カテゴリー「01 イロカノ語講座」の11件の記事

2009年12月31日 (木)

Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 06

第2段落第2文は次の通り。

Ti ngamin ethylene gas nga iruar dagiti prutas ken nateng, makatulong iti nadardaras a pannakalaylay dagiti sabsabong.

 

【試訳】

それというのも、果物と野菜から発生するエチレンガスは、花がより早く枯れるのを促すものとなるのだ。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

ti . . . ethylene gas:「エチレンガス」(英語からの借用)

ngamin:「実に、なんと」

非難や強調を表す小辞。節の第2番目の位置に用いられる。

nga:

リンカー。母音で始まる"iruar"の前なので"a"ではなく"nga"。この例では"ti ethylene gas"を先行詞とする関係節を導く。

iruar:

語根"ruar"(外)から接頭辞"i-"によって派生する対象焦点動詞(発する)。

dagiti prutas ken nateng:

イロカノ語では、関係節は、節内の動詞の焦点に相当する名詞を先行詞としてしか作れない。したがって、動詞の焦点は関係節の先行詞でもある<対象>の"ti ethylene gas"。したがって、節内に現れているこの中心格の"dagiti prutas ken nateng"は<動作主>。

イロカノ語の格表示で紛らわしいのが、このように名詞が動作主である場合。動作主焦点動詞の場合は中心格でマークされるのは必然的に<動作主>のみとなるが、それ以外の場合は、焦点に相当する<対象><方向><受益者><道具>その他が中心格で現れるとともに、<動作主>が名詞の場合はそれも中心格で現れる。どちらかが人名や人名詞、親族名詞の場合は、意味的に意志性やコントロール性を持つそれが<動作主>であることが多いが、それ以外の名詞の場合は、意味的に判断するしかない。

この場合、項構造は、概略、"iruar<対象焦点動詞:「発する」>+dagiti prutas ken nateng<中心格:<動作主>:「果物や野菜」>+ti ethylene gas<中心格:<対象>:「エチレンガス」>"となっている。

makatulong:「助ける、促す」

語根"tulong"から接頭辞"maka-"によって派生する可能動詞。この例の場合、主語は、文頭に取り立てられている"ti ethylene gas . . ."。

iti nadardaras a pannakalaylay dagiti sabsabong:「花(複数)のより迅速な枯れること」

"nadardaras"は、語根"daras"から接頭辞"na-"で派生された形容詞だが、語根の最初の子音・母音・子音(CVC)が反復され、比較級となっている。

"pannakalaylay":接頭辞"pannaka-"+語根"laylay"。接頭辞"pannaka-"は、"maka-"動詞を動名詞化する接辞。接頭辞"maka-"は、"ma-"動詞を可能動詞化する接辞。上の訳は、Rubino(2000:322)には"malaylay"という動詞は含まれていないが、「しおれる、枯れる」という意味の"aglaylay"があるのでそこからの類推。ちなみに可能動詞は、能力的な可能性だけでなく、潜在的、偶発的可能性も表す。

"nadardaras a pannakalaylay"は<形+リンカー+名>の修飾構造。中心格マーカーで導かれる"dagiti sabsabong"は、この場合は属格で"pannakalaylay"を修飾する。

"dagiti sabsabong"は、ここでも冗長な複数形を取っている。もはや無標の複数と考えていいのか、あるいは、あくまで冗長であるがゆえにそこに何らかの著者の意図を読み込むべきなのかは、引き続き、検討に値するとともに、複数形に対する読者の文法にも左右されるものであることだろう。

 

【直訳】

実は、果物と野菜が出すエチレンガスは、(どれほど多くの(複数?)ものであっても?)花(複数)の、より速い枯れを促すものとなるのだ。

【試訳】

それというのも、果物と野菜から発生するエチレンガスは、花がより早く枯れるのを促すものとなるのだ。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 05

第3段落第1文は次の通り。

Liklikan nga itipon dagiti kappuros a sabsabong kadagiti prutas ken nateng.

 

【試訳】

摘みたての花を果物や野菜と一緒にするのは避ける。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

liklikan:「避ける」

語根"liklik"から接尾辞"-an"によって派生する方向焦点動詞。ここではリンカー"nga"(次の語が"itipon"と母音で始まるもののため"a"ではなく"nga")に導かれる名詞節"nga . . . nateng"までを目的語として取っている。

nga:

(上述)

itipon dagiti kappuros a sabsabong kadagiti prutas ken nateng「摘みたての花(複数)を果物と野菜に一緒にする」

"itipon"は語根"tipon"から接頭辞"i-"によって派生した対象焦点動詞。Rubino(2000:620)では「加える、参加する、一致させる」という訳語が与えられている。中心格名詞句"dagiti kappuros a sabsabong"は既出。対象焦点動詞"itipon"の焦点(すなわち<対象>)となっている。

興味深いのは、"dagiti . . . sabsabong"と、マーカー、名詞共に複数表示になっていること。既述のように、これは一般には冗長な用法だが、それを良しとする何らかの動機に支えられているものと思われる。この例では動詞が"itipon"なので、花が複数であるがゆえにそうなるといった状況を含意しているのではないだろうか。

"kadagiti"は、複数中心格"dagiti"に対する複数斜格。"prutas ken nateng"は「果物と野菜」。

 

【直訳】

摘みたての花(複数が強調されている=「かさばって場所を取るがゆえに注意が行き届かないかもしれないが」的な含意か?)を果物や野菜と一緒にするのは避ける。

【試訳】

摘みたての花を果物や野菜と一緒にするのは避ける。

 

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2009年12月30日 (水)

Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 04

第2段落第2文は次の通り。

Iti kada litro a danum, laokan iti dua a kutsara a suka ken tallo a kutsara nga asukar.

 

【試訳】

水1リットルに対し、スプーン2杯の酢と3杯の砂糖を混ぜる。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

iti kada litro a danum:「各リットルの水につき」

"kada"は「各」の意味。"litro"(リットル)は、リンカー"a"で名詞"danum"(水)と結び合わされて修飾関係にあり、助数詞のような機能を果たしている。

ただし、次の動詞"laokan"が方向焦点動詞であることを考えると、斜格"iti"は不自然に思われる。前文を承けて「水に酢と砂糖を混ぜる」のだから、この"danum"の名詞句は中心格であるべきところ。この点はさらに調べてみる必要があるが、おそらくは、単なる<方向>としてではく、上にも「~について」と訳しているように、取り立て的な機能を担っているからではないだろうか。

laokan:

「混ぜる」の意味の方向焦点動詞。動作主はゼロ代名詞。

iti dua a kutsara a suka ken tallo a kutsara nga asukar「スプーン2杯の酢とスプーン3杯の砂糖」

"dua"(2)、"tallo"(3)は、それぞれリンカー"a"を介して"kutsara"(スプーン)を修飾しており、"kutsara"はさらにリンカー"a/nga"を介して"suka"(酢)、"asukar"(砂糖)を修飾している。"ken"は等位接続詞の「そして」。ここでも、"kutsara"は助数詞のような機能を果たしている。

 

【直訳】

各リットルの水につき、スプーン2杯の酢とスプーン3杯の砂糖を混ぜる。

【試訳】

水1リットルに対し、スプーン2杯の酢と3杯の砂糖を混ぜる。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 03

第2段落第1文は次の通り。

Napapaut dagiti kappuros a sabsabong no ipanmo ida iti plorera (flower vase) a ti danumna, nanawnawan iti suka ken asukar.

 

【試訳】

摘んだばかりの花は、酢と砂糖が混ざった水の花瓶に生けておけばいっそう長持ちする。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

napapaut:「より持続的だ」(既出)

dagiti:

複数中心格マーカー。この文では主部"kappuros a sabsabong"を導く。

kappuros a sabsabong

"kappuros"は「摘んだばかり」の意味。接頭辞"kaC-"は「~したばかり」という完了の意味を表す。この場合、語根が"puros"なので、最初の子音"p"を取って"kap-"とし、"kappuros"となる。

"kappuros a sabsabong"の構造は、既出(<形容詞+リンカー+名詞>構造)。

no:「もし、~なら」

時ないし条件の副詞節(ここでは"ipanmo ida . . . asukar")を導く。

ipanmo ida:「あなたがそれらを生ける」

"ipan"は接頭辞"i-"によって派生される対象焦点動詞。本来的な意味は「運ぶ」。対象焦点動詞は"-ko"類の代名詞的前倚辞を<動作主>に取り、<対象>は中心格"ti/dagiti"(いずれ出てくるように人ならば"ni/da")でマークされる(例:"ipanmo ti karton"(あなたが箱を運ぶ)、"ipanmo ni Juan"(あなたがジョンを運ぶ)など)。

ただし、この例では、<動作主>のみならず<対象>も代名詞(3人称複数の"ida")なので、中心格マーカーは見られない。なお、Rubino(2000:214)は、この"ida"を前倚辞としているが、前倚辞とは、一般的な定義として、語幹に接続してアクセントを失うもののはずだが、私の周囲ではアクセントを保ったままのものをよく耳にする。すなわち、前倚辞ではなく代名詞として分類すべきように思える。コルディリエラ方言の特徴だろうか。

iti plorera (flower vase):「花瓶に」

斜格マーカー"iti"は、ここでは言うまでもなく<場所>を表す。

a:

リンカー。この文では、関係詞として関係節"ti danumna, nanawnawan iti suka ken asukar"を導く機能を果たす。

ti danumna:「その水に」

"danum"は「水」。"-na"は3人称単数の代名詞的前倚辞。先行詞は明らかに"plorera (flower vase)"。無標の語順では"nanawnawan ti danumna iti suka ken asukar"だが、ここで"ti danumna"が節の頭に出ているのは"-na"と先行詞"plorera"の「近さ」のためで、結果的に英語で"the flower vase whose water . . ."のような効果を得ているのではないだろうか。訳は、中心格で、動詞"nanawnawan"が方向焦点動詞であることから「その水に」となる。

nanawnawan:「混ぜてある」

"nawnawan"は方向焦点動詞。接頭辞"na-"は完了。動作主はこの例の場合、ゼロ代名詞で特定の動作主を問わない。

iti suka ken asukar:「酢と砂糖を」

斜格マーカー"iti"でマークされている名詞句はこの場合、動作の<対象>。この辺りの感覚がイロカノ語の態体系の感覚的に難しいところ。方向焦点動詞"nawnawan"の焦点が当たっているのは"danum"なので、「水に酢と砂糖を混ぜる」という意味になる。

 

【直訳】

摘んだばかりの花(複数は)、もしあなたがそれらを、酢と砂糖を水に混ぜてある花瓶に生けておけば、いっそう持続する。

【試訳】

摘んだばかりの花は、酢と砂糖が混ざった水の花瓶に生けておけばいっそう長持ちする。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 02

第1段落は、セミコロンで2つの文が結ばれているが、全体で長い1文になっている。

Kasayaatan nga iti naladaw a malem ti panagpurosmo iti sabsabong ta itoy nga oras, isu ti kaadu ti “sugar content” dagiti sabong; ngarud, napapaut ti biagda ngem dagiti napuros iti nasapsapa a paset ti aldaw.

 

【試訳】

花を摘むのは、午後遅くが一番良い。というのも、この時間帯こそ、花に含まれる「砂糖成分」が最も多い時間帯だからだ。すなわち、この時間帯に摘んだ花は、それより早い時間帯に摘まれた花よりも長持ちするのだ。

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】(Rubino(2000)を参照しつつ)

kasayaatan:「最も良い」

語根は"sayaat"。形容詞"nasayaat"(na- + sayaat)(良い、元気な)に見られるように、「良、善」の概念を表す。"ka- -an"は形容詞の最上級を派生する接周辞。

nga:

リンカー。この文では名詞節を導き、<形容詞(~だ)+名詞節(~すること(は))>の構造で「~するのは~だ」の意味を表す。"nga"は"a"の異形態。続く語が母音で始まる場合(この場合は"iti")に用いられる。

iti:

単数斜格マーカー。この例では時間を表す名詞句"naladaw a malem"(遅い午後)をマークする。

naladaw:「遅い」

形容詞。"na-"は、語根から形容詞を派生する接頭辞。

a:

リンカー。ここでは、形容詞"naladaw"(遅い)と名詞"malem"(午後)を結び合わせている。

malem:「午後」

ti:

単数中心格マーカー。この文では主部"panagpurosmo iti sabsabong"を導く。

panagpurosmo:「あなたの摘むこと」

動名詞"panagpuros"については既出。"-mo"は名詞に接続する前倚辞(enclitic)で、1人称属格(所有格)(私の)を表す。

ここで"-mo"に代表される"-ko"類の代名詞的前倚辞は、対象焦点動詞、方向焦点動詞、受益焦点動詞など、Rubinoが「他動詞」と呼ぶ動詞の「主語」として機能することもできるが、この例の"panagpuros"の場合は、本来的に"-ak"類を取る動作主焦点動詞(Rubinoが「自動詞」と呼ぶもの)系の動名詞のため、"-mo"を「主語」とする解釈は一貫性に欠ける。むしろ、英語の"your coming"のように、形態的には属格であるものが意味的には<主語+動詞>的に解釈されるとすべきであろう。

iti sabsabong:「花(複数)を」

これについては既出。

ta:「(なぜなら)~から」

理由の副詞節(ここでは"itoy nga oras, isu ti kaadu ti "sugar content" dagiti sabong")を導く接続詞。

itoy:「これ」

"daytoy"の異形態。ただし、この"itoy"は"a/nga"のように音韻論的に条件づけられているわけではないので、背後にどのような語用論的条件が存在するのかはさらに調べを進めていく必要がある。

a:

リンカー。ここでは、指示詞"itoy"(これ)と名詞"oras"(時間)を結び合わせている。

oras:「時間」(本来はスペイン語からの借用(horas))

isu:

3人称単数代名詞。イロカノ語では男・女・中性の区別は無い。ここでは、"itoy nga oras"(この時間)を節の頭に取り立て、それをあらためてこの"isu"で承けているのだと思われる。

ti:

単数中心格マーカー。この文では名詞節"kaadu ti "sugar content" dagiti sabong"を導く。

kaadu:「最も多い」?

Rubino(2000:11)では"kaadu"を「合計、量」としているが、これは文脈から考えて「最も多い」という意味であるべきではないだろうか。その場合、"kaadu"として「最も多い」という意味を表し得るのか、それとも前文にも出てきた形容詞の最上級の接周辞"ka- -an"による"kaaduan"であるべき、すなわちタイプ・校正ミスなのだろうか。

ti:

単数中心格マーカー。この文では主語成文""sugar content" dagiti sabong"を導く。

"sugar content":「砂糖成分」(英語からの借用)

dagiti:「~の」

本来的には複数中心格マーカー(単数形は"ti")だが、中心格名詞句の内部で<名詞句A+ti/dagiti+名詞句B>で用いられると属格を表し、「BのA」の意味になる。すなわち、この例では「花(複数)の「砂糖成分」」。

sabong:「花」

ここまで"iti sabsabong"と、"sabong"が畳語形で複数を表してきたが、ここでは"ti"の連続を避けるためか"dagiti sabong"の形で複数を表している。

ngarud:「すなわち」

napapaut:「より持続的だ」

"napaut"で「持続的な」の意味の形容詞。ここでは子音+母音(CV)が反復されて比較級になっている。

ti biagda:「それらの命は」

"biagda"は単数中心格マーカー"ti"に導かれ、述語"napapaut"の主部として機能する。"biag"は「命」。"-da"は、3人称複数属格代名詞的前倚辞(彼らの、彼女らの、それらの)。

ngem:「~より」

"ngem"は逆接の接続詞(しかし)でもあるが、形容詞の比較級構文では比較の対象を表して「~より」という意味を表す。

dagiti napuros:「摘まれたものの」

"dagiti"は、複数中心格マーカー。この例では、形態統語的には、先行する単数中心格マーカー"ti"が導く"biagda"と並行する、"napapaut"の主部と考えることも可能だが、そうすると、意味的には「摘まれたものより、それらの命のほうが持続的だ」となり一貫性に欠ける。

そのため、ここでは、中心格ではなく属格(<名詞句A+ti/dagiti+名詞句B>(BのA))の用法として、非明示的な"biag"を修飾する(摘まれたものの(もの)(=命)よりも、それらの命のほうが持続する)と考える。

iti nasapsapa a paset ti aldaw:「一日の、より早い部分に」

"nasapsapa"は、CVC(sap)反復による"nasapa"の比較級。

"nasapsapa a paset"は<形容詞+リンカー+名詞>で形容詞が名詞を修飾する構造。

"ti aldaw"は、<名詞句A(nasapsapa a paset)+ti+名詞句B(aldaw)>構造の一部として、名詞句A(nasapsapa a paset)を修飾する。

 

【直訳】

あなたの、花々を摘むことが遅い午後であることは一番良い。というのも、この時間こそ、花々の「砂糖成分」が最も多いものだからだ。すなわち、それらの命は、一日の、より早い部分に摘まれた(複数)ものの命よりも持続的なのだ。

【試訳】

花を摘むのは、午後遅くが一番良い。というのも、この時間帯こそ、花に含まれる「砂糖成分」が最も多い時間帯だからだ。すなわち、この時間帯に摘んだ花は、それより早い時間帯に摘まれた花よりも長持ちするのだ。

 

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Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?(花を摘むのに適しているのはいつ?) 01

まずは、タイトルを見てみよう。この企画から少し構成を、形態論的には簡略に、全体的にはさらに説明的にしてみる。

Kaano ti Umno a Panagpuros iti Sabsabong?

 

【試訳】

花を摘むのに適しているのはいつ?

 

【形態・統語論的分析・逐語訳】

(分析、逐語訳は、Rubino(2000)を参照しつつ、適宜、自分の解釈も加えている。)

kaano:「いつ」

この文では述語として「~はいつか」という疑問文となる。

ti:

単数中心格(core case)マーカー。この文では主部"umno a panagpuros iti sabsabon"全体を導く重要な機能を果たす。なお、人名ないし親族名詞の場合は、単数中心格には"ni"が用いられる。

umno:「適切な、ふさわしい、正しい」

形容詞。Rubino(2000:397)では、"umumno"(um- + umno)としての自動詞(適切だ、ふさわしい、正しい)の用法は記述されているが、このように語根"umno"のままでの形容詞としての用法は記述されていない。

a:

リンカー。ここでは、形容詞"umno"と動名詞"panagpuros"を結び合わせている。

panagpuros:「摘むこと」

語根"puros"由来の動名詞。Rubino(2000:476)には"puros"そのものの意味記述は無いが、他動詞"purusen"(集める、摘む)があることから、語根の持つ概念としてそれらのものが考えられる。接頭辞"panag-"は、動作主焦点動詞系(ag-)の動名詞を派生することから、"panagpuros"は「摘むこと」と考えられる。

「摘む」は、日本語では他動詞のため、日本語に訳してしまうとなかなか理解が難しいが、これが日本語とイロカノ語の態(ボイス、ヴォイス)体系の違いなので、まずは慣れていくしかない。

Rubinoは便宜的にか自動詞(intransitive verb)、他動詞(transitive verb)という用語を用いているが、イロカノ語の場合、意味論的に目的成分が必要なので他動詞的、不要なので自動詞的という言い方はできるものの、形態論・統語論的に自動詞、他動詞という定義を当てはめることはできない。

iti:

単数斜格マーカー。動名詞"panagpuros"が動作主焦点動詞系の動名詞なので、他動詞ならば目的語に相当する"sabsabong"(花(複数))は、斜格マーカー"iti"でマークされる。人名ないし親族名称ならば"kenni"。

sabsabong:「花(複数)」

"sabong"の複数形。最初の(子音)+母音+子音((C)VC)を反復して複数形にする。面白いのは、名詞が複数であるにもかかわらず、名詞句全体をマークするマーカーは"iti"という単数マーカーが用いられていること。イロカノ語ではふつう、どちらかが複数であればそれで十分とされる。したがって、"iti"の複数形の"kadagiti"を用いて"kadagiti sabong"とすることもできるが、マーカーと名詞の双方を複数にして"kadagiti sabsabong"とするとふつうは冗長とされる(ただし、この例もまた、この同じ文章の後半に出てくる)。

 

【直訳】

花々についての適切な摘むことはいつ?

【試訳】

花を摘むのに適しているのはいつ?

 

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2009年9月11日 (金)

「お会いできて嬉しいです」(音声ファイル付リメイク)

さて、ここで少し、応用を兼ねて、簡単なイロカノ語講座を始めてみましょう。ここでのイロカノ語講座は、特に体系的なものにするつもりもなく、断片的ながらも日常生活に役に立ちそうな表現を、仕込みで拾ったものをもとに、Rubino(2000)その他を参考にしつつ、ご提供していきたいと願っています。

なお、管理人本人による音声ファイルをつけていますが、あくまで初学者による録音ですので、参考のみに留め、可能ならばネイティブスピーカーに当たるようにしてください。ただ、イロカノ語のような、入手可能な教材の少ない(日本語では皆無に近い)言語の場合、このような録音資料でも無いよりはましと考え、はばかりながらのご提供です。皆さんの何らかのご参考になれば幸いです。

今日は、こちらの表現です。

Maragsakanak a makaam-ammo kadakayo.

【音声ファイル】

これは、「あなた(あなたがた)にお会いできて嬉しいです」にあたる表現で、初対面の挨拶や自己紹介にはもってこいのものです。

まず、"maragsakanak"という単語ですが、これはおおよそ「マーラグサナク」のように発音します。もう少し細かいことを言えば、「マーラgk」という感じで、「グ」「ク」を言おうとしながら、声を止めるような感じです。「グ」「ク」を言おうとしながら「マーラ」と言うような感じでしょうか。「カ」を太字で表しているのは、これを強く言う、つまり、アクセントを置く、ということです。

【音声ファイル】

これは「喜び」という意味の"ragsak"(ラグク)という単語から生まれてきているものです。前後を"ma-"と"-an"ではさみ込んで"maragsakan"(マーラグカン)とすると、「嬉しい」「自然に嬉しくなる」という意味を表す単語になるわけです。

【音声ファイル】

"-an"のさらに後ろに"-ak"というのがくっついているのは、「私は」にあたるパーツです。「喜び」という"ragsak"(ラグク)が"maragsakan"(マーラグカン)になって「嬉しい」という意味になり、それが"maragsakanak"(マーラグサナク)となって、「私は嬉しい」という意味になるわけです。

【音声ファイル】

次の"a"(ア)という単語ですが、これはつなぎ言葉のようなもので、イロカノ語ではよく使われます。続く"makaam-ammo"(マカ・アム・アン)という単語は「知り合うことができる」という意味です。骨になるのは"ammo"(アン)で、「知っている」という意味です。"am-ammo"(アム・アン)と最初の部分を繰り返すと「知り合いである」という意味になり、頭に"maka-"(マカ)をくっつけると「~できる」という意味になるわけです。

【音声ファイル】

なお、もうおわかりだと思いますが、「モ」を強く言うようにしましょう。また、イロカノ語の「オ」はかなり「ウ」に近く、2つの音は区別が無いことさえあります。「アン」も、微妙に「アン」あるいは「アンムゥ」に近い発音ができればベターです。

また、"makaam-ammo"を「マカーマンモ」のように、"aa"を「アー」と一つに伸ばしてしまったり、"am-am"を「アマム」のようにくっつけてしまわないことも大切です。タガログ語もそうですが、イロカノ語でも、「ア・イ・ウ・エ・オ」にあたる「母音」と呼ばれる音が並ぶ時には、一つ一つを切るように発音します。"am-ammo"のハイフン(-)も同じです。「マカ・アム・アンモ」と区切って書いているのはそのためです。最初の"maragsakanak a"も「マーラグサカナアー」となり、「マーラグサカナカー」のように"k"と"a"をくっつけては発音しません。

【音声ファイル】

最後の"kadakayo"(カダカ)は、特に相手が1人の時には敬意を表すことになり丁寧な「あなた」になります。また、相手が2人以上の時には、丁寧に言えば「あなたがた」、普通に言えば「君たち」のような意味になります。フランス語やポルトガル語をご存じならば、元々は2人以上(文法用語では「複数」)を指す"vous"や"você"が1人の相手を指して「あなた」の意味で使われるのと同じだと理解していただけるかもしれません。

【音声ファイル】

ここで"a"に戻るなら、"a"は、「私は嬉しい」という"maragsakanak"(文法用語では「動詞」)と、その理由(お会いできて)を表す部分の"makaam-ammo kadakayo"を結び合わせる働きをしていると説明できるでしょう。

それでは、練習をしてみましょう。日本語のカタカナにならないように注意すべきところを英語のアルファベットで書くなら、

マーラ(g)サナ(k)・アー・マカ・ア(m)・アン・カダカ

【音声ファイル】

のようになります。(g)(k)(m)のようにかっこに入れているように、実際にはそこで声を殺すというか、あえて音をほとんど出さないように言えば、それらしくなります。また、太字のところを強く言うように気をつけましょう。

最後に、「全て、みんな、全員」を表す言葉に"amin"(ーミン)という言葉があります。これを最後につけて「皆さんにお会いできて」という意味を表してもいいでしょう。

Maragsakanak a makaam-ammo kadakayo amin.

【音声ファイル】

これは、上にも言ったように、初対面や自己紹介のあいさつです。発音ばかり気になってこわばった顔で言ってもしょうがないものです。ある程度、練習したら、後はニコニコと笑顔で言えるようにも練習してみましょう。

 

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2009年1月 3日 (土)

謹賀新年 - 「あけましておめでとう」 

新年2009年、皆様におかれましてはいかがお過ごしでいらっしゃることでしょうか

本年も当ブログ「イロカノ語ネット」をご愛顧いただけますよう、なにとぞよろしくお願いいたします。

 


イロカノ語で「あけましておめでとう」に相当するのが次の表現。今回は、タイミング的には少々遅れ気味ですが、この表現を学んでみましょう(太字にアクセント)。

Naragsak a baro a tawen! (ナーラグサッ(k)・アー・バロアターウ(ェ)ン)

この表現は、おもに2つの部分に分けられます。前半の"naragsak"と、"a"で結びつけられた後半の"baro a tawen"です。注意深く見ると、後半の"baro a tawen"もまた、"baro"という言葉と"tawen"という言葉が"a"で結びつけられていることがおわかりかと思います。

"naragsak"(ナーラグサッ(k))というのは「幸せな、嬉しい、めでたい」という意味で、最後の"k"は「サ」を言った後、「カ」を言うつもりで息を止めるようにします。次に"a"「アー」が続いているので、結果的に「カー」のように音が出てしまってもかまいません。

"baro a tawen"(バロアターウ(ェ)ン)は、"baro"(バ)(新しい)と"tawen"(ターウ(ェ)ン)(年)が結び合わされた表現です。"tawen"の"wen"の部分の発音には、ご覧のように、方言差によって二通りがあります。

バギオに代表されるコルディリエラ山地や低地でも南部のパンガスィナン州、ラ・ウニオン州では、「ゥウン」のようにワ行を強調した、こもった暗い音を出しますし、低地の北部にあたる南北イロコス州(イロコスール州、イロコス・ノルテ州)、ヌエバ・ビスカヤ州、イサベラ州、カガヤン州では、「ウェン」のように明るい音を出します。ですから、ご自分がおもにどちらの地域によく行くかによって、学び分けるようにすればいいでしょう。

ただし、日本人として注意しなければならないのは、いずれの場合も、"n"で終わる語尾の「ン」は、「おな」の「ん」のように、舌を上あごにつけた状態で出さなければならないということです。これは、日本人の話す英語がフィリピン人に伝わりにくい一因にもなっていますので、練習する価値のある発音です。

なお、この、おそらくは英語の"A happy new year!"をそのままイロカノ語に置き換えたような表現は、それだけでも十分なものではありますが、より親しみを込めて「君の」にあたる"-mo"(モ)をつけ、"Naragsak a baro a tawenmo!"(ナーラグサッ(k)・アー・バロアターウ(ェ)ンモ!)と言ったり、敬意を込めて「あなたの」にあたる"-yo"(ヨ)をつけ、"Naragsak a baro a tawenyo!"(ナーラグサッ(k)・アー・バロアターウ(ェ)ンヨ!)と言うこともできます。

あるいは、「君」扱いするのは失礼だけど、年長の他人扱いするのもかえって他人行儀な人の場合には、"Manong"(ノン)(お兄さん)、"Manang"(ナン)(お姉さん)をつけます。ただし、バギオなどの都市部をはじめ、タガログ語の影響の強い低地では、これらよりもタガログ語からの"Kuya"(クーヤ)(お兄さん)、"Ate"(テ)のほうが好まれます。

見知らぬ人にも"Sir"(ル)(お宅さん?)(「ル」は巻き舌も可)、"Boss"(ス)(大将?)のように何かをつけて丁寧にするのを心がけるのがイロカノ語流です。したがって、"-yo"を使って敬意を込める場合にも、"Mr. President"(ミステル・プレスィデン(t))(社長)、"Sir"(ル)(ご主人?)など、しかるべき敬称をつけるほうが好ましいのは言うまでもありません。

また、この"-yo"は、本来は2人以上の「君たちの/あなたがたの」の意味でもありますので、相手が2人以上の場合も、これでOKですし、さらには「皆さん」にあたる"amin"(アーミン)をつけて、"Naragsak a baro a tawenyo amin!"(ナーラグサッ(k)・アー・バロアターウ(ェ)ンニョ・アーミン!)と言うこともできます。

それでは、最後に練習をしてみましょう。まずはイロカノ語を読んで理解する練習です。

Naragsak a baro a tawen!

Naragsak a baro a tawenmo
(, Manong/Manang/Kuya/Ate/Boss/Sir)!

Naragsak a baro a tawenyo (, Mr. President/Sir)!

Naragsak a baro a tawenyo amin!

次に、日本語からイロカノ語にしてみる練習です。

(一般的に)あけましておめでとう!

(親しい友人一人に親しみを込めて)あけましておめでとう!

(親しい仲にも礼儀あり的に)あけましておめでとう!

(目上の人に、適当な敬称つきで)あけましておめでとうございます!

みなさん、あけましておめでとう(ございます)!

最後に、同じことをベンゲット州の(南)カンカナウイ語で言うと、

Kalalayad ay balo ay taw-en! (カラヤッ(d)・アイ・バロアイタウ・ウン!)

となります。この場合も"-mo"、"-yo"をつけてもかまいません。"baro"が"balo"のように"r"と"l"が替わること、イロカノ語の"a"に代えて"ay"を使うこと、"e"を、日本語の「ウ」と「オ」の中間の音で、しかも前の音と切り離す形で出すことなどは、カンカナウイ語の特徴です。

 

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2008年12月16日 (火)

「テキストして(ください)ね」 (2)

前回は「テキストして(ください)ね」を練習してみました。今回は、同じテキスト(SMS)の依頼でも、自分にではなく第3者である誰かにテキストするよう頼む場合を練習してみましょう。

イロカノ語での典型的な表現としては次のようになります(太字は強く発音する部分)。

Itexmo (man), a! (イテクスモ(マン)、!)
(テキストして(ください)ね)

Itexmo (man) kenni Juan, a! (イテクスモ(マン)・ケンニ・フアン・ア!)
(フアンにテキストして(ください)ね)

Itexmo (man) kaniana, a! (イテクスモ(マン)・カニナ・!)
(彼/彼女にテキストして(ください)ね)

Itexmo (man) kada Juan ken Mari, a! (イテクスモ(マン)・カダ・フアン・ケン・マ!)
(フアンとマリーにテキストして(ください)ね)

Itexmo (man) kaniada, a! (イテクスモ(マン)・カニダ・!)
(彼ら/彼女らにテキストして(ください)ね)

前回、ご紹介したように、これは「イ」動詞を使っていますので、テキストする内容がお互いに理解できている(と話し手は考えている)場合の用法です。また、"man"(マン)を入れると丁寧になるということもご紹介しました。

まず、「(誰々)に」という場合、"kenni Juan"(ケンニ・フアン)のように、「kenni + 人名」の形を使います。「マリーに」「バルバラに」などで言ってみてください。そう、"kenni Mari"、"kenni Barbara"のようになります。簡単ですね。

ただし、"kenni"は、1人の場合だけです。2人以上の場合は、上の例にもあるように"kada"(カ)を使って、"kada Juan ken Mari"(カダ・フアン・ケン・マ)のように言います。「マリーとバルバラに」と言ってみましょう。そう、"kada Mari ken Barbara"となります。

また、誰についてかわかっている場合には、1人の場合は"kaniana"(カニナ)、2人以上の場合は"kaniada"(カニダ)となります。英語なら、1人(1つ)の場合は"him/her/(it)"と形が変わりますが、イロカノ語はその区別はありません。フィリピン人がよく男性を指して"she"、女性を指して"he"と言うのは、そもそも言葉に性別の区別が乏しいことが大きいからではないかと思われます。

この"kaniana"、"kaniada"には、それぞれに対応する"kenkuana"、"kadakuada"という単語がありますが、これはどちらかと言うと堅苦しい印象があり、少しずつ使われない傾向にあるようです。この背景には、前者のほうが"kaniak"(私に)、"kaniam"(君に)などのように、同じ"kania-"のパターンで一貫しているということが大きいようです。"k""d"の並ぶ後者よりも"n"を含む前者のほうが柔らかく聞こえるというのもあるかもしれません。

 

 

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2008年12月11日 (木)

「テキストして(ください)ね」 (1)

前回のイロカノ語講座が「お会いできて嬉しいです」だったのに続いての企画としては唐突ですが、SMS(Short Message Service)(通称:テキスト)利用率世界一と言われるフィリピンのこと、今回は「テキストしてくださいね」を練習してみましょう。

イロカノ語での典型的な表現としては次のようになります(太字は強く発音する部分)。

Itexmo a! (イテクス・ア!)
(テキストしてね)

Itexmo man a! (イテクスモ・マン・!)
(テキストしてくださいね)

Itexmo kaniak a! (イテクス・カニアク・ア!)
(私にテキストしてね)

Itexmo man kaniak a! (イテクスモ・マン・ニアク・!)
(私にテキストしてくださいね)

「テキスト」は、イロカノ語でも英語をそのまま使って"text"となります。ただし、"k""s""t"と「子音」(「あ・い・う・え・お」を伴わない音)が3つ続くことは、イロカノ語本来ではあまり見られないことですので、最後の"t"を落として「テクス」(/teks/)と言う傾向にあります。

これを「テキストする」と動詞にする場合には、2つの可能性が考えられます。1つは「アグ」(/ag/)を頭につけて「アグテクス」(/agteks/)とする方法、もう1つは、「アグ」の代わりに「イ」(/i/)を頭につけて「イテクス」(/iteks/)とする方法です。

外来語をイロカノ語の動詞にするわけですから、どちらでも言った者勝ちのところがあるわけですが、一般的には後者の「イテクス」がよく用いられているようです。この理由としては、「イ」をつける形が、文法的には他動詞で、目的語を取りやすいということが挙げられます。例えば、"Itexmo ti naganna!"(イクスモティナ~ガンナ)(彼・彼女の名前をテキストしてね)のような表現です。この場合、"ti naganna"「彼・彼女の名前を」が、目的語にあたるわけです。

「イテクス」が好まれるもう一つの理由は、この「イ」が、おもに移動や配置を表す動詞を作る際に用いられるということがあります(Rubino 2000, lxiii)。Rubinoは、次のような動詞を挙げています。

 

語根(概念)

「イ」動詞

意味

pan(行く)

ipan

持ってくる

ruar(外)

iruar

外に置く、外に持っていく

awid(家に帰る)

yawid (<i+awid)

家に持って帰る、家に持って帰ってくる

ted(与える)

ited

与える

kastoy(このように)

ikastoy

このようにする

bolsa(ポケット)

ibolsa

ポケットに入れる

 

「テキストをする」というのは、まさに「テキストを送る(=移動させる)」行為であるわけですから、この「イ」をつける形が、意味的なパターンとしても実にはまるものであるわけです。それに対して、「アグ」の場合は、「送る」ということよりもテキストを打つ行為そのものを意味する力が強いので、上の、テキストをする内容を言い表しやすいという便利さも相まって、「イ」の形が好まれるというわけです。

さて、「テキストする」という動詞が決まると、今度は「誰が」の部分です。この例の場合は「テキストしてね」ということからわかるように、相手にお願いするわけですから、親しい間柄なら「君が」にあたる"-mo"(モ)を"itex"の後ろにつけて"itexmo"(イテクスモ)とします。

「アグ」の場合ならば、同じ「君が」にあたる意味でも"-ka"(カ)を使って"agtexka"(アグテクスカ)とします。このように「アグ」を使う例も、見られないわけではありません。

これで、基本的な骨組みができました。"Itexmo!"(イテクスモ!)です。しかし、これでは「テキストしろ!」のような強い意味になってしまいます。そこで、日本語の「テキストしてね」の「ね」にあたる"a"を一番最後につけます。"Itexmo, a!"(イテクスモ・!)です。

また、「テキストしてね」ではなく「テキストしてくださいね」と丁寧に表現したい場合には、"Itextmo man a!"(イテクスモマン・!)のように"man"(マン)を使います。この場合、"n"は、日本語の「女(おんな)」の「ん」のように、舌を上あごにつけて発音しますので注意が必要です。「ア」は、離して言う場合が多いですが、くだけた早口の場合は「イテクスモマナ!」のように、"n"とくっついてしまうこともあります。

また、「私に」テキストするということを言葉にして言いたい場合には、"kaniak"(ニアク)をつけますし、その場合も"man"をつけて丁寧にするのはいっこうにかまいません。

なお、「イテクス」を使う場合の制約としては、テキストをする内容が原則的に互いにとって既にわかっている場合に限られます。そういう意味では、いわばあうんの呼吸で「テキストしてね」と言っているわけです。

また、英語の"Text me!"からの類推で、「私に」にあたる部分を目的語として言う言い方もあります。この場合は"Itexnak a!"(イテクスナック・!)のように、「君が」を意味する"-mo"と「私を/に」を意味する"-ak"が混ざり合った"-nak"(ナック)という形を使います。これは、タガログ語の「愛している」が"Mahal kita"のように、「私が」を意味する"-ko"と「君を/に」を意味する"-ka"の混ざり合った"kita"を使うのとよく似ています。このあたりはイロカノ語文法の複雑な部分なので、わからなくても適当に流しておいてください。

 

 

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