思われる。前文を承けて「水に酢と砂糖を混ぜる」のだから、この"danum"の名詞句は中心格であるべきところ。この点はさらに調べてみる必要があるが、おそらくは、単なる<方向>としてではく、上にも「~について」と訳しているように、取り立て的な機能を担っているからではないだろうか。

laokan:

「混ぜる」の意味の方向焦点動詞。動作主はゼロ代名詞。

iti dua a kutsara a suka ken tallo a kutsara nga asukar「スプーン2杯の酢とスプーン3杯の砂糖」

"dua"(2)、"tallo"(3)は、それぞれリンカー"a"を介して"kutsara"(スプーン)を修飾しており、"kutsara"はさらにリンカー"a/nga"を介して"suka"(酢)、"asukar"(砂糖)を修飾している。"ken"は等位接続詞の「そして」。ここでも、"kutsara"は助数詞のような機能を果たしている。

 

【直訳】

各リットルの水につき、スプーン2杯の酢とスプーン3杯の砂糖を混ぜる。

【試訳】

水1リットルに対し、スプーン2杯の酢と3杯の砂糖を混ぜる。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 03

第2段落第1文は次の通り。

Napapaut dagiti kappuros a sabsabong no ipanmo ida iti plorera (flower vase) a ti danumna, nanawnawan iti suka ken asukar.

 

【試訳】

摘んだばかりの花は、酢と砂糖が混ざった水の花瓶に生けておけばいっそう長持ちする。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

napapaut:「より持続的だ」(既出)

dagiti:

複数中心格マーカー。この文では主部"kappuros a sabsabong"を導く。

kappuros a sabsabong

"kappuros"は「摘んだばかり」の意味。接頭辞"kaC-"は「~したばかり」という完了の意味を表す。この場合、語根が"puros"なので、最初の子音"p"を取って"kap-"とし、"kappuros"となる。

"kappuros a sabsabong"の構造は、既出(<形容詞+リンカー+名詞>構造)。

no:「もし、~なら」

時ないし条件の副詞節(ここでは"ipanmo ida . . . asukar")を導く。

ipanmo ida:「あなたがそれらを生ける」

"ipan"は接頭辞"i-"によって派生される対象焦点動詞。本来的な意味は「運ぶ」。対象焦点動詞は"-ko"類の代名詞的前倚辞を<動作主>に取り、<対象>は中心格"ti/dagiti"(いずれ出てくるように人ならば"ni/da")でマークされる(例:"ipanmo ti karton"(あなたが箱を運ぶ)、"ipanmo ni Juan"(あなたがジョンを運ぶ)など)。

ただし、この例では、<動作主>のみならず<対象>も代名詞(3人称複数の"ida")なので、中心格マーカーは見られない。なお、Rubino(2000:214)は、この"ida"を前倚辞としているが、前倚辞とは、一般的な定義として、語幹に接続してアクセントを失うもののはずだが、私の周囲ではアクセントを保ったままのものをよく耳にする。すなわち、前倚辞ではなく代名詞として分類すべきように思える。コルディリエラ方言の特徴だろうか。

iti plorera (flower vase):「花瓶に」

斜格マーカー"iti"は、ここでは言うまでもなく<場所>を表す。

a:

リンカー。この文では、関係詞として関係節"ti danumna, nanawnawan iti suka ken asukar"を導く機能を果たす。

ti danumna:「その水に」

"danum"は「水」。"-na"は3人称単数の代名詞的前倚辞。先行詞は明らかに"plorera (flower vase)"。無標の語順では"nanawnawan ti danumna iti suka ken asukar"だが、ここで"ti danumna"が節の頭に出ているのは"-na"と先行詞"plorera"の「近さ」のためで、結果的に英語で"the flower vase whose water . . ."のような効果を得ているのではないだろうか。訳は、中心格で、動詞"nanawnawan"が方向焦点動詞であることから「その水に」となる。

nanawnawan:「混ぜてある」

"nawnawan"は方向焦点動詞。接頭辞"na-"は完了。動作主はこの例の場合、ゼロ代名詞で特定の動作主を問わない。

iti suka ken asukar:「酢と砂糖を」

斜格マーカー"iti"でマークされている名詞句はこの場合、動作の<対象>。この辺りの感覚がイロカノ語の態体系の感覚的に難しいところ。方向焦点動詞"nawnawan"の焦点が当たっているのは"danum"なので、「水に酢と砂糖を混ぜる」という意味になる。

 

【直訳】

摘んだばかりの花(複数は)、もしあなたがそれらを、酢と砂糖を水に混ぜてある花瓶に生けておけば、いっそう持続する。

【試訳】

摘んだばかりの花は、酢と砂糖が混ざった水の花瓶に生けておけばいっそう長持ちする。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 02

第1段落は、セミコロンで2つの文が結ばれているが、全体で長い1文になっている。

Kasayaatan nga iti naladaw a malem ti panagpurosmo iti sabsabong ta itoy nga oras, isu ti kaadu ti “sugar content” dagiti sabong; ngarud, napapaut ti biagda ngem dagiti napuros iti nasapsapa a paset ti aldaw.

 

【試訳】

花を摘むのは、午後遅くが一番良い。というのも、この時間帯こそ、花に含まれる「砂糖成分」が最も多い時間帯だからだ。すなわち、この時間帯に摘んだ花は、それより早い時間帯に摘まれた花よりも長持ちするのだ。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

kasayaatan:「最も良い」

語根は"sayaat"。形容詞"nasayaat"(na- + sayaat)(良い、元気な)に見られるように、「良、善」の概念を表す。"ka- -an"は形容詞の最上級を派生する接周辞。

nga:

リンカー。この文では名詞節を導き、<形容詞(~だ)+名詞節(~すること(は))>の構造で「~するのは~だ」の意味を表す。"nga"は"a"の異形態。続く語が母音で始まる場合(この場合は"iti")に用いられる。

iti:

単数斜格マーカー。この例では時間を表す名詞句"naladaw a malem"(遅い午後)をマークする。

naladaw:「遅い」

形容詞。"na-"は、語根から形容詞を派生する接頭辞。

a:

リンカー。ここでは、形容詞"naladaw"(遅い)と名詞"malem"(午後)を結び合わせている。

malem:「午後」

ti:

単数中心格マーカー。この文では主部"panagpurosmo iti sabsabong"を導く。

panagpurosmo:「あなたの摘むこと」

動名詞"panagpuros"については既出。"-mo"は名詞に接続する前倚辞(enclitic)で、1人称属格(所有格)(私の)を表す。

ここで"-mo"に代表される"-ko"類の代名詞的前倚辞は、対象焦点動詞、方向焦点動詞、受益焦点動詞など、Rubinoが「他動詞」と呼ぶ動詞の「主語」として機能することもできるが、この例の"panagpuros"の場合は、本来的に"-ak"類を取る動作主焦点動詞(Rubinoが「自動詞」と呼ぶもの)系の動名詞のため、"-mo"を「主語」とする解釈は一貫性に欠ける。むしろ、英語の"your coming"のように、形態的には属格であるものが意味的には<主語+動詞>的に解釈されるとすべきであろう。

iti sabsabong:「花(複数)を」

これについては既出。

ta:「(なぜなら)~から」

理由の副詞節(ここでは"itoy nga oras, isu ti kaadu ti "sugar content" dagiti sabong")を導く接続詞。

itoy:「これ」

"daytoy"の異形態。ただし、この"itoy"は"a/nga"のように音韻論的に条件づけられているわけではないので、背後にどのような語用論的条件が存在するのかはさらに調べを進めていく必要がある。

a:

リンカー。ここでは、指示詞"itoy"(これ)と名詞"oras"(時間)を結び合わせている。

oras:「時間」(本来はスペイン語からの借用(horas))

isu:

3人称単数代名詞。イロカノ語では男・女・中性の区別は無い。ここでは、"itoy nga oras"(この時間)を節の頭に取り立て、それをあらためてこの"isu"で承けているのだと思われる。

ti:

単数中心格マーカー。この文では名詞節"kaadu ti "sugar content" dagiti sabong"を導く。

kaadu:「最も多い」?

Rubino(2000:11)では"kaadu"を「合計、量」としているが、これは文脈から考えて「最も多い」という意味であるべきではないだろうか。その場合、"kaadu"として「最も多い」という意味を表し得るのか、それとも前文にも出てきた形容詞の最上級の接周辞"ka- -an"による"kaaduan"であるべき、すなわちタイプ・校正ミスなのだろうか。

ti:

単数中心格マーカー。この文では主語成文""sugar content" dagiti sabong"を導く。

"sugar content":「砂糖成分」(英語からの借用)

dagiti:「~の」

本来的には複数中心格マーカー(単数形は"ti")だが、中心格名詞句の内部で<名詞句A+ti/dagiti+名詞句B>で用いられると属格を表し、「BのA」の意味になる。すなわち、この例では「花(複数)の「砂糖成分」」。

sabong:「花」

ここまで"iti sabsabong"と、"sabong"が畳語形で複数を表してきたが、ここでは"ti"の連続を避けるためか"dagiti sabong"の形で複数を表している。

ngarud:「すなわち」

napapaut:「より持続的だ」

"napaut"で「持続的な」の意味の形容詞。ここでは子音+母音(CV)が反復されて比較級になっている。

ti biagda:「それらの命は」

"biagda"は単数中心格マーカー"ti"に導かれ、述語"napapaut"の主部として機能する。"biag"は「命」。"-da"は、3人称複数属格代名詞的前倚辞(彼らの、彼女らの、それらの)。

ngem:「~より」

"ngem"は逆接の接続詞(しかし)でもあるが、形容詞の比較級構文では比較の対象を表して「~より」という意味を表す。

dagiti napuros:「摘まれたものの」

"dagiti"は、複数中心格マーカー。この例では、形態統語的には、先行する単数中心格マーカー"ti"が導く"biagda"と並行する、"napapaut"の主部と考えることも可能だが、そうすると、意味的には「摘まれたものより、それらの命のほうが持続的だ」となり一貫性に欠ける。

そのため、ここでは、中心格ではなく属格(<名詞句A+ti/dagiti+名詞句B>(BのA))の用法として、非明示的な"biag"を修飾する(摘まれたものの(もの)(=命)よりも、それらの命のほうが持続する)と考える。

iti nasapsapa a paset ti aldaw:「一日の、より早い部分に」

"nasapsapa"は、CVC(sap)反復による"nasapa"の比較級。

"nasapsapa a paset"は<形容詞+リンカー+名詞>で形容詞が名詞を修飾する構造。

"ti aldaw"は、<名詞句A(nasapsapa a paset)+ti+名詞句B(aldaw)>構造の一部として、名詞句A(nasapsapa a paset)を修飾する。

 

【直訳】

あなたの、花々を摘むことが遅い午後であることは一番良い。というのも、この時間こそ、花々の「砂糖成分」が最も多いものだからだ。すなわち、それらの命は、一日の、より早い部分に摘まれた(複数)ものの命よりも持続的なのだ。

【試訳】

花を摘むのは、午後遅くが一番良い。というのも、この時間帯こそ、花に含まれる「砂糖成分」が最も多い時間帯だからだ。すなわち、この時間帯に摘んだ花は、それより早い時間帯に摘まれた花よりも長持ちするのだ。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 01

まずは、タイトルを見てみよう。この企画から少し構成を、形態論的には簡略に、全体的にはさらに説明的にしてみる。

Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?

 

【試訳】

花を摘むのに適しているのはいつ?

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】

(分析、逐語訳は、Rubino(2000)を参照しつつ、適宜、自分の解釈も加えている。)

kaano:「いつ」

この文では述語として「~はいつか」という疑問文となる。

ti:

単数中心格(core case)マーカー。この文では主部"umno a panagpuros iti sabsabon"全体を導く重要な機能を果たす。なお、人名ないし親族名詞の場合は、単数中心格には"ni"が用いられる。

umno:「適切な、ふさわしい、正しい」

形容詞。Rubino(2000:397)では、"umumno"(um- + umno)としての自動詞(適切だ、ふさわしい、正しい)の用法は記述されているが、このように語根"umno"のままでの形容詞としての用法は記述されていない。

a:

リンカー。ここでは、形容詞"umno"と動名詞"panagpuros"を結び合わせている。

panagpuros:「摘むこと」

語根"puros"由来の動名詞。Rubino(2000:476)には"puros"そのものの意味記述は無いが、他動詞"purusen"(集める、摘む)があることから、語根の持つ概念としてそれらのものが考えられる。接頭辞"panag-"は、動作主焦点動詞系(ag-)の動名詞を派生することから、"panagpuros"は「摘むこと」と考えられる。

「摘む」は、日本語では他動詞のため、日本語に訳してしまうとなかなか理解が難しいが、これが日本語とイロカノ語の態(ボイス、ヴォイス)体系の違いなので、まずは慣れていくしかない。

Rubinoは便宜的にか自動詞(intransitive verb)、他動詞(transitive verb)という用語を用いているが、イロカノ語の場合、意味論的に目的成分が必要なので他動詞的、不要なので自動詞的という言い方はできるものの、形態論・統語論的に自動詞、他動詞という定義を当てはめることはできない。

iti:

単数斜格マーカー。動名詞"panagpuros"が動作主焦点動詞系の動名詞なので、他動詞ならば目的語に相当する"sabsabong"(花(複数))は、斜格マーカー"iti"でマークされる。人名ないし親族名称ならば"kenni"。

sabsabong:「花(複数)」

"sabong"の複数形。最初の(子音)+母音+子音((C)VC)を反復して複数形にする。面白いのは、名詞が複数であるにもかかわらず、名詞句全体をマークするマーカーは"iti"という単数マーカーが用いられていること。イロカノ語ではふつう、どちらかが複数であればそれで十分とされる。したがって、"iti"の複数形の"kadagiti"を用いて"kadagiti sabong"とすることもできるが、マーカーと名詞の双方を複数にして"kadagiti sabsabong"とするとふつうは冗長とされる(ただし、この例もまた、この同じ文章の後半に出てくる)。

 

【直訳】

花々についての適切な摘むことはいつ?

【試訳】

花を摘むのに適しているのはいつ?

 

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2009年9月30日 (水)

Ibasaam ti Anakmo Sakbay a Maturog(子供の寝る前に読み聞かせを)(2)

今回は記事のタイトルを見てみる。

Ibasaam ti Anakmo Sakbay a Maturog

試訳:子供の寝る前に読み聞かせを

(直訳:(君の子供が)寝る前に、君の子供のために読んでやりなさい)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

ibasaam /iba'saam/ <V>:(君が)~のために読んでやりなさい(< ibasaan + -m)

ibasaan /iba'saan/ <V>:~に読んでやる(basa + i- -an)

-m /m/ <Encl.>:君が、君の<2人称単数能格:母音の後、接辞"-an"、"-en"の"n"に替わって現れる:子音の後では"-mo">(p.346)

i- -an /i- -an/ <Affix>:<誰かのための受益的行為を表す動詞を形成する>(p.213)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

anakmo /a'nakmo/ <N>:君の子供(anak + -mo)

anak /a'nak/ <N>:子孫、子供、息子、娘、興味を惹くこと(p.38)

-mo /mo/ <Encl.>:君が、君の<2人称単数能格:子音の後に現れる>(p.369)

sakbay /sak'bai/ <Conj / Prep>:~する/~の前に(p.518)(前者の場合は"sakbay a + 節"、後者の場合は"sakbay iti + 名詞")

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

maturog /ma'turog/ <V>:寝る(turog + ma-)(p.633)

turog /'turog/ <N>:眠り(p.633)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

 

ibasaam ti anakmo

上の「語義・語構成」からもわかるように、"ibasaam"は"*basa(中心的な意味を担う語根)+ i- an(受益動詞化接辞)+ -m(主語)"という語構成になっている。動詞が"ibasaan"なので、2人称単数主語のこの場合、"ibasaanmo"とならず、"-an"の"n"に置き換わる形で"ibasaam"となることに注意。

接辞"i- -an"は焦点に<受益者>を取るので、中心格"ti"で標示・焦点化されている名詞"anakmo"が<受益者>。「君は君の子供のために読みなさい」が直訳となる。

sakbay a maturog

"sakbay"は、この場合、リンカー"a"に導かれ、動詞"maturog"という1語だけの節を取っている。節というのは、「主語+述語」(どちらかが省略されたり、非明示的であることもある)からなる最小限の単位で、一般には「文」と呼ばれもするが、このブログでは、「文」とはあくまでピリオドで締めくくられるもの全体を定義として持っているので、一般にはあまり聞かれないかもしれない「節」という用語を用いている。

この例の場合、動作主焦点動詞"maturog"は、文字通り、<動作主>が焦点なので、何もないとすれば、それは<動作主>が3人称単数であることを意味する。したがって、この例の場合、"maturog"の主語は"anakmo"になり、「君の子供が寝る前に」となる。

 

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2009年9月29日 (火)

Ibasaam ti Anakmo Sakbay a Maturog(子供の寝る前に読み聞かせを)(1)

フィリピンで発行されているイロカノ語雑誌Bannawag(あけぼの)は、ここ数年、紙質が良くなるだけでなく、誌面も充実してきている。その1つが、Elizabeth M. Raquel氏による"Tips: Tarabay iti Pagtaengan, Sulun-at, ken Dadduma Pay"だ。半面に3つほど、暮らしに役立つ一口情報が掲載されている。

メディアによる情報過多の日本とは対照的に、フィリピンではこの手の情報は口コミで伝わる。そのため、往々にして各自の誤解や勝手な追加が加わり、情報の質としては、信憑性の怪しいものとなってしまいがちだ。例えばかつてのみのもんた氏や堺正章氏などが、最先端のプレゼンテクニックを用いて伝え、その日のスーパーでは取り上げられたものの売り切れが相次ぐという状況が日本ならではのものなのは、ここで取り立てて指摘するまでもないだろう。

今回取り上げたいのは、日本ではもはや知識が定着した感のある、いわゆる「読み聞かせ」についての記事だ。18行3-4文だけの短文だが、さてどんな内容が語られているだろうか。今日はコラムのタイトルを見てみよう。

TIPS: Tarabay iti Pagtaengan, Salun-at, ken Dadduma Pay: Inurnong ni Elizabeth M. Raquel

試訳:豆知識:住まい、健康、その他のための手引き:エリザベス・M・ラケル(編)

(直訳:秘訣:住まい、健康、その他における手引き:エリザベス・M・ラケルが集めた)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

tips /tips/ <N>:秘訣、お得情報(英語から)

tarabay /ta'rabai/ <N>:手引き、助け、チューター、後見人(p.603)

pagtaengan /pagta'engan/ <N>:住居/<V>:引き留める、慎む(p.586)(< taengan + pag- -an)

taeng /ta'eng/ <N>:住居、住んでいる場所、年齢、成熟度(pagyanan, naed)(p.586)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:<行為が行われる場所を表す場所名詞を形成する>(p.411)

salun-at /sa'lun-at/ <N>:健康(pia)(p.527)

ken /ken/ <Conj>(接続詞):(A)と(B)(p.269)

dadduma /da'duma/ <N>:いくつかのもの、他のもの(p.143)

pay /pai/ <Adv>:さらに(p.451)

inurnong /inur'nong/ <V>:集めた、収集した、群集した(< urnongen + -in-)

urnongen /ur'nongen/ <V>:集める、収集する、群集する(< urunong + -en)(p.403)

-in- /in/ <Aff>:<"-en"動詞、"-an"動詞の完了形を形成する。語根の最初の母音の前に付接する。前者の場合、"-en"は脱落、後者の場合、"-an"は存続する>(p.213)

urunong /ur'nong/ <N>:貯めたもの、集めたもの(p.403)

-en /en/ <Affix>:<対象焦点動詞を形成する>(p.183)

ni /ni/ <Art>:<中心格単数人名詞>(p.380)

 

pagtaengan

タホのレシピの文章の中にも出てきた「住まい」。「家」は"balay"などの単語もあるが、"pagtaengan"は「住まい」を表す一般的な語。

dadduma

"*duma"は「異なる」という意味の語根。"agduma"は、動詞としての「異なる」、"agduduma"は、「様々な、いくつかの、異なる」の意味の形容詞、"maiduma"も、「異なる」という意味の形容詞。畳語形の"maidumduma"は、協調的な「目立つ、独特の、区別できる」の意味の形容詞。"nadumaduma"も「異なる」の意味の形容詞。対象焦点動詞"idumduma"は「~を好む、優れる」の意味。このように、語根にいろいろな接辞がついていろいろな品詞になり、いろいろな意味を表すのが、イロカノ語の基本的語構成。

inurnong

接辞"-in-"が語根"urnong"に付接している。このような場合、語尾に"-an"があるか(あれば、方向焦点動詞、なければ"i-"ないし"-en"対象焦点動詞")どうかが一つの目安になる。

"i-"動詞の場合は、語頭の"i-"が"in-"になる(例:"ited"(与える)→"inted"(与えた))だけだが、"an"動詞、"-en"動詞の場合は、語幹が子音で始まる場合、"-in-"は最初の母音の前に割って入ることになる(例:"suratan"(~に書く)→"sinuratan"(~に書いた)、"suraten"(~を書く)→"sinurat__"(~を書いた))。

inurnong ni Elizabeth M. Raquel

"-en"対象焦点動詞は、その名の通り、意味論的には<対象>を焦点とする動詞で、その<対象>にあたる名詞を中心格(ti/dagiti(もの)、ni/da(人))で標示する。

一方、<動作主>を標示する方法は、名詞(人名を含む)ならば同じく中心格、代名詞ならば能格(ergative case:"-ko"類)。ここでは人名なので、"ni"によって中心格標示。

 

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2009年9月24日 (木)

Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (14)(全訳)

こういうわけで、ついに、Liday T. Segundo氏の"Nalaka ti Agaramid iti Taho"(タホを作るのは簡単だ)の全訳が完成したので、あらためてまとめておきたい。要はやわらかいふわふわな豆腐の作り方なので、これを見て実際に作ってみようという方は、厳密な部分についてはさらに、他の適切なレシピもご参照いただきたい。

なお、この全訳は、各記事で作成した試訳をさらに編集し、全体としての仕上げをするとともに、読みやすくもしている。ただ、あらためて通しで見てみると、材料にタピオカが含まれていないのが、スィゲ、スィゲで大雑把なフィリピン風で楽しい。

001_2

写真は、バギオで売っている季節もののイチゴ・タホ。この記事のレシピで触れられているシロップ(黒蜜)とタピオカに加えて、形が残る程度に甘く煮詰めた、採りたてのイチゴが乗せられている。

この写真は4月に撮影したものなので、その頃なら食べられるはずだ。季節も良い。ぜひいらして、イチゴ・タホと共に、片言でもイロカノ語でのコミュニケーションを楽しんでみてください。

 


タホを作るのは簡単だ

リダイ・T・セグンド

 

タホは、人々が肩に背負い、大きな声を上げながら売り歩いている。以前は、都市や大きめの町でしか売られていなかったが、最近では小さめの町や奥地にまで売り子が増えてきている。

タホはタンパク質が豊富だ。値段の安さは脇に置くとしても、脂肪分が低いことから、よく知られた「健康食品」の一つとみなすことができる。これは、ウタウ、すなわち大豆からできており、子供から大人まで愛されている。

この号では、タホの作り方について、読者のお二人が違うレシピを送ってきてくださった。最初のレシピは、カワヤン市南バリギン町在住のオフェリア・M・エバンジェリスタさんが送ってきてくださった。2番目のレシピを送ってきてくださったのは、キリノ州サグダイ郡在住のメイ・P・ガリナトさんだ。

お二人によれば、タホを作るのはとにかく簡単なので、外で買わずに家で作れれば、かなり節約できるし、もっと楽しく食べられるという。また、大豆を入手するにも、タホの産地にある売り場なら、大量に入手することができる。

 

第1の方法

 

材料:

大豆 500グラム
水 4リットル
寒天 2片
バニラ 小さじ1/4

 

シロップ:

黒砂糖 1キロ
水 1.5リットル

 

作り方:

1 大豆を30分間、水に浸す。

2 混ぜて皮を取る。

3 再び、8-10時間ほど水に浸す。

4 細かく挽く。ミキサーを使ってもよい。

5 挽いた大豆を20分間、煮る。

6 煮汁を取り分ける。こして、煮汁と大豆の部分を分ける。

7 煮汁を煮る。

8 粉状にした寒天を加える。とろみが出るまで混ぜる。

9 バニラ、タピオカ、シロップと混ぜてできあがり。

 

シロップの作り方;

砂糖と水を混ぜ、5分煮る。もっととろみがあったほうが好みの場合には、さらに砂糖を加える。また、カラマンシーの果汁を大さじ2杯、あるいは細かく刻んだ生姜を加えるのもよい。

 

第2の方法

 

1 大豆を一晩、水に浸す。

2 お湯を加えながら細かく挽く。

3 挽いた大豆を目の粗い、薄い綿の布に広げ、汁をしぼる。

4 搾った汁を10分間、煮る。

5 混ぜながら、寒天を加える。

6 もう一度、10分間、煮る。

7 目の粗い、薄い綿の布でこす。

8 冷ましてから、シロップとタピオカを混ぜて、できあがり。

 

Liday T. Segundo, "Nalaka ti Agaramid iti Taho" in Bannawag: Kangrunaan a Magasin Dagiti Ilokano, Oktubre 20, 2008: 36.

 

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Nalaka ti Agaramid iti Taho (タホを作るのは簡単だ) (9)

続けて、Liday T. Segundo氏による10月20日号の記事"Nalaka ti Agaramid iti Taho"、第3段落第2文を見てみよう。私のレベルでは難解で、積み残していたものだ。試訳にも、稚拙な悪戦苦闘の跡が見られる。ご笑覧いただきたい。

Mainayon pay nga adu latta ti magatang a bukel ti soybeans kadagiti pagtagilakuan a paggapuan ti isagana a taho.

試訳:さらには、大豆を入手する際に、まさに準備しようとするものの産地、すなわちタホの産地そのものにある売り場なら大量に入手することができる、ということも挙げられる。

(直訳:さらに、準備するものであるタホの産地である売り場では、買える大豆の粒が実に多いということを加えることができる)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

mainayon /mai'nayon/ <V>:加えることができる、取りつけることができる、一緒に置くことができる(< nayon + mai-)(p.380)

nayon /'nayon/ <N>:追加、部分(p.380)

mai- /mai/ <Affix>:<対象焦点のi-動詞を可能動詞化する>(p.347)

inayon /i'nayon/ <V>:加える、取りつける、一緒に置く(nayon + i-)(p.380)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

pay /pai/ <Adv>:さらに(p.451)

nga /nga/ <Link>:<"a"の異形態:母音の前で用いられる>(p.384)

adu /a'du/ <A>:多い(p.11)

latta /lat'ta/ <Adv>:ただ、~だけ(p.321)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

magatang /ma'gatang/ <V>:買える(< gatang + ma-)(p.198)

gatang /'gatang/ <N>:ココナツの殻を測る器具、購入(balusbus; sakada; gatang)(p.198)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

bukel /bu'kel/ <N>:種(種子)、ナッツ、円、円形(p.126)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

soybeans /soi'bi:nz/ <N>:大豆(英語:本来のイロカノ語は"soya"(p.583))

kadagiti /kadagi'ti/ <Art>:<斜格複数一般名詞>(p.234)

pagtagilakuan /pagtagila'kuan/ <N>:売り場(< tagilako + pag- -an)

tagilako /tagi'lako/ <N>:商品(< lako + tagi-)(p.312)

lako /'lako/ <N>:売り物(p.311-2)

tagi- /tagi/ <Affix>:<語根に表されている事柄との密接に関係を示す実体詞(substantive)を形成するために用いられる>(p.587)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:<行為が行われる場所を表す場所名詞を形成する>(p.411)

a /a/ <L>:(上掲)

paggapuan /pagga'puan/ <N>:産地(gapu + pag- -an)

gapu /ga'pu/ <N>:理由、原因、動機(p.195)

pag- -an /pag- -an/ <Affix>:(上掲)

ti /ti/ <Art>:(上掲)

isagana /isa'gana/ <V>:準備する(< sagana + i-)(p.514)

sagana /sa'gana/ <N>:準備(p.514)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

a /a/ <L>:(上掲)

taho /ta'ho/ <N>:タホ("tahu")(p.589)

 

mainayon . . . nga . . .

"mainayon"("i-"対象焦点・可能形)の目的語が中心格"ti"の名詞ではなく、リンカー"nga"で一つの節で表されているので、「~を加えることができる」ではなく「~ということを加えることができる」の意味。

adu . . . ti magatang a bukel ti soybeans

その目的語として機能している名詞節の内部。形容詞"adu"が述語で、中心格で表されている"magatang a bukel ti soybeans"が主語。「形容詞+ti+名詞」で「名詞は形容詞だ」の形容詞文。

ところが"magatang"は動詞(可能動詞)なので、構造的にはさらに複雑なものとなっている。リンカー"a"を介しているので「修飾成分(この場合は動詞"magatang")+リンカー+被修飾成分(この場合は名詞"bukel")」という定式を当てはめると「買える種子」の意か。"bukel ti soybeans"は「名詞A+ti+名詞B」なので「名詞Bの名詞A」という修飾構造で「大豆の種子」の意味。

大豆を「種子」と呼ぶのは、日常言語としてはそぐわないので「粒」と言い換えると(現に、Rubino(2000)も、イロカノ語-英語の欄には「粒」の訳語はないが、英語-イロカノ語の欄には「粒」(grain)に対してこの"bukel"を当てている)、全体として「買える大豆の粒が多い」という解釈が成立する。

kadagiti pagtagilakuan a paggapuan

斜格マーカー"kadagiti"は、おなじみの"iti"の複数形なので、ここでは<(複数の)場所>とすればいいだろう。"pagtagilakuan"は「売り場」。

厄介なのはリンカー"a"だが、ここは、前の要素が"pagtagilakuan"(売り場)で、後の要素が"paggapuan"(産地)と、両方が場所的名詞で共通の機能を持っているので同格と考えられる。すなわち「産地である売り場」の意味に解釈する。

paggapuan ti isagana a taho

それでは何の産地なのかということになるが、「名詞A(paggapuan)+"ti"+名詞B(isagana:)」という構造を当てはめる。"isagana"は、本来的には"i-"対象焦点動詞だが、"ti"がつくことで名詞化されている。すなわち「準備するものの産地」。

ここで再びリンカーが登場する。「準備するタホ」と連体修飾構造として解釈するか、「準備するもの、すなわちタホ」と同格構造として解釈するか。

 

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