カテゴリー「02a-02 学習メモ:イロカノ語聖書:Lucas(ルカ) 19:28-36」の12件の記事

2009年7月26日 (日)

Lucas 19:28-36 (12) (19:36)

Idi nakasakayen ni Jesus, inyaplag dagiti tattao dagiti kagayda iti dalan. (Lucas 19:36)

直訳

イエスが(子ロバに)乗ってしまうと、人々は自分たちの衣を道に広く敷いた。

試訳

イエスが子ロバに乗ると、人々は自分たちの衣を道に敷き詰めた。

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

idi /i'di/ <Adv, Conj, Prep>:<過去を表す>(p.214)

nakasakayen /nakasa'kayen/ <V>:乗った(< nakasakay + -en)

nakasakay /makasa'kayen/ <V>:乗った("makasakay"の完了形)

-en /en/ <Affix>:<完了を表す>(p.182)

makasakay /makasa'kay/ <V>:乗れる(< sakay + maka-)

sakay /sa'kai/ <N>:乗客(p.518)

maka- /maka/ <Affix>:<可能な行為、偶然の行為などの動詞を作るが、完了形の場合にはむしろその行為の完了、行為による結果の状態への到達を意味する>(p.348)

ni /ni/ <Art>:<中心格単数人名詞>(p.380)

Jesus /'hesus/ <N>:イエス

inyaplag /inyap'lag/ <V>:広げた("yaplag"の完了形)

yaplag /yap'lag/ <V>:マットを床に広げる(< aplag + i-)(p.646)

dagiti /dagi'ti/ <Art>:<中心格複数一般名詞>(p.144)

tattao /'tattao/ <N>:人々("tao"の複数形)

tao /'tao/ <N>:人、人間、人々、個人(pp.601-2)

dagiti:(上述)

kagayda /ka'gaida/ <N>:彼らの衣(< kagay + -da)

kagay /ka'gai/ <N>:ケープ、衣、外套、ショール(p.235)

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ko"系代名詞3人称複数>(p.143)

iti /'iti/ <Art>:<冠詞"ti"の斜格形> / <Prep>:~に関して / <Conj>:~のゆえに(p.229)

dalan /'dalan/ <N>:道、通り、通路、通り道、経路、廊下(p.147)

 

nakasakayen ni Jesus

動詞"nakasakayen"の"-en"は、完了の前倚辞で、「~してしまう」の意味を表す。"nakasakay"そのものが完了形("naka-")なので冗長な感がしなくもないが、ここはむしろ、「~するやいなや」「間髪入れず」の意味合いかと思われる。

可能動詞を作る接辞"maka-"が、完了形になると可能の意味を失い、到達の意味を表すようになるというのは、なるほど、可能というのは動作が未完了の間のみ語る意味があるということで、なかなか興味深い。

inyaplag dagiti tattao dagiti kagayda iti dalan

動詞"inyaplag"は、"aplag">"i- + aplag">"yaplag"の完了形。対象焦点の"i-"動詞だが、語根が母音で始まることから"i-"が"y-"になってしまって見えなくなるので要注意。これが完了形になると、"yaplag">"in- + yaplag">"inyaplag"となる。単純に"aplag">"in- + aplag"ということで"inaplag"とならない点に注意。

この節全体の構造は、「動詞(inyaplag)+中心格名詞(dagiti tattao=主語)+中心格名詞(dagiti kagayda=目的語)+斜格名詞(iti dalan=場所)」となっていて、イロカノ語の他動詞における格の役割を見ることができて興味深い。このように名詞が成分の場合は、いずれも中心格を取るという点が、イロカノ語が典型的な能格言語からは外れているとされるゆえんだ。

また、さほど名詞の単複に厳密でもないイロカノ語が、ここは主語も目的語もしつこいまでにしっかりと複数形で表現しているというのが、人々がいかにそれぞれの着物を道に敷き詰めていたかを強調しようとする翻訳者の意図が見えて興味深い。

 

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Lucas 19:28-36 (11) (19:35b)

Inap-apanda ti urbon kadagiti kagayda sada tinulongan ni Jesus a simmakay. (Lucas 19:35b)

直訳

彼らはイエスに子ロバを持ってきた。

試訳

彼らはイエスのもとに、子ロバを持ってきた。

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

inap-apanda /inap.'apanda/ <V>:彼らが敷いた(< inap-apan + -da)

inap-apan /inap.'apan/ <V>:敷いた("ap-apan"の完了形)

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ko"系代名詞3人称複数>(p.143)

ap-apan /ap.'apan/ <V>:~の上に布を広げて敷く(< ap-ap + -an)(p.48)

ap-ap /ap.'ap/ <N>:テーブルクロス、床に敷く布、覆い、包むもの、敷くもの、層、枕カバー(p.48)

-an /an/ <Affix>:<方向焦点の動詞を作る>(pp.37-8)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

urbon /urbon/ <N>:(動物の)若いもの(p.402)

kadagiti /kadagi'ti/ <Art>:<斜格複数一般名詞>(p.234)

kagayda /ka'gaida/ <N>:彼らの衣(< kagay + -da)

kagay /ka'gai/ <N>:ケープ、衣、外套、ショール(p.235)

-da:(上述)

sada /'sada/ <Adv>:それで彼らは(< sa + -da)

sa /sa/ <Adv>:それで(p.510)

-da:(上述)

tinulongan /tinu'longan/ <V>:~を助けた("tulongan"の完了形)

tulongan /tu'longan/ <V>:~を助ける、手伝う、支持する、好む(favor)(< tulong + -an)(p.628)

tulong /'tulong/ <N>:助け、補助、支援(p.628)

-an /an/ <Affix>:<方向焦点の動詞を作る>(pp.37-8)

ni /ni/ <Art>:<中心格単数人名詞>(p.380)

Jesus /'hesus/ <N>:イエス

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

simmakay /simma'kai/ <V>:乗った("sumakay"の完了形)

sumakay /suma'kai/ <V>:乗る、船に乗船する(< sakay + -um-)(p.518)

sakay /sa'kai/ <N>:乗客(p.518)

-um- /um/ <Affix>:<自動詞の瞬間動詞を作る>(p.396)

 

inap-apanda ti urbon kadagiti kagayda

動詞"inap-apanda"は、接辞"-an"のゆえに方向焦点動詞なので、中心格"ti"でマークされた"urbon"(子ロバ)はその場所を示し、「彼らは子ロバに布を敷いた」となる。斜格"kadagiti"でマークされた"kagayda"は、それを補う道具のような意味で、「彼らの衣(複数)で」となる。

sada tinulongan ni Jesus

"sa"は、接続詞のような働きをするが、興味深いことに、この例のように人称の前倚辞を先取りする。すなわち、"-da"は、本来ならば"tinulonganda"(彼らが助けた)となるべきものであるにもかかわらず、前に行く"sa"が取ってしまっているのだ。

"tinulongan"は方向焦点動詞なので、中心格"ni"でマークされた"Jesus"は行為の行われる「方向・場所」であり、「イエスを助けた」となる。

tinulongan ni Jesus a simmakay

動詞"inulongan"(~を助けた)は、具体的に何をするのを助けたのかを言うために、このようにリンカーを取って動詞を続ける。この場合は"simmakay"(乗った)がそれにあたる。興味深いのは、英語の場合は"they helped Jesus ride (on the colt)"のように"ride"は不定詞になるのが、イロカノ語の場合はれっきとした動詞をそのまま持ってくるということだ。そのため、"simmakay"も、"tinulongan"と同じくきちんと完了形になっている。

なお、"simmakay"は"sumakay"の完了形だが、自動詞を作る接辞の"-um-"は、ここでは、(金田一アスペクト論風に言えば)「瞬間動詞」を作る機能を持っていると言える。これはすなわち、「ひょいと乗る」といった意味合いを表すものだ。これに対して"ag-"は「継続動詞」を作る機能を持つ。例えば、"takder"(立つこと)という語根に対して、"agtakder"と言えば「立っている」(stand)に相当する動詞となり、"tumakder"と言えば「(座っている状態から)立ち上がる」(stand up)に相当する動詞となる。

 

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Lucas 19:28-36 (10) (19:35a)

Impanda ken ni Jesus ti urbon. (Lucas 19:35a)

直訳

彼らはイエスに子ロバを持ってきた。

試訳

彼らはイエスのもとに、子ロバを持ってきた。

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

impanda /im'panda/ <V>:彼らは持ってきた(< impan + -da)

impan /im'pan/ <V>:持ってきた("ipan"の完了形)

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ko"系代名詞3人称複数>(p.143)

ipan /i'pan/ <V>:持って行く、持ってくる、運ぶ(< pan + i-)(p.427)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

ken ni /ken'ni/ <Art>:<斜格単数人名詞>(p.270)

Jesus /'hesus/ <N>:イエス

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

urbon /urbon/ <N>:(動物の)若いもの(p.402)

 

impanda ken ni Jesus ti urbon

動詞"impanda"の未完了形は"ipan"であり、「行く」の意味の"mapan"と語根"*pan"を共有する。この"*pan"そのものに対してRubino (2000)は特定の定義を与えていないが、これらの動詞から見て、「移動」のような概念を措定することができるかもしれない。

ただし、"*pan"からは"ipapan"という動詞もあり、それらは「旅をする」というこの語根の意味に近いものに加えて、「考える、信じる、前提とする、想定する」などという抽象的な思考動詞としての意味も持つということなので、やはりこのような基本動詞は扱いが難しい。

この文全体は、構造的には33節"kinuna kadakuada dagiti akinkukua"と同じで、「動詞(主語を含む)+斜格+目的語」となっている。すなわち、主語(~が)は他動詞なので前倚辞"-da"(彼ら)、目的語(~を)は中心格(ti)表示の"urbon"(子ロバ)、"ken ni Jesus"(あるいは"kenni Jesus")は斜格として「イエスに」を意味する。さらに言えば、単数ならば"Ken ni (kenni) + 名詞"、複数ならば"kada + 名詞"(例:"kada Jesus"=「イエスたちに」)が、代名詞ならば"kadakuada"(彼らに)、"kadakayo"(あなたに、君たち/あなたたちに)などに相当するということになる。

 

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Lucas 19:28-36 (9) (19:34)

"Masapul ti Apo," insungbatda. (Lucas 19:34)

直訳

「主が(これを)必要としているのだ」 彼らは答えた。

試訳

「主がお入り用なのです」 彼らは答えた。

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

masapul /ma'sapul/ <V>:必要としている、必要だ、欲しい(< sapul + ma-)(p.537)

sapul /'sapul/ <N>:仕事、入手した財産、収入、収獲(p.537)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

ti:(上述)

Apo /'apo/ <N>:主人、"Sir"、"Ma'am"(p.50)

insungbatda /in'sungbatda/ <V>:彼らは答えた("isungbatda"の完了形)(< insungbat + -da)

isungbat /i'sungbat/ <V>:答える(< sungbat + i-)(p.578)

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ko"系代名詞3人称複数>(p.143)

sungbat /'sungbat/ <N>:返事、答え(p.578)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

 

masapul ti Apo

同じ表現は19:31にも出てくるので、そちらをご参照のこと。

 

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2009年7月25日 (土)

Lucas 19:28-36 (8) (19:33)

Idi warwarwaranda ti urbon, kinuna kadakuada dagiti akinkukua, "Apay a warwaranyo?" (Lucas 19:33)

直訳

彼らが子ロバをほどいていると、持ち主たちが彼らに言った。「あなたたちはなぜ、それをほどいているのか」

試訳

彼らが子ロバがつながれているのをほどいていると、持ち主たちが言った。「あなたたちはなぜ、それをほどいているのか」

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

idi /i'di/ <Adv, Conj, Prep>:<過去を表す>(p.214)

warwarwaranda /warwar'waranyo/ <V>:彼らがほどいている(< warwarwaran + -yo)

warwaranwaran /warwar'waran/ <V>:ほどいている

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ko"系代名詞3人称複数>(p.143)

warwaran /war'waran/ <V>:ほどく(Rubino (2000)によれば"warwaren")(p.641)

warwar /war'war/ <A>:ゆるい(p.641)

-an /an/ <Affix>:<方向焦点の動詞を作る>(pp.37-8)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

urbon /urbon/ <N>:(動物の)若いもの(p.402)

kinuna /ki'nuna/ <V>:言った("kuna"の完了形)

kuna /ku'na/ <V>:言う(baga, sao)(p.292)

kadakuada /kadaku'ada/ <Pron>:<斜格3人称複数>(p.234)

dagiti /dagi'ti/ <Art>:<中心格複数一般名詞>(p.144)

akinkukua /akinkukua/ <N>:所有者、持ち主(< kukua + akin-)(p.284)

kukua /kukua/ <N>:もの、所有物、土地財産、資産、もの(p.284)

akin- /akin/ <Affix>:<所有を示す>(p.18)

apay /apai/ <Conj>:なぜ、どうして、何(電話に答えて)(p.48)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

warwaranyo /war'waranyo/ <V>:君たち/あなたたちはそれをほどきなさい(< warwaran + -yo)

warwaran /war'waran/ <V>:ほどく(Rubino (2000)によれば"warwaren")(p.641)

-yo /yo/ <Pron>:君たち、あなたたち<"-ko"系代名詞2人称複数>(p.646)

 

idi warwarwaranda ti urbon

イロカノ語は動詞の形態としての十分に時制が発達しておらず、英語の過去進行形に相当する意味は動詞だけでは表現できない。完了を用いて"inwarwaranda"とすると「既にほどいた」の意味になってしまう。そこで、動詞はあくまで進行の"warwarwaranda"(語頭のCVC(子音・母音・子音)(ここでは"war")が反復されて進行形になっている)であり、接続詞に過去を表す"idi"を用いることで過去進行の意味を表すものとしているわけである。

この辺り、日本語では「彼らが~していると、~した」のように進行の「~ている」を用いつつ、主節の「~した」が過去であることによって全体が過去のできごとであることを表すような形と似ている。

なお、主語は前倚辞"-da"(彼ら)。中心格"ti"でマークされている"urbon"(子ロバ)が目的語である。

kinuna kadakuada dagiti akinkukua

イロカノ語の複数は、"ubing"(子ども)-"ubbing"(子どもたち)のように、形態的に表すものもあれば、この"dagiti akinkukua"のように統語的に表すものもある。また、動詞に単複は無いので、数の一致も無い。

また、前文(32節)の"imbaga ni Jesus kadakuada"と比較してみると、斜格(kadakuada)と主語(ni Jesus / dagit akinkukua)の語順が交替可能であることも見てとれる。

apay a warwaranyo?

同じ表現は19:31にも出てくるので、そちらをご参照のこと。

 

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Lucas 19:28-36 (7) (19:32)

Napanda ngarud ket nasarakanda amin kas imbaga ni Jesus kadakuada. (Lucas 19:32)

直訳

それで、彼らが行くと、イエスが彼らに語ったままに、全てを見つけた。

試訳

それで、彼らが出かけていくと、全てが、イエスが語ったままに見つかった。

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

napanda /na'panda/ <V>:彼らが行った(< napan + -da)

napan /na'pan/ <V>:行った("mapan"の完了形)

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ak"系代名詞3人称複数>(p.143)

mapan /ma'pan/ <V>:行く、離れる、出発する、前進する、(適当な数値とともに)だいたい~くらいである(pan + ma-)(p.359)

ngarud /nga'rud/ <Part>:それから、それで(p.385)

ket /ket/ <Conj>:そして、しかし、それで(p.271)

nasarakanda /nasa'rakanda/ <V>:彼らが見つけた(< nasarakan + -da)

nasarakan /nasa'rakan/ <V>:見つけた("masarakan"の完了形)

-da /da/ <Pron>:彼ら<"-ko"系代名詞3人称複数>(p.143)

masarakan /masa'rakan/ <V>:会う、見つける、出会う(< sarak + ma- -an)

ma- -an /ma- -an/ <Affix>:<語根が表す状態への非意図的な到達を表す動詞を作る>

amin /'amin/ <Adv, A>:全て(p.34)

kas /kas/ <Adv, Conj>:~のように、~が~する/したように(Rubino (2000)によれば、たいていは"kasla"として)(p.261)

imbaga /imbaga/ <V>:言った("ibaga"の完了形)

ibaga /ibaga/ <V>:言う、宣言する、知らせる(< baga + i-)(p.75)

baga /baga/ <N>:知らせ、発表、通知(p.75)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

ni /ni/ <Art>:<中心格単数人名詞>(p.380)

Jesus /'hesus/ <N>:イエス

kadakuada /kadaku'ada/ <Pron>:<斜格3人称複数>(p.234)

 

napanda ... ket nasarakanda

"napanda"(行った)は自動詞、"nasarakanda"(見つけた)は他動詞なので、それぞれにおいて主語を表す代名詞"da"(彼ら)は、厳密には別の形態と考えてもいい。上の解説でも触れているように、前者の"-da"は、動詞が自動詞なので"-ak"系の代名詞、後者の"-da"は、動詞が他動詞なので"-ko"系の代名詞である。

また、これら便宜的に「代名詞」としているものは、実のところ、単独で用いられることがなく、必ず述語の語尾に付接し、あたかも一語であるかのようにふるまうので、厳密には前倚辞(enclitic)と呼ばれる。

kas imbaga ni Jesus kadakuada

"kas/kasla"(~のように)は前置詞として名詞を取る(例:kasla aso:犬のように)こともあり、この例のように節を取る場合もある。また、この例を見てもわかるように、英語の"as"(この例の訳ならば"as Jesus said to them")のように、共通している部分はあらためて反復されない。これは、英語でこの例の訳を"as Jesus said so to them"と言わないのと同じである。

 

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Lucas 19:28-36 (6) (19:31)

"No adda agsaludsod kadakayo no apay a warwaranyo ti urbon, ibagayo kenkuana a masapul ti Apo." (Lucas 19:31)

直訳

「もしも君たち/あなたたちに、なぜ子ロバをほどいているのかと尋ねる人があれば、その人には、主が必要としているのだと言いなさい」

試訳

「もしも、なぜ子ロバをほどいているのかと尋ねる人があれば、主が必要となさっているのだと言いなさい」

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

no /no/ <Conj>:もし、~時(未来)には(p.381)

adda /adda/ <V>:ある、いる(pp.9-10)

agsaludsod /agsalud'sud/ <V>:尋ねる、調べる(< saludsod + ag-)(p.526)

saludsod /salud'sud/ <N>:質問、探求(p.526)

ag- /ag/ <Affix>:<動作主焦点自動詞を作る接辞>(p.11)

kadakayo /kadaka'yo/ <Pron>:<斜格2人称複数>(p.234)

no /no/ <Conj>:<疑問詞によって導かれる節を従属節にする>(p.381)

apay /apai/ <Conj>:なぜ、どうして、何(電話に答えて)(p.48)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

warwaranyo /war'waranyo/ <V>:君たち/あなたたちはそれをほどきなさい(< warwaran + -yo)

warwaran /war'waran/ <V>:ほどく(Rubino (2000)によれば"warwaren")(p.641)

-yo /yo/ <Pron>:君たち、あなたたち<"-ko"系代名詞2人称複数>(p.646)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

urbon /urbon/ <N>:(動物の)若いもの(p.402)

ibagayo /ibagayo/ <V>:君たち/あなたたちは言いなさい(< ibaga + -yo)

ibaga /ibaga/ <V>:言う、宣言する、知らせる(< baga + i-)(p.75)

-yo:(上述)

baga /baga/ <N>:知らせ、発表、通知(p.75)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>(p.213)

kenkuana /kenku'ana/ <Pron>:<斜格3人称単数>(p.270)

masapul /ma'sapul/ <V>:必要としている、必要だ、欲しい(< sapul + ma-)(p.537)

sapul /'sapul/ <N>:仕事、入手した財産、収入、収獲(p.537)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>(p.346)

ti:(上述)

Apo /'apo/ <N>:主人、"Sir"、"Ma'am"(p.50)

 

No adda

「もし~があれば/いれば」の意味。19:30bの"apaman"(すぐに)とは異なり、"no"はリンカー"a"は取らない。

adda agsaludsod

"agsaludsod"は動詞だが、存在動詞"adda"の節内で用いると「尋ねる人がある/いる」という動名詞的意味になる。これは、厳密には"adda ti/ni agsaludsod"のように冠詞がつくべきものかもしれないが、ここがおそらくイロカノ語の冠詞の意味論的に不安定な側面を反映している現象で、このように「誰か」のような不定的な意味が強い場合には、冠詞(ti(無性名詞)/ni(有性名詞))は、定冠詞的に再解釈されるのか、脱落する傾向にあるように思う。

agsaludsod kadakayo no apay a warwaranyo ti urbon

疑問の接続詞"apay"は、リンカー"a"とともに用いられる。

他動詞"agsaludsod"に対して、その内容節は"apay"によって導かれる節だが、この場合、"apay"が疑問詞なので、リンカー"a"が用いられる。

「君たち/あなたたちに」に相当する"kadakayo"は、斜格で表現される。

"warwaranyo ti urbon"は、典型的な他動詞構造。主語はこの場合、代名詞"-yo"(君たち/あなたたち)、目的語は中心格の冠詞(ti)でマークされた"urbon"(子ロバ)。

ibagayo kenkuana a masapul ti Apo

他動詞"ibaga"は、目的語に内容節を取ることができるが、この場合は単にリンカー"a"によって導かれている。この点、"no"を取っている上の"agsaludsod"の例と比較すると興味深い。なお、「彼に」に相当する"kenkuana"は、"agsaludsod"の場合と同様、斜格で表現される。

"masapul"は「~を必要とする」の意味の他動詞だが、中心格でマークされている"ti Apo"は主語。目的語が明示されていないということは3人称の何かということになり、「それ」=「子ロバ」ということがわかる。

 

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Lucas 19:28-36 (5) (19:30c)

"Warwaranyo ket yegyo ditoy." (Lucas 19:30c)

直訳

「君たち/あなたたちは、それをほどき、ここに連れてきなさい」

試訳

「それをほどいてここに連れてきなさい」

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

warwaranyo /war'waranyo/ <V>:君たち/あなたたちはそれをほどきなさい(< warwaran + -yo)

warwaran /war'waran/ <V>:ほどく(Rubino (2000)によれば"warwaren")(< warwar + -an)(p.641)

-yo /yo/ <Pron>:君たち、あなたたち<"-ko"系代名詞2人称複数>(p.646)

warwar /war'war/ <A>:ゆるい(p.641)

-an /an/ <Affix>:<方向焦点の動詞を作る>(pp.37-8)

ket /ket/ <Conj>:そして、しかし、それで(p.271)

yegyo /yegyo/ <V>:君たち/あなたたちはそれを持ってきなさい(< yeg + -yo)

yeg /yeg/ <V>:誰かのもとに持ってくる、持って行く(Rubino (2000)によれば、あるいは"mangiyeg"、"iyeg")(p.646)

-yo:(上述)

ditoy /di'toi/ <Adv>:ここ(p.171)

 

warwaranyo

上述のように、Rubino (2000)では、"warwaren"の形がエントリーとして掲載されていることが興味深い。概して、"-en"動詞は状態変化(~をする)をかなり強く表すのに対して、"-an"動詞は軽い状態変化(~をする)から方向性(~にする)、受益(~のためにする)などの間接的な働きかけも含むものであることから、ここでは、他動性の大小にまつわる翻訳者の判断が入ったものと考えられるかもしれない(子ロバのつながれているひもをほどいたからといって、子ロバそのものの物理的な何かが変化するわけではない)。

 

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Lucas 19:28-36 (4) (19:30b)

"Apaman a sumrekkayo, masarakanyonto ti sigagalut nga urbon ti asno a di pay nasaksakayan." (Lucas 19:30b)

直訳

「君たち/あなたたちが(そこに)入ったらすぐに、君たち/あなたたちは、まだ誰も乗せたことのないロバの若いのがつながれているのを見つけるだろう」

試訳

「(その村に)入るやいなや、まだ誰も人を乗せたことのない子ロバがつながれているのが見つかるだろう」

 

【語義・語形成(Rubino (2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

apaman /a'paman/ <A>:ほとんど~ない、すぐに、ただちに(p.48)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

sumrekkayo /sum'rekkayo/ <V>:君たち/あなたたちが入る

sumrek /sum'rek/ <V>:入る(< serrek)(p.577)

-kayo /kayo/ <Pron>:君たち、あなたたち<"-ak"系代名詞2人称複数>(p.267)

serrek /ser'rek/ <N>:労働時間、クラスの時間

masarakanyonto /masa'rakanyonto/ <V>:君たち/あなたたちは見つけるだろう(< masarakanyo + -nto)

masarakanyo /masa'rakanyo/ <V>:君たち/あなたたちは見つける(< masarakan + -yo)

-nto /nto/ <Affix>:("-to"の異形態:母音で終わる語に続く)

-to /to/ <Affix>:<動詞の未来形を作る>

masarakan /masa'rakan/ <V>:会う、見つける、出会う(< sarak + ma- -an)

ma- -an /ma- -an/ <Affix>:<語根が表す状態への非意図的な到達を表す動詞を作る>

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

sigagalut /siga'galut/ つながっている、つながれている(< galut + siCV-)

galut /'galut/ <N>:腱、ひも、結ぶために用いるもの(p.192)

siCV- /siCV/ <Affix>:<状態を表す語、副詞を作る>(p.551)

nga /nga/ <Link>:<"a"の異形態:母音の前で用いられる>(p.384)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

urbon /urbon/ <N>:(動物の)若いもの(p.402)

ti /ti/ <Art>:<中心格単数一般名詞>(p.614)

asno /asno/ <N>:ろば(p.65)

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

di /di/ <Adv>:~ない(p.165)

pay /pai/ <Adv>:まだ(p.451)

nasaksakayan /nasaksa'kayan/ <V>:まだ乗せたことがない(< sakay + na- -an)

sakay /sa'kay/ <N>:乗客(p.518)

na- -an /na- -an/ <Affix>:<"ma- -an"の完了形>

ma- -an:(上述)

 

Apaman a sumrekkayo

"apaman"は「~するとすぐに」の意味の接続詞。リンカー"a"を介して節を取る。

masarakanyonto

長い単語だが、語形成の詳細(ma- + sarak + -an + -yo + -nto)は上の説明を参照のこと。

ti sigagalut nga urbon ti asno

"ti sigagalut nga urbon"は、基本的な「冠詞+形容詞(的要素)+名詞」の構造。"urbon ti asno"は、見ておわかりの通り「名詞+ti+名詞」の構造になっているが、"ti"は、動詞に対して働く際には、マークしている名詞が中心格であることを示すのに対し、名詞に対して働く際には、後ろの名詞が前の名詞を修飾することになる。

つまり、この例の場合、最初の"ti"は、他動詞"masarakan"の目的語であることを示す(主語は"-yo"(君たち/あなたたち))のに対し、もう一つの"ti"は"asno"(ろば)が"urbon"(若いもの)を修飾していることを示す。

ti ... urbon ti asno a di pay nasaksakayan

リンカー"a"は、ここでは英語の関係代名詞にあたる働きを持つ。この場合、修飾される名詞(先行詞)(この場合は"ti ... urbon ti asno")が、修飾節(関係節)内の動詞(この場合)に対しても焦点(この場合は"nasaksakayan"の主語)でなければならないというルールがある。

 

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Lucas 19:28-36 (3) (19:30a)

"Inkay iti masungad a barrio," imbilinna kadakuada. (Lucas 19:30a)

【語義・語形成(Rubino(2000)を参照:括弧内は参照ページ)】

inkay /'inkai/ <V>:(君たち/あなたたちは)行きなさい

in /in/ <V>:行く(p.220)

-kay /kai/ <Pron>:君たち、あなたたち<"kayo"の異形態>

-kayo /kayo/ <Pron>:君たち、あなたたち<"-ak"系代名詞2人称複数>

iti /iti/ <Art>:<斜格単数一般名詞>(p.229)

masungad /ma'sungad/ <N>:最初の家、未来(p.578)

sungad /'sungad/ <N>:接近(asideg)(p.578)

ma- /ma/ <Affix>:<能力、非意図的、偶然のできごと、受動的可能性、偶発的性質の行為を表す動詞を作る>

a /a/ <L>:<文の様々な統語的要素を結び合わせる>(p.3)

barrio /barrio/ <N>:町、村(p.101)

imbilinna /imbilinna/ <V>:彼/彼女/それは命令した<ibilinの完了形>

ibilinna /ibilinna/ <V>:彼/彼女/それは命令する(< ibilin + -na)

imbilin /imbilin/ <V>:命令した(ibilinの完了形)

-na /na/ <Affix>:彼/彼女/それ<-ko系人称接辞3人称単数>(p.375)

ibilin /ibilin/ <V>:命令する、(使いを通して)メッセージを送る(< bilin + i-)(p.116)

bilin /bilin/ <N>:命令、義務、戒律(p.116)

i- /i/ <Affix>:<主題焦点の動詞を作る>

kadakuada /kadakuada/ <Pron>:<斜格3人称複数>

 

直訳

「(君たち/あなたたちは)近くの村に行きなさい」 彼は彼らに命令した。

 

試訳

「近くの村に行きなさい」 イエスは彼らに命令した。

 

Inkay iti masungad a barrio

"inkay"は"inkayo"の異形態。特に次に続く語(この場合"iti")が母音で始まる場合、母音の連続を避けるために"-kay"が用いられることが多い。

"masungad"は、Rubinoの記述によれば、上述のように、「最初の村」「未来」とあるが、同時に"sungad"が"asideg"の類義語ということでもあり、「近い」の解釈でほぼ問題ないはず。

 

imbilinna kadakuada

動詞"imbilin"(命令した)は他動詞なので、主語の「彼」は-ko系代名詞の"-na"の形を取る。目的語に相当するものは、命令の内容なので"Inkay iti masungad a barrio"がそれにあたる。

また、"imbilin"の取る構文において、命令される相手は中心格ではなく斜格で表されるため、「彼らに」は"kadakuada"の形を取っている。

 

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